ジャック・ロンドンによる冒険小説をハリソン・フォード、オマール・シーら出演で実写化したスペクタクルアドベンチャー。そり犬として働くバックが、自分の内なる声によって大冒険を繰り広げていく。
カリフォルニア州で判事の家で悠々と暮らしてた雑種犬のバックだったが、心無いものによってさらわれて売られ、そり犬として働かされることに。最初は長距離を移動する優しい郵便配達員の元で仕事をし、最初こそ意地悪な犬と衝突するもリーダーとして徐々に頭角を現すバック。しかしそれも長くは続かず、犬を大事にしない人間のもとで重労働を強いられていた。そこをソーントンという男が救ってくれて飼われるように。やがて彼らは地図にない場所を探す大冒険へと走り出していく。
ダン・スティーヴンス、カレン・ギランら共演。
あらすじ
カリフォルニア州に住むミラー判事(ブラッドリー・ウィットフォード)のもとで暮らしていた雑種犬のバックは、4歳のときにさらわれて売り飛ばされ、そり犬として働いていた。その後再び売られて厳しい環境で重労働を強いられていたところを、一人で旅をしていたソーントン(ハリソン・フォード)に助けられる。世話をされるうちに、ソーントンとの間に信頼と友情が芽生え、彼らは地図にない地を目指す冒険に出る。
いやー、CG技術もここまで来たのかと驚かされました。バックの可愛いこと可愛いこと。彼は「サーフィンドッグ」や「パディントン」同様、CGで描かれています。しかし人語を話すわけではなく、あくまで挙動はごく普通の動物の犬。でもその表情、振る舞いでこれでもかってくらい気持ちや考えが分かるんですよね。予告動画の最後で「俺のベッドを使って」って抗議に対しての【目の演技】だけでも伝わると思います。
もう後半は当たり前のようになってますが、バックは賢いのでこちら(劇中人物)の言ってることも完全に理解してるし、伝えることもできます。例えば自分を犬ぞりのリーダーにしろっていうメッセージや、酒の飲み過ぎはダメだと瓶を埋めてしまうなどなど。よく人間で言うと知能がいくつ、なんて例えられますけど彼に関しては大人と同じ。
映画の展開としては最初の幸せな時期に加えてさらに大きく二つのお話で構成されていて、それが郵便配達編と大冒険編です。まず判事っていう金銭的に余裕ある家でやりたい放題し続けるバックの時点でコメディとして超面白くて。寝てる人が飛び跳ねるほどベットに強くダイブしたり、大事なパーティのご馳走を食べ散らかしたり。いたずら三昧だけど、とりあえず大事にされてるのはよくわかる。でもそこからさらわれて売られてしまうわけで、天国から地獄って感じ。
でもそんな状況でも買ってくれた郵便配達屋がいい人っていう救いがある。「最強の二人」や「ルパン」のオマール・シーさんが演じてますが、10頭(?)の犬にソリを引かせて、長い距離を走らせます。リーダーであり先頭のハスキー犬のスピッツがなかなかの暴君ぶりで、繰り返しになりますが犬たちは一切言葉を話さないんですが、彼らの力関係がものすごく伝わってきます。その関係を打破するのがバック。寒い夜をどう過ごすか教えれた仲間に自分の餌をあげたり、少しずつ絆が出てていく。それとは対照的にスピッツは威張り散らしてるだけのただの意地悪っていう部分が強調されてしまって、腰巾着キャラだけしかついていかない。で、最終的に直接対決にもつれ込んでいく。ほんとここだけでもめちゃくちゃドラマがあって、最終的に負けてしまうスピッツとその去就、そして仲間の反応などなど「君達ほんとに犬なの?」ってくらい表情ゆたかでグッときます。全てが変わってからの「我がリーダー、バック!」ってのも面白いし、彼を先頭にするまでどの犬も動かないのは笑いました。
バックが本気を出したことでスピードも上がり、郵便配達もうまくいくようになっていくのでこの時間が長くつづけばいいなと思ってました。普通にこれだけで1本の映画になるレベル。やっと電報システムが整って彼らの仕事はなくなるわけですが、逆にいうとそれまではなくてはならない仕事だったわけで。「届けてるのは手紙だけではない」って劇中のセリフがとても印象に残りました。ほんと素晴らしい人たち。犬もよく頑張った。
その後が再び胸糞悪い展開で、犬を大事にしないクズが登場。ほんと見るのが辛かったですが、同様に我慢できなくなったソーントン(ハリソンフォード)が介入してくれて、無事にバックは彼に助け出されます。セリフだけですが残りの犬たちも逃げのびたことが語られるのでそこも嬉しかった。ここからがタイトルの意味に関わり、また冒険映画としてさらに加速していきます。それまでのシーンも含めて、バックはことあるごとに黒い狼の幻ようなものが見えていて。それが彼自身の心の内なる声、【野性の呼び声】なんですが、普通じゃ怖気付いてしまう大胆なこともやってしまうのです。そこが普通の犬を超えていた。序盤から匂わせていた、ソーントンの息子の話と、地図にない場所。この時代、誰も行ったことがない場所ってのはロマンがありますよね。それだけ危険と隣り合わせってことだけど。
映画的な山場としての超スリル満点の大自然もありますし、狼や熊といった他の動物たち。さらには因縁をつけてきた男とソーントンとの対決。この最後の物語もかなりの見応えあります。そして野性ってことは、つまり最後にはバックは……っていう予想ができてしまって、人間との絆で感動した反面 別れを感じさせて進めるのも若干辛いというもどかしさ。
ハリソンフォードの押し殺した悲しみや、絶対に向かうという静かな闘志。バックへの愛情などなど、大好きな俳優さんなので余計にグッときてしまった。吹き替えもずーっと担当されてる磯部さんなので安定感がありますしね。素晴らしかった。
ナレーションが小説でいう地の文、客観視点となっているため(バックの心の声でも、代弁でもない) 「伝説の犬」って雰囲気のまま最後まで行くのが特に泣けたし、ああいう結末、そして選択をした彼のその後が垣間見られてめちゃくちゃカッコいいです。最初から最後まで主人公はバックで、他の登場人物は彼が出会った「良き人間」だったという。
いろんな舞台が変わるためにそれぞれの面白さがありますし、何度も繰り返しますがとにかくCGでの動物たちの動き、表情がめちゃくちゃ豊かなのでそれを見てるだけでも可愛すぎるという。もちろん「CGだなぁ」ってわかってしまうんですが、だからこそ実写ではできない、どこか漫画的な表現が出てきて個人的にはこの方向もありだと思います。バディーズシリーズとかの、実際に人語を喋るタイプも好きですしね。
大冒険が好きな人も、動物好きな人にも特におすすめしたい1本。ただ一部胸糞悪いシーンなどPG13指定だったのはずで一応小さいお子さんはご注意を。
ディズニー+で吹き替え版で視聴。
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