1941年。日本へやってきたルーシースティールは駅で偶然出会った「文くん」と呼ばれる青年をアルバイトとして雇い、調査に赴く。そこは『ラヂオ・ガガ事件』をはじめ不可解な出来事が起きている曰く付きの場所。本来彼女は特別な果実を調べにきていたのだが、突如として運転手がガードレールに襲われ、さらにルーシーにもその魔の手が。
ジョジョリオンついに完結、110話を読んでの、感想です。本編ネタバレ含みます。
前回の感想はこちら
ジョジョリオン 第109話 【ネタバレあり】 あらすじ 感想 (2021/7/16 更新) #ジョジョ
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前回、あと2回で完結という段階になっていきなり過去に遡るという斜め上の展開で驚かされましたが、ルーシースティール、そしてどう考えても定助の血縁者っぽい「文くん」という登場人物といい、舞台となる東方の果樹園といい、最後の最後に「全てはここから始まった」という描写でしめるのか〜なんてワクワクしっぱなし。
ガードレールの中に「いる」のか、はたまたそのものが生きているのか。なんにせよその内側に人間を引きづり込む脅威であり、ドライバーに続いてルーシーがまさにやられてしまうかという状況。文くんの下駄で一度はピンチを脱したかに見えますが、死にかけのドライバーを操るという方法でなかなか逃してくれません。
これ、脳に直接作用してるって感じしますね。支配されつつも、本人が喋りそうなこと=カタコトでも違和感ない内容を喋ってる。だからみんな誘われるように近づいてしまって餌食になってるんだろうな。
こんな危険に巻き込んでしまったことを謝るルーシーさんですが、僕らはもうわかってますよね、これは運命だと。巡り合わせだと。
奥の隠した「闇」を守るための蛇や番犬なようなもの、と評しますが、なるほど岩生物か。それに対する文くんの(ガードレールなので)「生き物はあんなに硬くないし乾いてもいない」ってセリフがソフト&ウェットの対極になっててニヤリとしましたが、そもそも岩という概念自体が硬くて乾燥してますね。そういう意味を込めた敵だったのかも。どこかの感想で見かけた気もするし、自分で似たようなこと気がついてこのブログの感想で書いたような気もしないでもない。10年も追ってると色々曖昧になってしまう(汗)
オラオラと殴って必死に抵抗する文くんですが相手からのダメージも大きくどんどん服がボロボロになっていき、ついに星型のアザがチラリと。ここでルーシーさんの目の色が変わります。読んでるこっちも「キター!!」ってなります。
「エンジンをスタートさせなさい」「目では見えない 心の力(スタンド)があることを」ハーミットパープル(?)発動。そうだったのか、ジョセフだったのか……。前回の感想で彼と同年代の仗世文のおじいちゃんかな、とか書いてましたが、本人か。
星形のアザ、使命で繋がっているっていう表現がいいですよね。ジョジョの血統。受け継がれるもの。
自動車を走らせてガードレールを攻撃することで今度こそ危機を脱出し、彼女をおぶって逃げることに成功しますが、その遠目にロカカカの苗を回収している透龍の姿が見えます。ここである程度まで育ててから、ってのを繰り返してきてたのでしょうか。岩人間たちはかなり前から潜み、活動をしていたんですね。
ここからはジョセフのことやその後の流れが説明されますが、最序盤で家系図が出ていた通りジョニィ・ジョースターと東方理那の孫であり、日本名で仗世文って表記するから「文くん」だそうです。そしてスージーQと結婚して生まれた娘がホリー。そしてその息子が吉良吉影ということになります。ジョースター家の子孫が吉良って8部開始前に言っても誰も信じないよなぁ。
それが終わると一気に時が進んで現代へ。ホリーさんのお見舞いを終えたと思われる定助と康穂。思えば(新)ロカカカは彼女に使うつもりだったからなあ。全部なくなってしまって、どうにもできない切なさが込み上げます。「南の島ならあるかもな」これが何かの伏線になっているのか……。酷な話だけど、本来自然の摂理に反するものだから治せないならそれを受け入れて残された時間を家族で大切にするしかないのかな、とも思ってしまったり。定助自身はもう諦めてるような気がします。
