ある日レストランに携帯を忘れた女性弁護士ディアーヌ、偶然拾ったという男性が電話帳を頼りに自宅に連絡をくれるが、優しそうな声とユーモアある会話に運命めいたものを感じた彼女は、直接会って電話を受け取ることになる。しかし待ち合わせ場所に行ってみると、子供のような背丈の男性がそこにいて……。
共に過ごすうちにどんどん惹かれていく一方で、どうしても身長のことが気になってしまい踏ん切れない微妙な恋心をユーモア交えて描いた作品。
あらすじ
浮気性な夫と離婚して3年が経過したものの、いまだ仕事上のパートナーである彼と衝突を繰り返す弁護士のディアーヌ(ヴィルジニー・エフィラ)。ある日、アレクサンドル(ジャン・デュジャルダン)から彼女がレストランに置き忘れた携帯電話を拾ったという連絡が入る。優しげな声と知的でユーモラスな話し方にディアーヌは、新たな恋を見つけられるかもしれないと期待を抱いて携帯電話を受け取りにいく。だが、アレクサンドルはハンサムだったが自分より身長が低く……。(シネマトゥデイより)
単純に男女の身長差が逆というのならば、背の高い女性がヒロインであれば十分成り立つので結構普通かと思うんですが、この映画は主人公が136cmなので、「逆身長差カップル」っていうふわっとした形容でイメージするよりもずっと小さいです。実際、劇中でアレクサンドルに服を買いに行ったら子供向けと勘違いされ、その店員さんと偶然街で会っちゃうという流れが出てくるくらいなので、初めて目にするとみんな驚いてしまいます。
フランス産(ラブ)コメディのユーモアのセンスだなぁと思うんですが、度々そういう身長をネタにしたジョーク的なシーンが出てきます。この映画では本人がすでに色々吹っ切れていて、少なくとも辛いという感情は表に出さないのでそこが救いですし、なんなら自虐ネタにしちゃってます。予告動画でもこれが僕の個性だって言ってますし。ヒロインを見つめようとすると見上げる姿勢になるため「首が痛い」ってぶっちゃけるところはシンプルにニヤッとできました。
ただ、別れた元夫が色々と小馬鹿にしてきたり(これはある意味でライバルとして認めてる)まさか恋人としての付き合いとは知らず、ヒロインの母親が身長ジョークを言うとか、お下劣コメディによくある「これは笑っていいものなのか」ってのが少し過ぎっちゃいまして。個人的に一番モヤモヤしたのが、ヒロインの秘書的ポジションの女性。「小さくてかわい〜」てな反応を本人悪気なしに発揮してて、屈んで目線を合わせたり、飲み物にストロー入れたり(要は子供に接するように接してる)するのが気になってしまいました。そのくせ、どうしても身長のことで最後の踏ん切りがつかないっていうヒロインに「小さいのはあなたの心の器の方よ」なんて説教するもんだから余計にね(これも予告動画にあります。)
男から見てもアレクサンドルはかなり魅力的で、一緒にいて幸せになれそうっていう一番大事な要素としてかなり理想の相手だと思うんですけどね。二人が一緒にダンスするシーンとかほんとに微笑ましいですし、スカイダイビングとか楽しいことを経験させてくれそう。だからこそ身長という点だけを心の中でクリアできればオーケーなのに、どうしても無理。その気持ちもわからなくもないです。この作品ではたまたま背の低さでしたけど、ものすごく好きになった人の中で、唯一、欠点があった時にどうするか、っていう意味ではかなりありえるお話なのかもなと思いました。身長とか、本人の意思ではどうにもならない部分を欠点と呼んでいいのか、という感じもしますけど。
その感覚は一番ヒロイン自身がわかってたと思うんです。世間からの目であれ、そんなことをいちいち気にしてしまうのか、そんな女なのか私は!でもどうしても……っていう揺れる恋心。だからこそ共感できる。ラブコメの王道だと思うのですが、中盤あたりでそんな気配をアレクサンドルに悟られ、かつ否定できない自分がいて二人に距離ができてしまう。ハッピーエンドに向かうための小休止だと分かっていても、見てて辛かったです。
こうかくとラストのネタバレになってしまう気もしますけど、この手のお話でやっぱりどうしても無理なので別れました、身長気にせず愛してくれる別の女性が現れてめでたしめでたし、になったらそれこそ総スカンだと思うので、ラブコメ好きなら全員予想した通りの締め方をしてくれました。恋人の欠点が気になりはじめた方もそうじゃないかたも、おすすめ。
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