透龍は最後のあがきとして東方花都に近づき等価交換で復活を試みるも、息子から新ロカカカやそれを狙ってくる存在について全てを聞かされてた彼女には無駄だった。スタンド能力「スペース・トラッキング」によって透龍を拘束。攻撃の意図がないために厄災のターゲットにもならない。さらに彼女はカードの中に隠していたつるぎを出現させ、透龍と接触。『等価交換』が始まるが……。
ジョジョリオン最新108話を読んでの、感想です。本編ネタバレ含みます。
※発売日を勘違いしていて当日=18日に更新できませんでした。すみません。
前回の感想はこちら
ジョジョリオン 第107話 【ネタバレあり】 あらすじ 感想 (2021/5/19 更新) #ジョジョ
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#108 最後の厄災
扉絵ででっかく これは『呪い』を解く物語−− と書かれると本当にジョジョリオンが終わってしまうんだな、という気持ちで寂しくもあります。ついに、ついに倒せるんですね。東方家の外観、惨状と化ける内部、なんとか起き上がる密葉、事態を見守るしかない鳩、大弥姉妹と少しずつ問題の場所へ近づいていくカメラワークが緊張感を高めます。あのあとどうなるんだ!?って。
僕としてはもうつるぎが触れた時点で勝負がついたと思ってしまったんですが、花都が泣きながら説明した通り、この時点ではどちらがどちらを治すのかはわからないのんですよね。透龍も、食べたのが自分だから、まだ大丈夫だって考えてますけど、その表情には不安も感じられ「きっとそうに違いない」って言い聞かせてるように見えます。
しかし花都さんの計画の方がまた上回っており、枝をすりつぶして出てきた樹液をつるぎ君の口に注ぎます。これが決定打ですね。前回のクワガタのエピソードはこの「樹液でも効果がある」というための挿入だった。バラバラに崩れていく透龍。完全に余裕がなくなって、小物臭がどんどんmしていきます。
スタンドで止めようとしますが、こちらも攻撃を与える前に砕けていってしまいます。
新ロカカカがいかに貴重か、偶然が重なり合ってできた産物かをまくしたて「地球上の生物のための摂理」とまで褒めています。花都がすり潰したことで、もう2度と実をつけることはない。他のフィクション作品でも『こんなものはあっちゃいけないんだ』って主人公が破壊したり、なんていうシーンはよくありますよね。ただサスペンスとかだと実はどこかにまだ残ってて、再び悲劇が……というバッドエンドを示唆するパターンもあるので、若干「フラグ」かなって心配もよぎったり。
つるぎの「病い」はあんたが全部持っていけ この「罪」は全て私が背負っていく 覚悟を決めている花都さん。つるぎにとっては祖母にあたりますし、過去に何度も触れてますが、こういうジョジョの『母の強さ』を描くシーンは特にグッとくるんですよね。涙は流れているものの、どこか清々しささえ感じる強い顔。カッコいいです。
この後の情けない透龍はこれまで散々苦しめられたからこそものすごいカタルシス。ザマミロ&スカッとサワヤカですけど、ラスボスの断末魔が「康穂!このクソ女をさっさと止めやがれェェェェェッ」って。これも記憶に残りそうだな。7部大統領が彼なりの信念があって魅力があっただけに、この落差よ。つるぎが目を覚まし、対照的に粉々に砕けて風に飛んでいく透龍。
スズメバチをつかめそうでつかめないところが彼の野望が潰えたことを象徴してていいですし、そもそも彼が見た幻なのか、あるいは本人のいうように思い出(=走馬灯)なのか。人間社会に溶け込み、利用するという習性の「岩人間」として生まれたことの哀愁もちょっとだけ感じさせて悪役にも同情させる描き方、やはり好きです。彼にとって色んな意味で康穂ちゃんは特別だったのは間違いないんですね。
一瞬の静寂の後の、遠くからのサイレンの音。一気に日常に引き戻されつつも決着の余韻に浸る中、花都の腹部にノコギリが刺さってることがこのタイミングでわかるのも泣ける。文字通り「差し違える覚悟で」彼に対峙したでしょうし、家族の方が慌てて、本人は「勝てたから、孫を救えたからいいのよ」っていう落ち着いてるってのがこれまた強さを感じます。チラッと常秀を見て、家族団欒の風景を思い描いて気を失うってのがね。いや、気を失ったことにしてくれよ。死なないでほしいよ。
