年に一度開かれる音楽の祭典「ユーロビジョン歌合戦」それに出るのが小さい頃からの夢だったラーズとシグリットだが、そんな二人ももういい年齢。みんなの為に演奏して喜ばれているもののミュージシャンとして成功しているとは言えず、父親にも認められていなかった。そんな時歌合戦におけるアイスランド代表のオーディションに参加できることになり、偶然が重なった結果、代表に選ばれる。しかしトラブルが続き、本国民からにさえ笑い者状態で……。
父親役でピアース・ブロスナン、ロシアの代表歌手としてダン・スティーブンス(「美女と野獣」、ドラマ「レギオン」)など豪華共演。劇中で重要な曲が本年度アカデミー賞の候補にあがっている(26日決定)、音楽映画としてもクオリティの高い1本。
あらすじ
ラーズ (ウィル・フェレル) とシグリット (レイチェル・マクアダムス) は世界に羽ばたくことを夢見るミュージシャン。そんな2人に、世界最大級の音楽コンテストに出場する一世一代のチャンスが舞い込む。無謀とも思える野望を成し遂げるため、今こそ立ち上がるとき!(予告動画概要欄より)
「俺たちシリーズ」をはじめウィル・フェレル出演作品を知ってる人なら割と耐性ができてると思いますが、結構ブラックで下品なジョークがバンバン出るので身構えて視聴。予告動画でもその片鱗が少し回見えますが、「パパVS新しいパパ」シリーズ同様に【いつもよりは抑え目】ただ、基本的にくだらねぇなぁって笑えるポイントは随所にあるので、パワーダウンしてるわけではありません。こういう映画によくジェームズボンドやった人が出てくれたよって感じ。
上記あらすじを捕捉すると、くじ引き感覚で奇跡的にオーデション候補に選ばれて二人ですが、ものすごいバカをやって、恥かいて終ってしまうといういきなりコメディな展開。しかしアフターパーティの会場で爆発事故が起きて彼ら以外は全員死亡、繰り上げで代表になるという「とんとん拍子ってそういうことじゃないだろ汗」ってツッコミ入れたくなるおバカな展開ですが、披露している楽曲「ボルケーノマン」自体は結構ノリノリですし、悪くないと思うんですよね。他の国の曲と比べても遜色ないイメージ。去年くらいに放送されていたNetflixのCMで、灰色の(?)大地で北欧神話っぽいコスプレした人がキーボード弾いてる映像が流れててずっと不思議だったんですが、この作品でした。序盤の方そのPVっぽい映像だったり、オーディションやリハーサルなどで複数回聞くので耳に残ってしまいました。
ついでなので曲の話をすると、アカデミー賞の候補になったのは最後に披露する「Husavik (My Home Town)」という曲で、そこに至る前のシチュエーションもいいですし、歌声に圧倒されます。調べると歌ってるのはスウェーデンの歌手モリー・サンデーんさんという方。なんと本物のユーロビジョンソングコンテストにて、14歳の若さでスウェーデン代表として出場した経験を持っています。実際見てた時はレイチェルが歌ってるんだとばっかり思ってましたが、言われてみればうますぎですからね。プロのアテレコだったのか。タイトルで検索するとフルで聞けるのでネタバレ映像も平気な人はぜひ聴いて欲しいのですが
アイスランド語で歌うところもジーンときます。普段ふざけてるウィルフェレルが神妙な顔でコーラスやってるの笑そうになっちゃう。
さらに言えば「ヤォヤォ・ディンドン」という楽しげな曲もとても印象的で、これも調べたところ映画オリジナルらしい。だいだい続く民俗の歌なのかと思ってた。劇中では名曲のカバーやラーズたちの曲はいいからずっとこれだけ演奏しろ、観客たちがねだるというお決まりのギャグになってたんですが、Youtubeの楽曲動画の対してNetflix北欧公式がそういうコメントついてたりして現実世界でも遊んでて笑えます。最終的にサビを一緒に歌っちゃうくらいにはお気に入りになりました。
コンテストってことで他の出場者たちも、もちろん注目ポイント。ダンスティーブンス扮するイケメンロシア代表はヒロインのシグリットといい感じになるのですが、「愛のライオン」のパフォーマンスは圧巻でめちゃくちゃかっこいいです。コンテスト参加者たちなどで行われる中盤の「ソング・アロング」ってシーンも超豪華で、色んな才能が一堂に集結してるのは聞いてるだけでかなり心地いいです。この辺りで完全に「あ〜ウィルフェレル主演コメディだけど音楽もガチできてるなこれ」って実感しました。
ストーリー展開としてはコンテストにプラスしてメインカップル二人の進展も大きな核になってて、もともと恋人になりたいシグリットと音楽に集中したいラーズで意見の不一致があるなかで、それぞれの別の相手が登場して、さらには心が離れてしまうっていう王道ラブコメをなぞってくれます。そこに加えて「コンテストに出た以上は何がなんでも優勝したい」「それが全てなのか?」って問題も重なってきて(評価されるようなアレンジを付け足しすぎてしまう、派手な演出を選んでしまうなど) 誰もが共感できる物語になってるのがすごいよかった。どっちの気持ちもわかるんですよね。小さい頃からの夢が叶うってなったら、誰だって空回りしちゃうよ。
これは予想できましたが、ちゃんと父と息子の絆も回復して、最後きちんと歌合戦を心から楽しめたのがよかった。そこに至るまでの一番の障害を解決してくれたのが、散々伏線を貼っていたあの伝説/伝承だったのは予想外でしたし、ここブラックなネタぶっ込んできたか、と感心しちゃいましたよ。あれは笑ったなぁ。そういう一切のしがらみから解放された上での、前述の「Husavik (My Home Town)」ですから、めちゃくちゃきももち良かった。
あんまりフューチャーされないけど、あんな失態を演じたのにちゃんと投票してくれた他の国の人たちの優しさもだんだん沁みてくるんですよね……。大会がどうなったかそのものよりも、後日談的な映像で幸せいっぱいにしてくれてとても良かった。
すでに触れた通り若干人を選びそうなギャグはあるものの、圧巻のパフォーマンスシーンが多々あり、音楽作品としてもものすごく見応えある映画でした。オスカーの候補どれも名曲ですが、この映画のも決して負けてない、個人的には一番好きかもしれないので今から発表が楽しみです。
Netflixにて吹き替え版で視聴。基本的に歌はオリジナル版+日本語字幕のままでした。
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