【Netflix映画】ホワイトファング アラスカの白い牙 / 名作小説「白牙」をCGアニメーションで映画化。雪の大地で生まれた1匹のオオカミ。母親と別れ、悪党によって闘犬として働かされるが、最後には良き出会いをして……。

Netflixオリジナル。「野性の呼び声」の作者でも知られるジャックロンドンの同名小説をフルCGで制作した映画作品。過去にも実写版、日本でもアニメ映画が作られている。森で育ったオオカミ犬が人間に飼われることになって繰り広げる日々を描く。母との別れ、タイプの違う3人の出会い。絆を深めながら、成長していく。
アラスカ。母と共に過酷な状況をなんとか生きていた子犬はインディアンの集落に身を寄せホワイトファングと名付けられる。犬ぞりの先導など活躍するが、土地を買う資金を得る出稼ぎの最中にトラブルに遭い、飼い主は断腸の思いで闘犬オーナーに売ってしまう。そこからは荒ぶる犬との戦いの日々が続き、勝ち残るホワイトファングの人気は高まるもその危険度は増すばかり。噂を聞きつけた保安官が動き出し……。
喋らないものの目線や耳、尻尾などで感情豊かなファングに癒されっぱなし。家族で見られる感動作品。
あらすじ
大自然を生きる1ぴきのオオカミ犬が出会ったのは、それぞれにまったくちがう3人の主人たち。決して忘れることのできない大ぼうけんがいま幕を開ける!(Netflix作品詳細より)


前述の通り小説が原作だし、過去にも映像化されてるんですが、このアニメ映画はかなり削ぎ落としてていてさらにラストに関してはアレンジが加えられている模様。ざっと小説版のあらすじ読んできて違いに驚きました。ネトフリ上の表記が10+(10歳以上)になっているんですが、狼の群れに襲われそうになったり闘犬シーン、あるいは意地悪なビューティスミスの折檻のシーンがあるものの、極力画面には映さず、音だけで何が起きてるかわかるような描写。キツすぎないのが良かったです。

そもそもファングはなんの動物なのか?て疑問があって、襲われるシーンを見ても「狼とは別の種」って印象なんですよね。それは上で触れた小説版の情報で解決。母親のキチェ(キチー)が犬と狼の混血であり、ファングの父は純粋な狼。だから彼本人は「1/4犬のオオカミ」ってこと。そりゃ犬と比べたら強いわけだよ。

あらすじの3人の飼い主ってあるけど闘犬関連はおよそ飼い主って言い方なんかしたくないほどで、単に商売道具としか見てない。マジで早く終わってくれってずっと思ってた。ビューティーというのは皮肉なニックネームなんでしょうけど醜悪な見た目だったし、性格悪すぎ。映画の構成として闘犬のところに誰かが助けに来る→子犬状態からの振り返りって始まりをするのであの地獄を抜け出せるのが確定してるのわかるだけでもいい。

森での生活も同じくらい過酷で、食べ物がなかったり、敵に襲われたりと月並みな表現をすれば毎日が死と隣合わせ。小さいながらも木の実を撮ってきて弱っている母親にあげたりとか本当に健気で、一気に心を奪われました。もう序盤から「子犬の可愛さ」が全開で、いろんなことに興味津々で跳ね回る姿がたまらなかった。首傾げとかやばすぎる。予告動画でもわかる通り、ハスキーっぽい。

インディアン編もすごく癒されて、仮にこのまま生涯を終えても幸せだったろうなって思います。母親を含めて、ちゃんと人間の意図を理解してるのがすごいんです。だから相棒って言われるし、信頼される。最初は餌が欲しくて近づいたんだろうけど集落の一員としてここまで仕事してたら誰も文句言わないよ。犬ぞりの既存メンバーとの関係性ももっと見たかったかも。尺の都合と、作品が変わっちゃうからだろうけど実力で認めさせていく感じ。「トーゴー」という映画も好きだったな。

そんな善人を騙してファングを奪う胸糞ポイントはすでに触れましたが、その後の保安官編もこれまた癒し。序盤の方で実は会っているのもにくい演出ですし(覚えているファングが偉い) 奥さんが怖がらずにちゃんとファングに言い聞かせるところ、話せばわかると「信じて」くれてるのが泣かせます。恩返しのつもりで大事な鶏を殺めちゃって、その後説明したらちゃんと共存してたの。どんだけ賢いんだよこの子は。きっちり悪人も退治されるのもスカッとポイント。

で、どんなハッピーエンドに向かうかワクワクしたんですが、結論から言うと予想と違っていて。見た人ならネタバレになっちゃいますけど「野性の呼び声」エンドでしたね。何を持ってファングの幸せとするか。ここを原作と変えてるらしんで、今回の製作陣の価値観的にはこっちがいいと思ったんでしょう。きっとこの後こうなるんだろうな、って想像の余地を残すいい終わりで、これはこれで好きです。遠吠え、めっちゃかっこいい。


若干嫌な思いをする要素もあるものの、前述の通り直接描写は少なめ。ストーリーも非常にシンプルで、いい人、悪い人が見た目からもわかりやすい。何よりもファングの表情豊かな姿にめちゃくちゃ癒されるので家族で安心して見られる映画だと思います。あらすじ調べてて目に入ったレビューで油絵っぽいって書かれてましたが、確かにCGアニメでありながらあまりないタイプのタッチで表現されてるのでそこも見どころの一つかと。

Netflixで吹き替え版で視聴。
これも数年前から配信されていたようで、なぜか最近まで出会えなかった。

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白い牙(新潮文庫)

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