革新的なアイディアによって大金持ちとなった社長とその妻。別荘にやってくると、そこには強盗の姿が。彼はひとしきり楽しんだ後でバレないうちに退散するつもりだったが、運悪く鉢合わせてしまう。顔も見られたことで焦るが、最終的に彼から大金をもらうことで穏便にその家を去ることで納得。届けるまでの間、3人は共に生活することに。
独特の雰囲気が流れるオフビートなクライムサスペンスコメディ。
あらすじ
テック界の大富豪が所有する別荘に侵入した男。だが誰もいないはずのその家に、持ち主の傲慢な実業家とその妻が突然やってきたことで、事態は思わぬ方向へ。(Netflix作品紹介より)
冒頭、いきなり定点カメラなようなカットではじまり、天候に恵まれた豪華な別荘とそこでくつろぐ男が出てるだけなのになんとも言えない不気味さを感じました。ヒッチコック風。その「何かが起こりそうな予感」おどろおどろしい雰囲気は映画全編を通じて進行していきますし、独特のシュールさがありました。犯罪を扱ったサスペンスではあるんだけど、ブラックだし、コメディと読んでも間違いなさそう。
序盤の展開としては上記あらすじの通りで、金品だけ盗んで立ち去ろうとしたところでまさかの家主と鉢合わせ。これには強盗も参ったと思います。邦題にもなってますが、このタイミングさえ少しでもずれていたら、その後の3人の運命は違っていたはず。金持ちにとってはあの程度盗んだ程度でも大して問題なさそう。
そう思わせるほど、どちらかというと強盗側に感情移入するようにできてる。ジェシープレモンス扮する社長が(IMDbで確認したところ、役名はそれぞれNobady,CEO,Wifeとかなりシンプル)かなりいけすかない野郎で「強盗にあっちゃってかわいそう」とはあまり感じなくさせてるのが上手いんですよね。これもある意味テンプレかもしれませんが「いくら払えば見逃すんだ?」って上から目線で提示してくるし、その額に対して「低すぎるだろ(笑)」ってさらに煽る。仮にも銃で狙われてるのにすごい。そのほか奥さんへの扱いもなかなか酷くて、直接明言こそしないものの色仕掛けでもなんでもして油断させろ!ってのは引いた。金融係との電話でのやり取りからも普段から威張ってるんだろうなってのが見えてきます。
だからこそ奥さんの彼への気持ちがわかってきて、強盗VS夫婦、って構図じゃなくて夫婦間にも亀裂があるのが見えてくる。今後の人生プランについても齟齬があるのが後半分かりますし、夫からの指示とか関係なしにちょっとだけ強盗側に肩入れしちゃう雰囲気あるのがリアルだった。クズ野郎なんだからそのくらいの金を奪ってもバチは当たらないよ、的な感覚。特に映画を見て笑う場所の違いなんかはとても印象に残ってます。
物語が大きく動くのは、庭師が訪ねてきてから。これによって強盗の存在がバレてしまうし、社長もあの手この手で警察に知らせようとする。このままお金が届くのを待ってれば一応は穏便にすませられたのにね。怒って銃が使われてしまうのかな?って身構えてたら、かなり予想とは違う方向にあれよあれよという展開に。こうなるの何の罪もないのに巻き込まれた庭師が一番かわいそうだった。これもまたあのタイミングで挨拶なんかこなければ良かった……。
予告動画でちらっと映っちゃってるので察する人もいると思いますが、最序盤にチラッと映ってたオブジェが伏線だったり、その出来事が起きた後のあのキャラクターの行動が割と斜め上だったのもあって最後が一番ハラハラさせられたし面白かったですね。びっくりはしたけど、ああいう行動にも納得できるくらいには細かい会話のやり取りとかで関係性が見えてたので、独特な雰囲気がありつつつもしっかり楽しませてもらえた気分。
配信ラインナップで見つけて何気なく再生した作品でしたがとても良かったです。一番最初に触れた通りNetflix作品「ザ・ディスカバリー」という作品もチャーリー・マクダウェル監督&ジェシー・プレモンス出演なので、近いうちに見たいと思います。日本語吹き替えあるし。
ちなみに現代のWindfallは棚ぼた(思いもよらない収入)って意味だそうです。
ネトフリにて吹き替え版で視聴。
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