秘書役にムロツヨシ、幸枝の長女役に満島ひかりのほか、鈴木梨央、賀来賢人、前川清ら共演。
あらすじ
家庭を第一に考えてきた主婦の幸枝(吉永小百合)は、入院した病院で仕事一筋の社長・マ子(天海祐希)と出会う。余命宣告を受け人生にむなしさを覚えた二人は、入院していた少女の「死ぬまでにやりたいことリスト」を偶然手に入れる。その全項目を実行することにした二人は、これまで感じたことのなかった楽しさや幸せを見いだす。(シネマ・トゥデイより)
オリジナル版をみたのはすごく前ですが、当時めちゃくちゃ泣いたなあっていう印象はいまだに強く残ってて。特に他の映画含めて朗らかなおじいさんのイメージのモーガン・フリーマンと偏屈が似合うジャックニコルソンでぴったりでしたし、あまり人が死ぬ作品は好きじゃないのですが
(どうやっても泣かされてしまうから) 友情とか人生の受け入れ方とか含めてとても感動しました。コーヒーのコピ・ルアクなんてこの作品で知った覚えがあります。
だからこそリメイクは驚きましたし、同時に名女優の共演とあって見る前から相当の期待と「絶対に泣くだろうな」という思いを持って挑んだわけですが、やっぱりね、泣いちゃいますよね(笑)
冒頭にロケットが発射される瞬間が出るので、(最悪を想定して)二人の遺骨が載っているパターンなのか、そう思わせてまだまだ健在、地上で一緒に見守ってるってオチなのか予想しながら開始したわけですが、ストーリーが進んでそこに追いつくと、秘書高田に感情移入して泣いてしまうという斜め上の事態に陥りました。個人的にもムロさん好きなんですけど、とてもよかった。社長であるマコさんに付き合わされてすっごいてんてこまい(予告のスカイダイビングとか顕著ですよね)するドタバタっぷりで適度なユーモアを提供、暗い話が重すぎない効果をもたらしてたんですが、この映画の根幹である「最高の人生」という部分で、最後に親友を得て、名いっぱい楽しんだという「生き様」の目撃者としての役割として、画面のこっち側としても彼にシンクロしてくんですよね。手紙のシーンとか涙なしに見れなかったですよ。たしかオリジナル版にも秘書いたなぁ。
もちろん主役となるのは幸枝とマコなんで、それぞれにも共感します。タイプが違う二人ですし、悩みも別々でしたけどすごくよくわかった。どちらかといえばより一般的なのは幸枝さんかな。ずーっと家族のために一所懸命にやってきたけど、自分がいないと家はぐちゃぐちゃで、大丈夫なのかって不安にもなるし頼りになるのは長女だけ。その長女だって、単に問題を押しつけるだけじゃ何の解決にもならないんですけどね。そこは映画中盤あたりでまずは夫が改心するし、引きこもりの長男も……。彼がテレビ画面を見つめる表情泣けます。
一方マコも典型的なワンマン社長タイプで、事業はかなり好調なものの、トロフィーハズバンドとでもいうのか、若い旦那さん(浮気している)いてもめちゃくちゃ幸せって感じもしないし、病気だとわかるや否や経営陣も手のひら返してくるしで
そうそう、少女が作ったリストだからか、ももクロのライブにいくというのがあり、予告動画のコメント欄から察するに実際のライブ中に撮影したようです。本物のファンだから反応もすごかったですし、天海さんの動きのキレがさすがでした。3人ともめっちゃ楽しそう。オタ芸は映画終盤でも印象的に使ってました。この作品自体が、みている全ての人へのエールになってると思うので、余計にくるものがあります。
エジプトもありますが、京都や長崎と日本各地を巡るのでそういった景色が楽しめるのも魅力の一つかもしれません。一緒になって旅をした感覚。リストを消化していく中で彼女たち二人の心残りも解消されていったり、自分の本音で喋れるようになっていくのも良かった。特にマコさんはプライドが高いからあんまり自分の過去とか話さないタイプだと思うんですが、心からの戦友になる過程が感じられます。まあ例によって一度はぶつかって距離ができるんですけど、結果的に絆がより強固になる。バディもの映画もそうですが、育ってきた環境が違う性格が違っても、相性があえばこれだけの友人になれるんですよね。
ストーリーが進めば進むほど結末、つまり二人がどうなってしまうのかという恐怖が大きくなりますし、実際に体調悪くなったりという描写があるので辛い気持ちも抱えながらだったのですが、結論からいうと、マコさんめちゃくちゃカッコ良かった。すでに触れましたけどムロさんの演技もあってほんと泣けますし、事実だけ見たらあれですけど、けして悲しすぎるわけではない。
それを受けて幸枝さんの物語もきちんと描かれて、何か劇的な変化があるわけではないんですが明るい兆し、「大丈夫だ」って思えるような展開になりますので、そこも爽やかに見終わることができました。冒頭のロケットのシーンに繋がってちょっとだけ後日談的なものがわかるんですが、ちゃんと結婚したんだな、とか、働いてるのか、とかね。(ネタバレすみません)
リストの持ち主に関してのサプライズには驚かされましたが(その後の「基金」もグッとくる)、旅をしたことで二人が変わっていったように、同じように変化があったことが嬉しかった。辛いことじゃなくて、なるべく良い方に目を向けて、せいいっぱいやる。こんな世の中だからこそ勇気をもらえた気がします。
単なる焼き直しではなく、良い具合に日本アレンジしてるし、専業主婦という普通の人なので感情移入しやすくてとても良かったです。オリジナルに負けていないと思います。単純に出てる人が好きっていうのもありますが、期待した通りの作品でしたし、繰り返しになりますがめちゃくちゃ泣かされてしまいました。病に限らず、なにかと戦っている全てのひとへおすすめできる一本です。
発売は2月で、今はまだデジタル先行発売の最中。なのにNetflixにきてくれました。前から思ってるけどワーナー作品はかなり早いですよね。
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