海には巨大で恐ろしい怪物が暮らし、人間たちを脅かしている世界。ハンターと呼ばれるものたちは国の依頼によってそれらを討伐し安全を確保していることで人々のヒーローだった。彼らの英雄譚を綴った本を読み込み憧れていた孤児院の少女メイジーはこっそりと船に乗り込むが、最終的にクルーとして認められる。船長はじめ因縁のある怪物「レッド」との激しい戦いが予想される中、ジェイコブとメイジーが乗る小舟が食べられてしまう。もはや終わりかと思われたが、レッドは凶暴とはほど遠く……。
少女と怪物の交流と、歴史に隠された真実。子供だけでなく大人も泣ける傑作アドベンチャー。
カール・アーバンやザリス=エンジェル・ヘイター、ジャレッド・ハリス、マリアンヌ・ジャン=バプティスト、ダン・スティーヴンスらがオリジナルのボイスキャストを務め、日本語吹き替えは 武内駿輔、境葵乃、木村雅史など。
あらすじ
海の獣を退治するハンターが英雄としてたたえられている世界。ジェイコブ・ホランドは偉大なハンターとして人々に敬われていたが、彼の船にまだ幼いメイジー・ブランブルがひそかに乗り込んでしまったことから、二人は仲間たちと共に未知の海域へと進んでいく。(シネマ・トゥデイより)
Netflix配信、そしてソニーなんですが、監督もベイマックス、モアナの脚本などディズニーに多数携わってきたので実際のところピクサーの新作と言われても違和感ないクオリティ、面白さでした。しかも勝手にアドベンチャー要素の強い作品だと思ってましたが、それ以上に美しい映像と怪物との交流、成長が描かれていてかなり深かったです。
もちろん主役がハンターなので、乱暴な言い方をすれば海賊モノのような冒険ロマンもバンバン出てきます。タイトルにもなっている「海の怪物」は基本的にめちゃくちゃ大きいので戦闘シーンも見応えあるし、一歩間違えば簡単に命を落とす危険と隣り合わせの緊迫感がすごいです。まるでタコのような職種がキモいし。実際メイジーの両親は元ハンターで、怪物にやられて亡くなったという設定なので人間にとってどれほどの存在なのか、そしてそれとたかうハンターがいかにかっこいいかがわかります。船長をはじめ組員たちが指示を受けて適材適所働くシーンとかめちゃくちゃ楽しいし、それぞれキャラが立っているんですよね。
それこそタイトルのジェイコブは次期船長を内定している右腕的存在で、討伐の記録という意味でもスター。元々は孤児だったのを助けて、息子のように育てた〜という、クロウ船長とジェイコブの関係性もとても良かった。考え方の違いによって別行動になってしまう流れも切ないし、クロウにとって怪物は自分の目や、仲間を奪った憎い仇っていう意味合いも普通に理解して共感できるんで嫌いになれなかったんですよね。長年染み付いてしまった価値観によって、いわば取り憑かれてしまってる状態。
クルーたちの安全確保っていう選択をしたジェイコブとその時点で相違があったのですが、中盤に差し掛かって彼とメイジーが「レッド」に食べられてからはさらにその隔たりは広がっていく。前述の通り、レッドは凶暴なモンスターではなかった。普通に暮らしがあって、人間はそれを邪魔する存在。「謎の生物と子供との交流」もよくあるジャンルですが、でかい図体なのにすんなりそのパターンにハマっちゃうくらい独特の可愛らしさがあってなんとも言えなかった。
もっと可愛さ全開のモンスターもいて、それが小さい「ブルー」これは猫とか犬っぽいマスコット的な感覚で、終始癒されました。ここぞという時にもメイジーたちの手助けもしてくれるので本当いいやつ。映画の真ん中くらいはジェイコブと合わせて2人と2匹のセットで旅してたのですが、美麗さも相まってとっても微笑ましかったです。
彼らが人間の仲間の元へ帰るってことは、つまりレッドを倒そうとしてるクロウと再開するわけでそういう展開にならないでほしいと願ってた。でも倒すために毒の武器を用意したりと着々と準備が進んじゃっていて。しなくていい争いをしてるってのはこういう時代だけに余計に辛かったです。しかも巻き込まれる形でメイジーも……。
一応子供向け映画なんで、映画スタート時点の登場人物は基本誰一人として死ぬことはないのでそこは安心してほしいんですが、解決方法が非常に深くてですね。「嘘の歴史だった」をああいう形できちんと白日の元に晒して、人々がちゃんとそれを理解してくれたのが素敵だった。手伝ってくれた航海士のサラシャープとか、国王の命令を無視した兵士長とかそれぞれの思いを想像するだけで泣けてくる。まあ一番ぐっとくるのは来るのはくるのはジェイコブのモリのシーンですけどね。今度こそ。
言葉は通じないもののの、レッドと意思疎通できてるのが感動的だし、それぞれの立場でもう止められないところまで来ていたにもかかわらず平和的に解決できた奇跡。大人も胸を打たれると思います。それは敵だと決めつけなかったメイじーもえらいし、それを信じて絆を深めていったジェイコブの凄さでもある。やっぱりクロウが船長に指名するくらい彼もまた素晴らしい英雄だった。
冒険あり、癒し映像あり、笑いあり、そして納得のいくハッピーエンド。スタッフ的にも安心して見始めましたが、期待を裏切らない面白さでどんな人にも勧められる1本。
Netflixにて吹き替え版で視聴。
原題はシンプルに"The Sea Beast"
宴っぽい劇中歌も良かった。
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