高校中退ののち、ファストフード店での深夜勤務を38年も続けたスタンリーはいよいよ引退の日が近づいていたが、彼の後任として新しくジェボンという青年が入ってくる。彼は保護観察中の身であり、若いながら子供もいた。才能はあるものの生意気な口振りのために衝突もするが、同僚として過ごしていくうちに2人の友情が芽生えていく。しかしトラブルに見舞われたスタンリーは魔がさしてあることをしてしまう。
ジェボン役にシェーン・ポール・マッギー(「アフター」)のほか、エド・オニール、アリソン・トルマン、ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ、バーガンディ・ベイカーら共演。
あらすじ
高校を中退し、地元のファストフード店で38年深夜勤務をこなしてきた高齢のスタンリー(リチャード・ジェンキンス)は引退の日が近づいていた。だが、彼の後任となるジェボン(シェーン・ポール・マッギー)が現れたことで、最後の勤務となる週末は様相が変わってしまう。ジェボンは才能豊かだが人生に行き詰まったライター志望の若者で、挑発的な発言のせいで度々トラブルを招いていた。まったく共通点のない2人の人生が思いがけず交差する。深夜の静かな厨房で長い時間を過ごすうちに、2人の間に友情が芽生え始める。(予告動画概要欄より)
先に言っておくと「世代も人種も違う2人が深夜のファストフード店を舞台に交流する、感動ストーリー」を勝手にイメージしてたので見事に裏切られたので、そういった作品じゃないということを予めご了承ください。個人的には普通にそういう方向でも良かったんじゃないかなとは思うんですけどね。
そもそもこれ主人公どっちに「より」感情移入するかっていうことでもかなり変わってくると思うんですが、スタンリーが38年間ファストフードの深夜店長っていうことがなんとも切ないんですよ。ずっと頑張ってて偉いって部分ももちろんあるんだけど、「愚直」ってことでもある。ジェボンに言われるまで他の店との給料の違いもそんなに気にしてなかったし、深夜だから客に絡まれることも多々ある。きつい割に貰えてなくて、尊重もされてなくて。プライドを持つ部分がちょっと違うんですよね。虐げられても、店のためにやってるから正しいし自分はすごいってなっちゃってる。世界がとても狭いっていうのかな。ドヤ顔で先輩風吹かすのが若干痛々しくなっちゃう。
それが母親にとっていいことかは置いといて、街から離れたくて施設に入れる決断をするけどトラブル続きだし。兄弟に対してすごいコンプレックス持ってるから相談して一緒に決めることもできない。気持ちもわかるんだけど、すごい独りよがり。不器用な人だって思うし、人間らしさはあってそれはそれで魅力的に映るんですけど。あとはほんと自分がいなくなっても回るように一生懸命引き継ぎしようとしててそこは当初思ってた通りのほっこり感がある。
一方でジェボンもジェボンで人と違う着眼点とか文章力とかそっち方面の才能ありそうなのに、基本的に喧嘩を売るスタイルの言動が多いから勘違いされやすいし、衝突しがち。給料云々だってスタンリーのためを思って言ってるわけだし、不満はありながらもなんだかんだちゃんと働いてる。スタンリーの姿を見て、間違いなく影響されてるのがわかるのも良かった。
劇中で人種問題もちょこっと入ってて、過去に高校で起きたという事件とスタンリーの関係性や、とある事件が起きたときにどう反応されるかってのを含めて胸が痛くなるシーンが多々ありました。特にもうちょっと敬われてもいいはずだ、ってスタンリーが珍しく表明する時の上司の「それ私たちに向かって言えるのか」的な流れがかなり印象的。MCUドラマでの2代目キャプテンアメリカのスピーチ思い出します。(黒人がどう思われているか)
だからこそそれぞれ未熟な部分を補ってよき親友になって欲しかったのに、とある悲劇からの予想外の展開はハッピーエンドが大好きな僕としてはかなり衝撃でした。どのタイミングで勇気出してるんだよ、っていう。罪悪感持ちながらも何かが好転すればまだ理解できたものを、結局劇的なことは起きないという。
そんな片方の姿を反面教師にしてもう片方は正しい道を歩いていけそうな気がする、ある意味救いがあるラストなのは良かった。予想とは違っていましたが、極端に後味が悪いわけではないのでご安心を。よく言えば「リアリティがあるし」、ただ映画なりの優しい世界を期待すると裏切られる。ネタバレしてしまって申し訳ないのですが、それを分かった上で見る分には各キャラに感情移入しやすいし学ぶこともあると思うので、ぜひ。
Netflixにて吹き替え版で視聴。
2022年9月現在ソフト未発売で、デジタル配信、動画サイトのみのようです。
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