夜は短し歩けよ乙女 / 森見登美彦の小説を原作に「四畳半神話大系」のスタッフが再集結して製作した劇場アニメ。後輩に密かな恋心を描く男と、ある夜に大冒険を繰り広げる少女。主役の吹き替えは星野源、花澤香菜。

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山本周五郎賞、本屋大賞2位など高い評価を受ける森見登美彦の同名小説をアニメ化。監督・湯浅政明、脚本・上田誠、キャラクター原案の中村佑介ら「四畳半神話大系」のスタッフが再集結。京都の四季が独特のタッチで描かれる。
後輩に思いを寄せる奥手青年"先輩"は、偶然を装って彼女の前に現れるという「ナカメ作戦」を繰り返すもの彼の恋は一向に進展しないでいた。一方で"黒髪の乙女"は奇妙で長い夜の大冒険を繰り広げることになり……。
星野源、花澤香菜が主役二人の声を務めるほか、神谷浩史、ロバートの秋山、中井和哉、甲斐田裕子ら共演。

19年6月11日 (本日!) 26:25(深夜2時半)からフジテレビにて地上波初放送です。
あらすじ
クラブの後輩である“黒髪の乙女”に恋心を抱く“先輩”は、「なるべく彼女の目に留まる」略してナカメ作戦を実行する。春の先斗町に夏の古本市、秋の学園祭と彼女の姿を追い求めるが、季節はどんどん過ぎていくのに外堀を埋めるばかりで進展させられない。さらに彼は、仲間たちによる珍事件に巻き込まれ……。(シネマ・トゥデイより)


上記あらすじでも四季に関連させて書かれていますし、原作小説でも4部構成でそれぞれの季節の出来事として書かれているようなのですが、なんとこの映画では最初から最後まで「ある一夜」という設定に変更されています。劇中にて「遠い昔に感じる」「数時間前ですよ」ってやりとりがあってビックリ。調べたら原作と違うってことでまたビックリでした。確かに出てくる場面は全て夜だし、違和感はないんですけど、中身がめちゃくちゃ濃いのでかなり凝縮されてることになりますね。

夜は短し〜というのは4部構成の1つ目のタイトルであり、「ゴンドラの唄」の歌詞のパロディってのはググると出てくるんですけど、「体感時
間」と関係してるのかな、って思いました。実際に劇の中で時計の針の進みを利用して、年配者と主人公との時の進みの違いについてやりとりする場面が出てきますけど、楽しい時、あるいは油断してるとものすごいスピードで進むじゃないですか、時間て。だからあれこれ考えずにとりあえずなんでも行動してみようぜ、っていうメッセージ的なものを感じて、それが映画におけるアレンジと合間って、ものすごく疾走感があるんです。黒髪の乙女の方は基本的に最後まで流されるかのごとく進んでいって、それでどんどん新しい知り合いも増えていく。お酒の席だったり飲み比べだったり、古本市だったり、学園祭、そして風邪ひきたちのお見舞いと、止まらずにずーっと歩き続けてる。しかもそれをテンポよく書かれるワケですから、随所にファンタジーちっくな要素が出てきても気にならずにどんどん見れちゃう。

そして対照的に空回りし続けてる"先輩"も 愛すべきヘタレってキャラクターでとても共感できますし、そもそも「ナカメ作戦」なんてやってる時点でめちゃくちゃ頭使って生きてるのが分かりますよね。冷静になってみるとキモい部類になるんですけど、本人のいう「外堀を埋める」ことばかり考えて、基本的に慎重なタイプ。だからこそ後輩にどんどん先に行かれてしまう。ただ随所随所でニアミスしてるところがなんか笑えます。とんでもなくタイミングの悪い出会い方の時もあるけど……(パンツや勘違いは不憫すぎる)

映画終盤あたりで、孤独だと嘆くキャラクターに対して「どこかで影響を受けて、実は繋がってる」と黒髪の乙女が慰めるシーンがあって、そこもなんかジーンときました。その前段階の古本市のシーンで、実は作家同士は、という説明を踏まえてるから、余計に説得力があるんですよね。もっというと、樋口の「お金は回る」ってのいうのも関係してるかな。映画のキャッチコピーにも使われてる「ご縁」という概念。目まぐるしく動いてく時間の中で人は出会い、影響しあっていく。それを意図的にやろうとしてうまくいかなった「ナカメ作戦」だったり、ずっと一目惚れ相手を探していて最後に判明する「ゲリラ劇団」だったり、人との関係性を大切にしたくなる映画でした。

森見作品は多くを電子書籍で購入していて、したはいいけど読めていない、いわゆる積読状態で、まともに読み終わってるのは「宵山万華鏡」とか。「四畳半神話大系」もそうですが、原作を読み終わるまではアニメ行かないぞ、と決めてたんですけどね。前述の通り地上波放送がきちゃったので、WOWOW録画しといたのを急いで視聴。これから原作読みます。最初は独特のタッチなのでとっつきづらいとか、疲れないかなと思ったのですが、日常と不思議ワールドの間のようなストーリーや、テンポよくすすむこの映画にかなり合ってていて、四畳半も楽しみになりました。

ジャンル的には青春ラブストーリーなのかも知れませんが、春画を集めてるおっさんとか、自称天狗とか、神出鬼没な蒐集家&酒豪とか濃いキャラいっぱい出てきますので若者以外も面白く見られる作品です。あとお酒が飲みたくなるかも。

WOWOWにて録画、視聴。(18年の4月に録画したもの)

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原作はこちら
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