【配信のみ】エンツォ レーサーになりたかった犬とある家族の物語 / レースドライバーのデニーに飼われている犬エンツォ。彼がその生涯で見守り共に歩んできた、家族の物語。犬目線で描かれる傑作ヒューマンドラマ。

job_racer_man.png

HEROES主演や、THIS IS US主演&製作などドラマでの活躍も知られるマイロ・ヴィンティミリアと1匹の犬で送る感動作品。日本では配信オンリー(ディズニープラス見放題対象) 監督はサイモン・カーティス。
レーシングドライバーとして、更なる活躍を目指しているダニーは子犬を飼い始め、フェラーリにちなんでエンツォと名付け可愛がる。レース場に連れて行ったり、一緒にテレビを見たり。結果エンツォ自身もレースが大好きに。その後イヴという女性と出会い家族は幸せに暮らしていくのだが、彼女が病気になってしまう。別れを経験し落ち込む中、さらに一人娘ゾーイの親権についてイヴの両親と揉めることになり……。
アマンダ・サイフリッド、キャシー・ベイカー、マーティン・ドノヴァンら共演。エンツォの声をケヴィン・コスナーが担当。
あらすじ
レースドライバーとして成功を夢見るデニーは、ゴールデンレトリバーの子犬を飼い始め、エンツォと名づける。彼はイヴという美しい女性と出会い、結婚して愛娘ゾーイが誕生。3人と1匹は幸福な生活を送っていたが、イヴが病に伏し、闘病の末に若くして亡くなってしまう。その葬儀の日、イヴの両親がゾーイの親権をデニーに要求してくる。彼は金銭的にも困窮し、苦しむことに。そんなデニーに、エンツォはいつも寄り添い続ける…。(スターチャンネル 作品紹介より)

日本語の予告が見つかりませんでした。

先日の「野性の呼び声」とは違い、こちらは完全にエンツォ目線。彼の心の声がナレーションとなって進んでいくスタイル。人間のドラマを描きつつ、動物がどう感じて何を考えているかを描いてくのは「僕のワンダフルライフ」シリーズや、馬の映画「ブラックビューティー」と似ているかな。そのワンダフル、程ではないものの、クスッとするユーモアはちょいちょいあって。意地悪な奴に対する報復だとか、「犬でよかった」あるいは「人間ならば」って考えているのが面白い。目線とか表情でも結構感情が伝わってくるので、本当にそう見えてきちゃいます。

【レーサーになりたかった犬】というのは間違ってないもの、正確に表してるわけじゃなくて、デニーを支える存在、隣で走り続ける存在でありたかったんだなという印象があります。上記あらすじの通り後半デニーはものすごく辛い思いをするわけで、その時に「人間だったらもっと力になれるのに」って考えてるエンツォがとても愛しくて。もちろんレースが大好きだし、最終盤あたりでの車に乗せてもらうところの本当に嬉しそうな姿も泣かせるんですけどね。デニーと共に、というのがミソだと思います。

そもそも原題は"The Art of Racing in the Rain"。劇中で「デニーは雨の中で強い。なぜなら皆用心してスピードを落とすけど、初めから滑ることをわかって自分から行動すれば大丈夫」というセリフが出てくる。そしてエンツォがその生涯の中で見守るうちにいくつもデニーに降りかかる悲劇を、雨の中のレースとしてなぞってるわけです。土砂降りのなかただ打ちひしがれてるのではなく、跳ね除けていく。この辺も共感しやすいテーマだし、勇気をもらえました。落ち込んでる彼を慰めようとテレビを見ようとしたり、散歩をねだったりする健気な姿もグッとくる。

その生涯、という言葉を強調しているのは意味があって。最序盤かなり年老いたエンツォが留守番する中失禁してるという割とショッキングなところから始まって、映画のほとんどを「回想」という形で展開してくのです。そのためおじいちゃんの声。オリジナル版はケビンコスナー、吹き替え版だと缶コーヒーBOSSの宇宙人(トミーリー・ジョーンズ)などの菅生隆之さんが担当してます。となると雰囲気的に彼が死ぬまでやるのが予想できちゃって、覚悟しながら見てました。

イヴの病気がわかって、だんだん病にふしていくところや、別れ。娘ゾーイと会えない日々。さらにはエンツォがピンチになるなど結構見るのが辛いシーンもあるんですが、その悲しみをどう乗り越えていくかっていうのがテーマなのでこちらも頑張りました。彼はもっと力になれればって思ってましたが、これエンツォがいなくてデニー一人だったら自暴自棄になったりさらにキツかったと思うんですよね。一緒だからこそ、耐えることができた。
さらにデニーの仲間たちもいい人ばかりで、友人が必要な時にエンツォを預かってくれたり、職場の人が仕事を紹介してくれたりとイヴの父親以外は本当に優しい世界。住む世界が違うって最初から毛嫌いしてたんでしょうけど、あいつほんとひどい人間です。

そういう色々なことを経験したエンツォの旅が終わったあと、デニーがどうなったのか後日談が出てくるんですがここがめちゃくちゃ泣けましたね。「モンゴルでは〜」ってのが伏線になっていて、本当最後は涙で画面がよく見えなくなってた。前述の一緒に車に乗るところから既にやばかったのにさ。あれはずるい。ゾーイもとてもいい子に育ってて、デニーに彼をあわせてくれたのもグッジョブ。

最初に書いた通り配信オンリーでソフト化はされていないのですが、有料放送でやっったり、各動画配信サイトにはあるのでそちらでどうぞ。ディズニー+では見放題対象なので、そちらがおすすめ。犬好きは特に涙腺がやられますので、ハンカチのご用意を。

ディズニー+にて吹き替え版で視聴。

amazon動画ページ:https://amzn.to/3eZe2Ps

この記事へのコメント