驚異の能力を得た主人公が復讐に燃える近未来SFアクションサスペンス。果たして彼の倒すべき相手とは。
ローガン・マーシャル=グリーン、メラニー・ヴァレジョ、スティーブ・ダニエルセンら共演。
あらすじ
近未来で妻のアシャ(メラニー・ヴァレジョ)と穏やかに生活していたグレイ・トレイス(ローガン・マーシャル=グリーン)は、突如現れた正体不明の組織に襲われる。妻は殺され、グレイは一命を取り留めるが、全身がまひしてしまう。悲しみに沈む中、ある科学者から実験段階にある人工知能チップ“STEM”を肉体に埋め込む手術を提案され、彼は受けることにする。やがて彼は体を動かせるようになったばかりか、驚異的な身体能力を得る。(シネマ・トゥデイより)
いやー、すごい映画だった。とにかく映像の見せ方が考えられていて、ストーリーの面白さもさることながら全てのアクションシーンに釘付けになっちゃうレベルでした。予告動画でもそれが見て取れますが、なんと表現していいのか「主人公を常に中心にした」カメラワークなんですよ。たいていの作品って地面に並行とか、あるいは見下ろしとか特定の方向から撮ったり、一番見栄えのいい角度からってのが多いと思うんですけど、この映画だと動きに合わせて画面自体が縦横斜めに動きます。それがとてもクセになるんですよね。一歩間違うと"酔いやすい"かもしれませんが、より「人間をやめた動き」を表現できてていてこれだけでも映画の凄さが底上げされてると思います。
さらに特徴として「脳で考えてから四肢が動く」のと「最適な行動をとる」の合わせ技によって、『ゲームキャラクターのような動き』になってるのも面白い。あえて"スムーズではない感じ"。極端な話 昔のゲームのように、まず直進して、一度止まって、そこから右をむいて、また直進、というようなロボコップ感。グレイの意思を実際に実行してるのはステム、というのが強調されてるように思えましたし、その異質さがただならぬオーラを産んでて良かったです。
そのグレイとステムとのやりとりもバディものとしての楽しみさもあって良かった。どことなくヴェノムを彷彿とさせました。ステムがかなり効率主義というか、危険があるならこっちから倒せっていう容赦ないタイプなのでグレイが引くほど攻撃しちゃうし「私がやるから君は目を背けていていい」なんていうどっちが主導権握ってるかわからない状況にもなるし。まあそこが怖いところでもあるんですけどね。グレイの体であると同時に、ステムに動かせてしまうという。楽しくなってきた彼が「俺は忍者なんだ」「忍者ではありません」っていうやりとりが好きです。
お話の展開としては犯行グループの情報が少しずつわかっていって、そいつも強いから戦って、で黒幕がわかるという、この手の復讐劇としてはかなり王道の展開を見せていきます。ということで自ずと最後の相手が予想できちゃうんですけど、この映画はそこからさらに捻ってきますし、終わりかたとしても「そうくるのか!」って衝撃でしたね。そうだこれジェイソンブラムとリー・ワネルだったわ、と改めて実感させられます。
敵役も同じようにアップグレードしてるんでマトリックスの戦闘シーンのようなハイスピード超パワーのバトルが見れてそこもワクワクしますし、「手に銃の機構を移植している」というのもSFでとてもロマンがありました。近未来を舞台にしてるので自動運転のシステムとか、グレイが暮らし安いような家の介助ロボットシステムとかが登場する一方で、例えばグレイは昔ながらの普通の車を整備するのが好き(=ステムでコントロールできない自動車もある)という、絶妙なリアリティがあるんですよねー。
復讐劇のド派手アクションが好きな方にも、近未来SFのワクワクが好きな人にもオススメできる1本。
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