ザ・ピーナツバター・ファルコン / プロレスラーを夢見て施設を脱走したダウン症の青年と、逃亡中の漁師が出会い意気投合。レスラー養成学校へ向かうが、看護師も追いかけてきて……。全米大ヒットの感動作。

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「リトルミスサンシャイン」のプロデューサー、アルバート・バーガーとロン・イェルザが手がけるハートフルドラマ。偶然出会ったダウン症の青年と漁師との友情の旅路を描く。ダウン症の俳優ザック・ゴッツァーゲン主演。
老人ホームで暮らしているダウン症の青年ザックは悪役プロレスラーに憧れ、毎日見ていたビデオに登場する養成学校を目指して施設を脱走してしまう。そんな彼が出会った漁師のタイラーも同業者と揉め事を起こして逃亡中の身であり、共通点などから意気投合。ともに旅をすることに。一方で彼の面倒を見てきた看護師のエレノアは捜索を開始。なかなか距離は縮まないが……。
シャイア・ラブーフ、ダコタ・ジョンソンのほか、回想でジョンバーサルら共演。
心温まる感動作。
あらすじ
ダウン症のザック(ザック・ゴッツァーゲン)は、老人養護施設で生活していた。ある日、ずっと憧れていたプロレスラーの養成学校に入るために施設を脱走した彼は、兄が他界した漁師のタイラー(シャイア・ラブーフ)と出会い、意気投合する。一方、施設の看護師エレノア(ダコタ・ジョンソン)は、ザックを捜していた。(シネマ・トゥデイより)


もともと評価が高いというのは知っていましたが、個人的にもめちゃくちゃ面白くて感動する映画でした。『ザ・優しい世界』そのものという印象で、若干「現実はこうはいかないかもな」とは思いつつも、フィクションだからこそこういう内容でいいんだよと爽やかに泣かせてくれる作品。別にけなす意味はないのですが、同じくダウン症を扱った映画『チョコレート・ドーナツ』は問題提起という側面が大きくて。特にラストは非常に切なかったので今度はハッピーエンドで良かった〜と余計に嬉しかったです。

それもひとえにザックのキャラがとてもいいのと、演じてるザックさんが自然体だからなんですよね。インタビューを見るとレスリングや水泳っていうのは彼本人が好きな要素だったらしいのですが、表裏とかなくめちゃくちゃ素直に生きているから見てるこっちもハッとさせられる。悪役レスラーになりたくて、養成学校にいきたいあまり脱走してしまう。褒められた行為ではないものの、その一途さが羨ましいし、かっこよく見える。

基本的にタメ口というか遠慮のない言動なのでタイラーは最初こそよく怒らないなって感じましたが、それが彼の当たり前であって別に威張ったり下に見ているとかじゃないんですよね。「友達になろうぜ」とか純度100%で言われたら、いい奴だなってすぐ理解できる。予告動画でも使われている「誕生日のお願い事を全部あげる」とか、すごい優しいしそれを真っ直ぐ伝えてくるんですよ。泣けます。泳ぎの練習したり、銃を撃ったり、危ないところをギリギリ助かったり。ずっと一緒に旅をする中で、ほんとに大親友になっていく。二人ともめっちゃいい顔してました。

そのタイラーの抱える闇もなかなか切なくて。回想などでどうやら兄を亡くしてることがわかりますし、うまく行ってない様子。さらにほんの出来心でやった行為が思った以上に大ごとになり、終われる身に。最初はどうせ逃げるなら一人より二人って程度だったのかも知れませんが、今触れたようにザックがかけがえの無い仲間になっていくのは彼にとっても救いだったと思うんですよね。どちらかというとザックが弟っぽいですが、兄がいないことでできた穴を埋めていくような、そんな存在。

道中で出てくる盲目のおじいちゃんもいいキャラしてて、敬虔なクリスチャンだからこそ助けてくれてありあわせでイカダ作り、さらにそれで目的地を目指す流れはものすごいアドベンチャーしていてこれも楽しそうだった。ああいうのはロマンありますよね。ザックが魚捕まえるくだりは笑いました。

当然彼らもどんどん移動するので追いかけるものたちとの距離も縮まらないかと思われましたが、移動手段がそれなので中盤あたりにどちらもバレてしまいます。これまで過保護すぎたこともあって看護師エレノアは反対するものの、最終的には3人で目的地を目指すことに。これほんと家族みたいで見ていて癒されましたね。シャイアラブーフもダコタジョンソンもこういった穏やかな空気の流れる役柄のイメージなかったので新鮮でしたしとても良かった。問題はタイラーを追いかけてくる方で、キレてるから文字どおりの命の危険。ちょっとずつ緊迫感が増えていきます。

そしてなんといってもメインストーリーのクライマックス、養成学校にたどりついてからも面白かった。ザックがビデオをずっと見ていた、ということは映像はかなり前のもので、となると今現在は……。という風に予想自体はしてたんですけどね。さすがプロだなぁって対応してくれて素晴らしかった。そもそもタイラーもすごく配慮してあげててその時点でジーンときちゃう。ただ全員が全員ザックに行為的なわけでもなくて。あそこもちょっとファンタジー入ってますけど、すごく後味の良い落としどころだっったと思います。

終盤で不穏な要素がいくつか出てきてビビりますが、最初に書いた通り基本的にハッピーエンドなんで、最高に爽やかな気分で終われます。友達は自分で選べる家族ってセリフは予告でも使われていますが、前述の通り友達や親友超えて既に彼らは家族ですよ。このまま幸せになってほしい。

どんな人にもおすすめしたい、素敵な映画でした。

Netflixにて吹き替え版で視聴。
21年8月下旬現在Amazonでもプライム会員見放題対象です。

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動画はこちら

ザ・ピーナッツバター・ファルコン(字幕版)

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