そして扉絵同様に、康穂のモノローグ。呪いを解く物語。連載期間がめちゃくちゃ長いから比較するのもおかしな話だけど、映画のラストシーンを見てる感覚に陥りました。全てが終わって、背景としてそれぞれ登場人物の様子が無音で流れていく中で、康穂の語りだけが流れる。この中で常秀は「負傷した者」密葉は「夫を失った者」となってるので、常敏は死亡で確定なのかな。「それは絶望ではなく 希望に見える」「呪いはこの時解かれたのだから」めちゃくちゃ爽やか。
ちょっとびっくりだったのが、遺体袋的なものに憲助を入れてつるぎが引きずるシーンがあったこと。かなーり前に予告的に描かれてて、最近の流れ的に整合性ないな。予定してた流れと変えたんだな。という風に半ば諦めてたんですけどね。一応(?)つじつま合うように努力されてて、荒木先生の苦心がうかがえます。
あくまで致命傷にならない程度に攻撃してるから無事だよ、って必死で(亡き)父親を庇うつるぎが健気です。
そんなエピローグっぽいムード全開のさなか、なんとその憲助の影にワンダーオブユーの気配が。嘘だろ、まだ終わってなかったのかよ。最近の映画でも最後10分まで安心できないものが多々ありますが、この緩急よ。安心しきってるところでまた緊迫感に突き落とされる感覚。サスペンスをわかってるよな〜。彼の口から指のようなものが見え、這い出してくるようです。厄災の理は本体が死んでもなくならず、続く。透龍は単にそれを利用してただけだったのか。全員が慌てふためく中、
ここで主人公登場。ここからの展開マジで鳥肌立ちっぱなしだった。憲助に寄り添うようにしゃがんでるから、ちょうど定助を見上げる形になるんだけど、それが逆光になってるのとか漫画なんだけど完全に映像としてありありとみえた。「少し移動してくれないか 見えない回転だからね 狙いはだいたいなんだ」もうこの一撃で確実に勝負がつくことを自覚していて、静かに、淡々と伝える格好良さ。西部劇っぽくもある。
行くぞ! 「ソフトアンドウェット」
ページめくって
「ゴー・ビヨンド」オラオララッシュで肩から見えないやつが出る
ワンダーオブユーに当たる
砕け散る。
この流れよ。ラスボスをちゃんと主人公が倒してこそ締まるってもんだし、色んな人の思いを繋いだゴービヨンド、それも1発で決着という一連が本当に痺れた。今回で呪いを解く、という初回からの伏線を回収したというものもあって、2011年からの連載期間に想いをはせて泣きそうになってしまいましたよ。長かったね。
砕け散った厄災、という煽りで今回はおしまい。
いつものTo be continuedが出てますけど、ものすごいスッキリ。7部の時はあと何回で終わりなんていうカウントダウンが来てて寂しさが募りましたけど、まだ続くみたいで良かった。
東方家を中心に犠牲も出ちゃったけど、ついに倒せた。新ロカカカが遠龍に押しつけたの呪いというのは「一族が奇病に罹る」というそのこと自体が対象で、つるぎの代であの奇病は終わって子孫は2度と悩まされないと考えて良さそうですよね。ジョニィにとっても良かった。
ただ実がなくなってしまった状態で、ホリーさんはどうなるっていう。密葉、そして定助も(旧)ロカカカを使い、その代償を受け入れて生活していくようにも見えますが、ホリーさんだけはその症状が重いですよね。彼女もまた娘や息子(のような存在の定助)とまた過ごせればいいって考えるのか。あるいはすでに触れた通り、実はまだどこかに新ロカカカが残っているのか。解決してない問題もどう進展するのか、楽しみです。
それにしても綺麗に決着ついてめちゃくちゃ清々しいのは間違いない。最高でした。
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タイトルの通り、今月は19日が土曜日になるので発売日も早まって18日となることをすっかり忘れていました。急いでkindle版を購入しましたが、感想ブログの作成は翌19日昼になってしまうと思います。すみません、よろしくお願いいたします。
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