その後もちょっと衝撃で、なんともう一人の母である空条さんと遭遇。康穂はびっくりしますが、彼はカレラから聞いて既に知っており、何度かあっているそうです。定助の体の中にある空条仗世文の母。見た目が別人ですから気がつかないみたいですし、震災当時から見つからないってことで彼女も前を向いて新しい生活をはじめてる模様。記憶がなくても母親ですからね、寂しいですよね。
結局過去を思い出すことはなく土の中から目覚めて「定助」となった瞬間からが彼の人生であり思い出だと語ります。呪いを解く、が記憶が戻ることだと予想してた時期もありましたが、とうとうダメだったか。でもその友達や家族や、得たものもたくさんあるはずですよね。
さらに彼の言葉を否定するように康穂はある事実を告げます。それは母の中のスマホに入った、大量の写真、そして今でも仗世文を捜索していること。この、ハッとしてすぐに母を探るように振り向くところで涙腺が……。何もないってことはなかった。ちゃんと母が二人いて、大事にされてたじゃないか。
そんな状態に追い討ちをかけるトリビアがもう一つ。ジョセフの下駄。仗世文の祖父にあたる人物が畑で拾ってずっと心に残っていて、そこから彼に名付けたという。吉良と仗世文が出会うずーっと前からこの二人には縁があったということですね。運命で引かれあっていた。
きっと次に見つけた時は母に声をかけるだろうね。どこまで話すかはいずれにせよ、自分のルーツ。話したら、向こうも何か思うことがありそう。母子なんだから。そう信じたい。
二人が目指してたのはフルーツパーラー。そこではいよいよ退院する憲助を祝うためにどのケーキにするか選ぶところでした。「つらい時でも不幸でも送っていいのはフルーツだけ」という言葉はなるほどなと感心しました。退院だけではなく「東方家の新しい始まり」を意味するから、新調になります。
これ1回目読んだ時に前回があまりにもハッピーエンドっぽい感じだったのと「父親の退院」がテーマだからって嬉し泣きだと思っちゃたんですけど、常敏、そして言及されないってことは花都さんが犠牲になってしまったわけで。悲しみの涙ですよね。忘れててごめん……。目が覚めてすぐ読んだったのは言い訳にはならないよな(汗)
家族団欒のテーブル、だけどもういない人がいるっていう切なさが強調されるシーンだった。
泣けるのはその後で、みんなが定助に選ぶように促すところ。あの常秀さえ賛同するのがいい。家族の一員だって改めて思わされるし、精神的な居場所。
その姿を見てそっと立ち去る康穂も「おっとな〜」って言わざるを得ない。岩助(犬)がいてほっこりしました。
自分が何者かすら分からなかった青年が、精神力(+スタンド)と仲間との協力によって道を切り開き、立ちはだかる脅威を「超えて」、記憶が戻らないまでもどのような人間だったのかというルーツと家族という居場所を得た。呪いを解く物語って言い方ではつるぎのことになっちゃうけど、主人公「東方定助」の奇妙な冒険という意味でものすごく見応えがあって面白かったです。月刊誌で追い続け、10年以上楽しませてもらいました。荒木先生本当にお疲れ様でした。
以前から9部くらいにはなる、とコメント出してたので終わったら9部だなと半信半疑で思ってましたけど、『JOJOLANDS(仮)』のタイトルで既に決定。ちょっと休むらしいですけど、本当にきちゃいました。
ランドってなんだろう。真っ先に浮かんだのは遊園地とかそっちですけど、島、ですかね。なんにせよ外部から遮断された場所が舞台になるような気がしますし、なんか集大成として各部の主人公が総登場したり(これジョジョリオンの時も予想しましたけど、昨今の並行世界やIFワールド見てると見たくなる)、あるいは先日ここでもレビューした通り「ゾンビランド」に引っ張られてゾンビが出てくる、あるいは荒廃した地球が舞台だったり。独自の進化を遂げた生態系で化け物がいたりカルト宗教、やばい独裁者のいるジャンルグルとかある島なのか??などなど、妄想がつきません。今後いつから開始かは明らかになってくると思いますが、またウルトラジャンプでしょうし、ほんとに楽しみです。
ジョジョリオン完結、110話の感想でした。
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