ういらぶ。 / 星森ゆきも作の人気コミックを、平野紫耀＆桜井日奈子主演で実写化したラブコメディ。同じマンションに住む幼なじみ。好き過ぎて毎回きつい事しか言えない男子と、それが原因でものすごい卑屈になってしまった女子の初々しい恋模様を描く。: 映画感想.net ～映画ファン「きよ」のオススメ作品紹介～

2020年02月05日 19:00

ういらぶ。 / 星森ゆきも作の人気コミックを、平野紫耀＆桜井日奈子主演で実写化したラブコメディ。同じマンションに住む幼なじみ。好き過ぎて毎回きつい事しか言えない男子と、それが原因でものすごい卑屈になってしまった女子の初々しい恋模様を描く。

星森ゆきものコミック「ういらぶ。-初々しい恋のおはなし-」を実写化。監督は佐藤祐市。
同じマンションに住んでいる4人の幼なじみ凛、優羽、蛍太と暦。小さい頃から一緒で今も同じ高校に通っているのだが、優羽のことが好きな凛はその思いを悟られたくないと思うあまり毎回キツイ言葉を浴びせてしまい、そのせいで優羽はものすごく自信がない女の子に成長してしまった。その状態を変えたいと思っていた矢先、和真というライバルが現れて……。
素直になれなくてなかなか進展しない恋を見守る、これぞラブコメの王道といった内容を、平野紫陽、桜井日奈子、玉城ティナ、磯村勇斗そして伊藤健太郎ら美男美女で実写。
あらすじ
同じマンションに住む幼なじみで、高校では美男美女チームとして有名な凛(平野紫耀)、優羽(桜井日奈子)、暦(玉城ティナ)と蛍太(磯村勇斗)。凛は優羽に思いを寄せていることを悟られないよう彼女に対して冷たい態度を取ってしまい、凛のことを好きな優羽は彼の言動のせいで自信が持てずにいた。二人の様子を暦と蛍太が見守る中、凛のライバルとなる和真(伊藤健太郎)が現れ......。(シネマ・トゥデイより)

この映画も「これぞラブコメ」って感じの非常に予想しやすく、そして感情移入できる展開、ファンのツボを分かった物語になっていて、楽しかったです。主人公カップルの恋の進展をストレートに応援する、それだけで十分なんですよ。
登場人物もとてもシンプルで、幼なじみ4人のうち、恋愛として主にスポットが当たるのが凛と優羽。残りの二人はそれぞれの大親友というのが良いんですよね。下手に複雑な三角、四角関係とか出されても負ける方に肩入れしちゃったりなんかしてちょっと複雑な気持ちになっちゃう。ちゃんと和真っていうライバルですよーっていう存在を出してくれるのでそこだけ集中できる。こっちもかなりのイケメン(性格含め)なので、案の定、報われないと分かっていてもちょっと応援したくなってしまったのですけど。

素直になれないがゆえに口を開けばドSな事しか言わない、いや言えない主人公と違って、和真はほんとに優しいし、何より優羽を尊重して接してくれるんですよね。もう誰が見てもバレバレなんで、恋愛上級者っぽい彼なら(?)当然なのかもしれないけど、これまでの全ての経緯を把握した上で、自分にも振り向いて欲しいって色々してくれる。「幼なじみにはなれないけど、彼氏にはなれる」とか、正々堂々気持ちをアピールするのもカッコ良いですし、この手でよくある乱暴な言い方をすれば「女性をモノ扱い」するような、取り合った挙句にヒロインを苦しめるみたいなシーンもほとんどないのでひたすら高感度が上がって行きましたよ。なんかこう「ああ、結局優羽が選ぶのは凛だって分かった上でだなぁ。ほんとに好きなんだな」って思わせてくれました。原作は結構な巻数が出てるらしいのできっと他のキャラクターの掘り下げ、というか恋愛も描かれてるのかなと予想するんですが、この映画の中でも今後を予感させるような伏線、はっきりいうと和真と別の女性とのフラグがたってる気がするので色々想像しながら見てました。(負けた方も幸せになって欲しいので……。)

原作のエピソードを凝縮しているからか、映画の中でも章立てて展開して行き、その合間合間には登場人物たちによる「ういらぶ」というセリフの仕切り直し(いわゆるジングル)があって、その楽しそうな映像も良かった。基本的にそれぞれのキャラに感情移入したり、カッコいー可愛いって思うようなシーンばかりなので、お得感もありますし、逆に連続ドラマとかでじっくりこの世界を見ていたいっていう気持ちにもさせられます。具体的にはいかに凛がこじらせてるかを痛感する序盤と、ライバルである和真の登場、そして焦った凛が「彼女(仮)」という作戦を使って二人が急接近する中盤。すれ違いが起きて離れ離れになって、でも最後にはハッピーエンド、という感じ。普通は付き合うまでの焦ったいのを堪能することが多いんですけど、ガッツリデート的なものも見れたのが面白いと思いました。仮の彼女ということで自分自身までごまかせているのか割と「ぐいぐい引っ張ってく彼氏」としてそこそこの働きをしてた(ちょいちょい優しさも見せることができてた)のが意外でした。ただライバルにとられまいというアセりからの行動なんで、ちょっと優羽の気持ち無視し過ぎてた感がありますからね。

最後のすれ違いからのハッピーエンドは、幼なじみ設定を活かすような、子供の頃の思い出の場所と、宝物っていうこれまた王道のポイントでクライマックスへ向かっていくのも良かったし、現実にいたらかなりヤバイレベルの自信なさげだった優羽が、本当の気持ちをちゃんと出して行動できたっていう成長なんかも見れてジーンときちゃいましたね。完全な見た目だけの話で言うと暦役の人もかなり可愛いんですけど、最後らへんの優羽はほんと可愛らしい魅力が出てたと思います。映像も綺麗だったし。

平野紫陽くんは「花のち晴れ」くらいしかちゃんと演技を見たことはなかったのですが、かなりハマってましたし、そのドラマでも見せていた「自分でもコントロールできなくて焦る」という役柄と、「俺様系」が似合ってるなーと改めて感じました。今後も漫画原作の作品に抜擢されそうですし、楽しみです。声が特徴的だなと思ってましたけど、聞きづらいとかもなかったです。ライバル役の伊藤健太郎君はNHKドラマで若様をやってから出演してると反応しちゃうんですが、優しく穏やか、だけどヒロインだけは譲れないよっていう不快にならず、むしろこっちを応援したくなってしまうキャラにぴったりで個人的にさらに好きになりました。磯村くんは劇中で「オカン」って揶揄されてるのに代表されるように、映画の中では一番大人で、主役カップルを微笑ましく見守ってる感じがとても爽やかでした。

キャスト陣のファンはもちろん、王道ラブストーリーが好きな人は特にオススメしたい作品です。

WOWOWにて録画、視聴。