レオン(2018) / 竹中直人と知英(元KARA)W主演で人気コミックを実写化したコメディドラマ。セクハラ三昧な社長と地味な派遣OLが入れ替わった時に起きる騒動と、会社乗っ取りの影。二人の体当たり演技に注目。

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清智英と大倉かおりによる同名漫画を実写化したコメディ映画で、すっかり女優として日本で活躍する元KARAの映画初主演作品。もう一人の主演である竹中直人と体が入れ替わるという設定で、体当たり演技に挑戦。
理念を持って食品会社を1代で大きくしたやり手社長の朝比奈玲男だったが女子社員へのセクハラは眼に余るものがあり、また甥っ子を含めた役員連中はこれといった意見を持たず後継者問題も抱えていた。一方そこで派遣社員として働く地味系OLの小鳥遊玲音は根暗な性格のため仕事を押しつけられがちで、しかもイケメン社員と恋仲になるも捨てられてしまい傷心中。そんな二人がとある事故によって精神が入れ替わり……。
大政絢、山崎育三郎、吉沢亮、ジャンポケ斎藤、原幹恵、ミッツマングローブ他共演。
あらすじ
食品会社「朝比奈フーズ」勤務の派遣社員、小鳥遊玲音(知英)。よく見ると美人だが、何ごとも悪く考える性格と言動で男性から相手にされない。社内の男性と恋に落ちるものの、捨てられた上に職を失ってしまう。一方、朝比奈フーズを率いる社長の朝比奈玲男(竹中直人)は、ビジネスに関してはやり手だが女性社員にセクハラ寸前の行為を繰り返し、他人の声は全て無視する男だった。ある日、彼らは自動車事故に遭遇し、一命を取り留めるがお互いの心が入れ替わってしまう。(シネマトゥデイより)


ジャンレノの大ヒット映画と同じタイトルで紛らわしいですが、原作漫画は竹中直人扮する社長がレオ、知英演じるヒロインがレオンという主役二人の名前からとっているためこの題名のようです。この作品は2017年製作で公開は2018年の2月なのですが、公開年ってことで18年の方を便宜的に使っています。名前が似ているだけではなく、二人にはもう1つの縁があるのですが、それは劇中でのお楽しみ。

これが知英の初主演ということだそうですが、かくいう僕も彼女がジャケットに映っているのが気になって視聴した口。おまけに竹中直人さんとのW主演とあっては、期待せざるを得ません。例によって後半のシリアス重め展開になるまではずーっと竹中さんのおふざけモードがこれでもかって感じられるんで思ってた通りの面白さですし、どのくらいアドリブ入れてるんだろうと気になるばかりでした。基本的に最初は「体は知英、精神は竹中直人」の方しか意識が戻ってないのですが心の声として竹中さんもずっと喋ってます。

ということは精神が男という演技を強いられたわけですが、知英さんかなり頑張っていましたね。実は「民王」という作品でもすでに男と入れ替わるという役柄を見ているのですが(メインは遠藤憲一さんと菅田将暉くんが入れ替わるというお話です)男っぽい言葉遣いや、ガサツな動き(フィクションなので多少オーバー気味)を見事にやってのけてました。外国人特有のネイティブ日本人とは違うイントネーションが見え隠れしちゃうのもありましたけど、全体を通してほとんど違和感はありませんでした。最初こそよくネタにされてましたけどね、韓国人、元KARAだよって言われてびっくりする人もいるんじゃないでしょうか。

元々が地味系OLということなので、序盤のほんのちょっとしか流れませんがお化粧して美容院行って服買って大変身〜みたいな、シンデレラ要素っぽいのもありました。最初なんて胸だけ大きい無駄……なんて最低な揶揄をされていますが、本来の魅力を発揮してからのモテっぷりは清々しいくらいです。みんな同一人物だって気づかないし。おじさんに乗っ取られるなんてあんまり良いことではありませんが、無理やりながらでも明るい姿になるってのは効果ありましたよね。中盤彼女も目が覚めるのですが、そういう姿を見て影響受けたでしょうし。

目覚める、つまりは後半は精神が女性の竹中直人もガッツリ出てきてより画面がカオスになります。ただの女性じゃなくてめっちゃ気弱な人間だから内股でモジモジして(この辺も多少オーバー気味)笑えます。それ以外にも社長の甥っ子がヒロインに迫るシーンなどでは「実際はこういう状態」と題して、「知英がきている服を身にまとった(女装した)竹中直人がジャンポケ斉藤に押し倒されそうになる」なんていう風にも切り替わったりしますし、キスシーンでも男同士になるなど、本人たちのそれっぽい演技+αで楽しませてくれました。

そうそう、入れ替わった状態でラブロマンス要素があります。地味だった頃からその魅力に気づいてくれた真面目な好青年をなんと今を時めく吉沢亮くんが好演。ものすごい微笑ましいデートを重ねるんですが、セクハラ三昧だった社長が「相手男なのにこの気持ちは何!?」って混乱する流れになってここもニヤニヤ。確かにイケメンだし、彼自身が社長本人の大ファンでちゃんと理念をわかってくれてるって所も良かった。この映画でかなり上位の良いキャラです。もう一人の良い人、ヒロインの親友役の大政絢もかなり早い段階から正体が露見したにも関わらず一生懸命協力してくれて、かなり魅力的でした(劇中「俺が女(の姿)じゃなかったら口説いてる」なんて社長に言われますしね) 主役二人と合わせたこの4人でいるシーンはほんと和みました。と、同時にオチの展開が読めちゃうんですけど。

忘れちゃいけいのが山崎幾三郎さんで、珍しくゲスいキャラクターでしたね。イケメンでモテモテなのに女性を何とも思ってなくて、ヒロインも「何日で落とせるか」というゲーム感覚で付き合うくらい。しかも会社乗っ取り問題にもかなり関わっていて、ある意味映画の悪役を一手に引き受けていました。頼りないと思ってた甥っ子もなんだかんだで覚醒しますし、ミッツマングローブもヒロインをいびる要員に見せかけてかなりの良い人だったのでね。これなんだかんだでこんな風に脇役もキャラが濃いから飽きなかったです。

入れ替わりの仕組みとかは開設されないものの、終盤にすでに触れた二人のとある共通項が明らかになって少しだけ雲行きが怪しくなるんですが、最後には見事に会社の危機も救って、とトントン拍子に解決してって気持ちよかったです。予想した通りの一捻りがありましたし、これまたあまり肩に力を入れずに見られる良い作品。

Amazonビデオでプライム会員無料対象の中にあるのを見つけての視聴でしたが、これも掘り出し物って感じで楽しめました。


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