ナイト・ウォッチャー / ホテルで夜間受付係として働くアスペルガーの青年。客室に隠しカメラを設置し会話の方法を「研究」していたが、殺人事件が起きる。別の職場に移った彼は美しい女性客と知り合うが、彼女にも危険が迫っており……。

レディプレーヤー1などのタイ・シェリダン主演。ヒロインに007ボンドウーマンのアナ・デ・アルマスを起用した、サスペンスドラマ。人との会話の練習のために設置していた監視カメラに殺人の瞬間が映ってしまったことで容疑をかけられてしまうアスペルガーの青年を主人公に、移動した先で彼が出会う美しい女性客への恋心、さらに彼女へ迫る危険などを描く。
アスペルガーを抱えながら、ホテルで夜間の受付係として働くバート。彼は人との会話の仕方を学ぶため、客室を含めて隠しカメラを複数設置していたのだが、とある女性が殺された瞬間を目撃してしまう。急いで駆けつけカメラなどは回収できたものの、事実を説明できない彼は警察からマークされることに。決定打のないまま系列ホテルに移動になったバートだったが、お客のアンドレアと知り合い彼女に恋をするように。身なりをととのえたりと変わっていくのだが……。
ジョン・レグイザモ、ヘレン・ハントら共演。
あらすじ
アスペルガー症候群の青年バート(タイ・シェリダン)はホテルの夜間受付係として働きながら、客室に隠しカメラを仕掛けて客の行動を観察し、他人との接し方を学んでいた。ある日、勤務中に女性客が殺害され彼は第一容疑者として疑われてしまう。警察の捜査が進む中、自らの無実を証明するカメラの存在を明かすことができないバートは、美しい女性客アンドレア(アナ・デ・アルマス)と知り合い、彼女の命が狙われていることに気付く。(シネマ・トゥデイより)


まず第一に研究のためとは言え「客室を盗撮している」ことを受け流す必要があって、主人公に肩入れする時の若干ハードルがあるっていう。基本的にバスルームやトイレにはつけてなかったろうけど、鏡の前だしベッドは丸見えの所だし。前述の通り普通に恋をするし、劇中で性的なことに興味あるのか聞かれて「難しい質問だ」って答えてますからね。そこだけは肯定しちゃいけない部分だし、ぶっちゃけキモいんでね。
ただそれがあったおかげで殺人の証拠が録画されてたってのが重要なんですよ。仮に現実なら自分が犯人として疑われた時点でそれを見せれば「盗撮の罪」はいずれにせよ身の殺しについての潔白は証明できるし、犯人逮捕にもつながる。でも映画だから(笑)なかなかそれをしない。怒られると思ったんでしょうね。ということはやはりイケナイことだってわかった上で撮ってるのか!?

それは置いといて、大きく動き出すのはヒロインのアンドレアが登場してから。先日007でとてもいいキャラしてたのもあって恋しちゃう美人な客という設定もすんなり受け入れられたんですが、「弟もアスペルガーだからよくわかるし、頑張ってる」って褒めてくれたり、距離が近かったりとこれは誰でもやられちゃうと思う。夜に一人で泳ぐと危ない、ってことでバートはプールに同席してたんですが、上半身裸をガッツリ目撃しちゃうし。(映画視聴者的にも、サービスシーン) 彼の方から思わずキスしちゃう。でもなんとなくこの恋は成就しそうにないのが見えてるんだよな……。

そこからは人生に色がついたみたいに身なりを整えたり、車を買ってみたりと「見合う男」になろうとして、そのちょっと滑稽とも言える姿はとても共感できた。思ったことを口に出しちゃうから一部喧嘩売ってるかのような言動になったり、髪は切ってほしいけど肌には触ってほしくないという生きづらさを抱えながら少しずつ前進していったのも微笑ましいし。

でも案の定アンドレアは恋人といい感じで、一気に地獄に。本人の口から説明されますが、既婚者と付き合っていてそれがうまくいったりいかなかったりなんですよね。愚痴られた方はそんな男別れて俺じゃダメか、ってなるんですけど、未練があるから愚痴ってる訳で。復縁してラブラブなの見せつけられるのはほんと辛い。特にバートにとって初恋みたいな感じだからショックも相当でかいんですよね。失恋という人類に共通する悲しみなんで、そこも感情移入できると思います。

バートはあまり意識してないけどヘレンハント扮する母親もとてもいい人で、最初こそ無条件に息子の無実を叫んでて親バカのイメージがありましたが、夫を亡くした悲しみとか生きづらさを抱える息子を育てる中での大変さとかが滲み出てて、彼女の立場として見ても面白かった。突然生き生きし出したら引きこもりに戻っちゃうって辛いよ。でも最終的に一緒にご飯を食べるようになったのはすごい進歩で、劇中ではそんなにフューチャーされない場面でしたがグッときました。

この手の作品として再びカメラが活躍するんだな、ってのは予測できてましたが、例によってアンドレアに危険が。そこからの展開はちょっと捻りが効いててとても良かったですね。普通にとってたことに戸惑い起こりつつも、助けてくれたことで最終的には許していい感じに。そしてハッピーエンドへ、というのが王道の一つだと思うんですが。実際は2段階くらいで驚かせてくれた。切ないんだけど、ちょっと気持ちい。これはアナ・デ・アルマスで正解だったなって改めて感じました。全てを察して「こらこらバート」っていう言い方がほんと好き。

主演のタイ・シェリダン君の人と目を合わせられない感じとか、逆に急に激昂するところなんかは他のフィクションで見るのと同様に生きづらさを抱えた人としての描写として違和感はなかったですが、これ仮に悪意100%の覗き魔でも一応成立はしたかもな、と思いました。でもそうすると相当キモいからダメか。ディスタービアとか?

「偶然とってしまった」というサスペンスをやりつつも、美人との出会いと失恋で一歩大人になる主人公の物語。さらには予想の上をいく展開で面白かった。設定を聞いた時からずっと気になってたんでようやく見れて良かったです。

ちなみに現代は夜間受付という意味のThe Night Clerk。見てる、からウォッチャーで分かりやすかったかも。


アマゾンプライムビデオで吹き替え版で視聴。
22年4月現在、字幕版とともに会員見放題対象です。
どうやらソフト未発売らしい。DVDレンタルはあります。

動画:吹き替え版はこちら
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