キングスマン:ファースト・エージェント / 紳士服テーラーを隠れ蓑にしたスパイ組織。その結成の秘密が描かれる前日譚。悪の陰謀によって第一次大戦勃発の危機が迫る中、イギリス人親子らが立ち向かう。

ハイテンションでやややり過ぎなアクションシーンと、スパイ的な活躍、悪との対決が描かれて大ヒットしたキングスマンシリーズの最新作は、結成の秘話に迫る前日譚。第一次世界大戦のかげに敵組織の陰謀があり、それを阻止すべく英国貴族とその息子、仲間たちが奮闘していく。史実とフィクションの融合、よりシリアスでハラハラドキドキのエンターテイメント作。
平和のために奮闘するイギリス人オックスフォード公。彼の息子コンラッドはずっと兵士として戦うことを夢見ていたが、妻との誓いを守るためにずっと許可しなかった。各国にそのメンバーがいる悪の組織の暗躍によって情勢が悪化していく中、ついに秘密を打ち明けることに。彼は世界中にネットワークを持ち、スパイ活動をしていたのだ。ラスプーチンを止めるため、親子で現場に向かうが……。
レイフ・ファインズ、ジェマ・アータートン、リス・エヴァンス、マシュー・グード、トム・ホランダー、ハリス・ディキンソンら出演。
あらすじ
イギリス、ドイツ、ロシアといった大国間の陰謀が渦を巻き、第1次世界大戦勃発の危機が迫ろうとしていた。そんな中、コンラッド(ハリス・ディキンソン)は父親のオックスフォード公(レイフ・ファインズ)に連れられ、高級紳士服テーラーを表向きの顔にしたスパイ組織キングスマンの一員として迎えられる。世界に迫る危機を回避しようと動き出す二人だが、その前に怪僧ラスプーチン(リス・エヴァンス)が立ちはだかる。(シネマ・トゥデイより)


延期されてようやく公開された最新作。早くもディズニープラスにてサブスク解禁ってことでそっこう見ました。やはりキングスマンは面白い。タイトルにも書かれている通り、3作目ですが主人公は一番最初、結成された時のメンバー。どういう経緯でできたかが描かれるわけです。ちなみに1,2の正式な続編として「キングスマン3」(4作目)が制作予定なんでそちらも楽しみにしてます。

ただ今回は舞台設定が第一次世界大戦前夜(目前)ってことなんで、スパイ道具としてそこまでハイテクなものは出てきません。ただ国同士の一触即発ムードがハンパないし、戦争という戦士も犠牲者も大量に出てしまう悲劇が引き起こされるわけで敵の「邪悪さ」はかなりのものです。冒頭でも触れた通り、実在の人物が出てくるし、史実も織り交ぜられるので説得力がすごいんですよね。学生時代に習った『サラエボ事件』か、と気がついた時の衝撃。そこに陰謀が絡んでたとしたら、って展開していきます。

ハリーとエグジーはどこか父と息子のような関係性でしたが、今回はズバリ親子が一番の主人公。亡き妻との「息子を守って」という言葉を守るために、本人の意思とは裏腹に絶対に戦いに巻き込まないようにしていたオーランド・オックスフォード公。しかし世界の危機が迫ったことで、コンラッドに秘密をうちあけラスプーチン暗殺に同行させることに。この両者のすれ違い的なのはどっちの気持ちもわかるから辛いよね。僕は危険なことしたくないから絶対嫌なんですけど(笑)、周りがみんな国のために戦おうとしていて、坊ちゃんは守られてるのか、って思われたり具体的に「臆病者」と言われたりしたら戦いたくなってしまう。元々英雄に憧れている節がありますから、活躍できないのはもどかしかったでしょう。だからコンラッドが任務デビューするのはこっちも嬉しかった。

他にも見どころはたくさんあるんですが、一番「従来のキングスマン」ぽさがあったのは、このラスプーチンとの戦闘シーン。この男の言葉一つ一つが下品でぶっ飛んでてそれだけで相当キャラが立ってるんですが、バトルも最高。「お前らの墓の上でダンスする」って言葉通り、踊りながら戦うし、例によってハイスピードで心地よいテンポ、BGMが最高。チャイコスフキーの序曲1812年のアレンジ。たまんないです。

中盤あたりはガラッと空気が変わって、戦争そのものが舞台。彼の念願かなってコンラッドは兵士として参加するんですが……。この辺りの展開も普通の映画じゃあり得ないだろってものなんですが、その後の「キングスマン結成」の直接的な動機に関わってくるし、辛いけど意味があるって感じでほんと複雑。最初に散々やってて感情移入させといて、「え?」て一瞬時が止まるよ……。

指輪とは別の、敵メンバーの共通点を見つけた主人公たちはついにアジトを突き止め、突入。崖での最初の戦いはある意味地味なんですが圧倒的な力の差を見せつけられて緊迫感がすごかったですね。何やっても勝てそうにないっていう。シンプルなフィジカルの違い。ただその分サポートする仲間たちがめちゃくちゃカッコ良くて。特にスナイパーね。自分も撃たれそうになりながら、バンバン一撃でやってつけていくのは爽快。一方で大男を最後倒す方法もカッコ良かった。さすがマーリン。

敵のボスは顔を隠してたのですが、声が特徴的なので途中でこの人だってわかったので思ったほどサプライズ感は少なめ。あの位置じゃなきゃできないことも多いし、予想できるはず。ただ満を辞してという感じで1体1の直接対決がガッツリ描写させるので、そこも見応えがあります。カメラワークも独特でしたし、映写機の前で、とか好きでしたね。もちろん正義が勝つのはわかってるんですが、それでもハラハラしました。

いわゆるスパイものとしての面白さもたくさんあって、「彼らのネットワークの正体」もなるほどと思ったし、世界各国が協力してるのはグッとくる。いわゆる英国紳士ってのをイメージする時に、同時にああいう人々も浮かぶものね。アルフレッドとか好き。暗号解読、毒入りのケーキなどなど、成功するかどうかのワクワクも良かった。

既に触れた通り映画はキングスマンが結成されたところで終わりますが、敵の組織はまだ生き残りがいるし、戦いは始まったばかり。エンドクレジット前後であの実在の人物まで出てきちゃうし、世界の危機は続きそう。キングスマン3とは別に、このファーストエージェントの続編も計画されているようなんで楽しみにしたいと思います。

これまでのキングスマンより少しシリアス重めだけど、史実とフィクションの融合で説得力があるし「平和のため」の活動として「兵士として戦う」のとは別の選択肢としての存在意義という意味合いが強調されてたのでとても面白かった。ラスプーチン戦など、過去作らしさももちろんあったし。
PG12なんで多少過激で不謹慎ですが、アクションファンはぜひ。

ディズニー+にて吹き替え版で視聴。
昨年12月末より劇場公開作が2月頭にサブスクに登場はすごい。

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ソフトは来月発売です。

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