タリー役にマッケンジー・デイヴィス、夫にロン・リヴィングストンら共演。
あらすじ
マーロ(シャーリーズ・セロン)は大きなお腹を抱え、娘サラ(リア・フランクランド)と息子ジョナ(アッシャー・マイルズ・フォーリカ)の世話に追われていた。聞き分けのいいサラと違い、落ち着きがないジョナのおかげでマーロは何度も小学校から呼び出される。夫ドリュー(ロン・リヴィングストン)は優しいが、家のことはマーロ一人に任されていた。(シネマ・トゥデイより)
邦題の「秘密」とか予告動画の「謎」っていうワードが出てきちゃうと、メリーポピンズじゃないですがどこかファンタジーな設定なのかなと身構えた見方をしちゃって、終盤に明らかになる真実を知っても「あー」っていう感じで、おそらく多くの人が割と予想できちゃうかもしれません。とは言え精神的にも肉体的にも限界にきていた頑張るママが、風変わりだけど実力あるナニーによってどんどん活気を取り戻していく姿を見ているとこっちまで晴れやかな気持ちにさせられますし、その分「夫は何をやってるんだ!」っていう怒りも湧いてきちゃったりして(笑)
意図的なんですけど、タリーともろく顔を合わせないですからね。夫ドリュー。本人的には最低限育児に関わってるんだっていうつもりなんでしょうけど、マーロにほぼ全てを押し付けてる。
具体的な診断名とかは出てこないものの、おそらく長男ジョナは発達障害的な生きづらさを抱えていて、普段の生活の中での配慮だったり、学校との関係性でもものすごい大変さがこれでもかと強調されて、序盤は見てて辛くて。親も本人も罪はないのにもどかしくて「手がかかる」というより「目が離せない」という部分なんか赤ちゃんと合わせて2倍ってなっちゃいますからね。ただ、紹介された別の学校はとても良さそうでそこもほんとよかった。映画全体のテーマかすれば本筋ではないんですけど、ここが明るい兆しが見えただけで嬉しかったです。
単純に負担が軽くなるだけじゃなくて、話し相手ができたというのも大きなポイントだったように思います。妹よりも離れてるけど、子供というにはちょっと成長しすぎてるタリー。世代が違うからこそのギャップだったり、価値観の違いがいい感じに作用して、何かに一歩踏み出したり、忘れていた感覚を取り戻していく。終盤に近づくにつれて若干やりすぎでは?って思ったりもしますが、どこかで発散する場が必要だったのかなって最後には納得します。
最終的にこの映画がハッピーエンドだと思うのは、そういった「子育てを一人でやらざるをえなかった」ことにドリューが気がつくところです。すごいナニーがきたよ、彼女のおかげで楽になったよ、良かったねじゃ何の解決にもならないし、じゃあ彼女がいなくなって一人になったらまたマーロの大変な日々に逆戻りじゃないかっていう。劇中で「今ある幸せ」をかみしめるようなやり取りもあるんですけど、そうやって見方を変えて精神的に落ち着けたとしても、周りのサポートなしで育児、家事なんてやってたら肉体が壊れちゃう。だから彼女の悲鳴というか、シグナルがきちんと夫に伝わって終わってくれたことは良かった。経験者や、今なお頑張ってる人たちはそうそう、こんなに大変なんだよと共感できますし、一方で他の家族は今までの過ごし方を省みることになる。
それも全部シャーリーズセロンがいつもの美形からガラッと変わって体当たりで演技してるおかげで、ものすごくリアリティを感じました。脚本を担当したディアブロ・コーディ(ジュノやヤングアダルトでも監督と組んでる人)が実際に産後うつとナイトナニーを経験してるらしく(Yahoo!映画解説欄より)さすがだったなぁと。
WOWOWにて字幕録画、のち、Netflixで配信開始されたので吹き替え版で視聴。
2020年5月現在、Amazonプライムでも会員無料対象ですのでそちらでもぜひ。
人気ブログランキング参加中。
この記事へのコメント