タイラーに連れられて孤島にある有名レストランにやってきたマーゴ。他のお客たちも俳優やレストラン評論家など一流のものばかり。テーブルからはシェフを中心に統制の取れた厨房が見えるようになっていて、宗教の教祖や軍隊を思わせる異様な空間に彼女は不穏なものを感じる。出てくる料理も独創的なものばかりで半ば引いていると、コースが進むに連れ衝撃的なサプライズが待ち受けていた。
シェフ役にレイフ・ファインズ。タイラーにニコラスホルトの他、ホン・チャウ、ジャネット・マクティア、ジュディス・ライト、ジョン・レグイザモら共演。
あらすじ
予約が取れないことで有名なシェフ(レイフ・ファインズ)が提供する極上メニューを目当てに、孤島のレストランを訪れたカップル(アニャ・テイラー=ジョイ、ニコラス・ホルト)。素晴らしい料理の数々にカップルの男性が感激する一方で、女性は言いようのない違和感を抱く。店内が不穏な様相を帯び始める中、シェフ自慢のメニューには、思いも寄らないサプライズが用意されていたのだった。(シネマ・トゥデイより)
記事タイトルにも冒頭でも触れている通り、グロテスクな描写が一部あるのでちゃんとその覚悟を持った上で視聴することをおすすめします。ジャンル的には「ゲットアウト」「アス」とかに近いので、めっちゃ不安を煽ってきて、やっぱりそうですよねー!って衝撃的な描写が展開していく。個人的にもあまり得意じゃないのですが、ディズニー+で見放題だったのと、アニャテイラージョイは好きな女優さんなので、つい(笑)
まあふつうに考えて死人が出るんだろうな、っては過ったんですが、そのほかにもいろいろ痛そうだったり、何よりラストがね……。
予告動画でもレイフファインズ扮するシェフの異質な感じは十二分にわかってもらえると思いますが、一番ビクッとするのは「帰れない」とわかった瞬間。他のお客さんも噂に違わない独特の店だな〜くらいに思ってたのが一気にシリアスになっていく。悪意云々ならまだ理解できるんですが、「最高のコースを表現する」っていうぶっ飛んだ理念で突き動かされてるから余計に怖いんだよ。自分が傷つくこと、それ以上のことすら厭わないし。
でもそれと同じくらい以上なのがニコラスホルト演じるタイラーで、序盤こそめっちゃウキウキして料理を撮影しまくるオタクくんとして無邪気な可愛さがあるんですが、前述の「サプライズ」が起きても『面白い趣向だね』って料理の方ばかり集中してるのがマジでやばすぎた。パニック起こしえ全員立ち上がってるのに1人だけ座ってる絵面がもうドン引きよ。それみる「ダメだこいつ」っていうマーゴの顔最高でした。
マーゴだけが予定外のお客さん、というのは最序盤から示唆されていて、かつ別の初老の男性の方をチラチラ見てたので「遊んでいる風だけど実はご令嬢で、父と鉢合わせしたのかな?」ってな予想立てていたのですが、それ以上に闇が深い関係性でここもちょっと引いたし、その「お客」に共通点があった、意味があって集められていたというのが少しずつ判明していくのがまた恐怖です。
それらが全て風刺になってるんですよね。現実の。例えばウンチクを語りたがるけど料理はてんでダメとか、自分のステータスによって何度もくるけど少しも料理のことに意識を向けていない。ベタだけど評論家は自分の言葉一つで簡単にお店の人気をコントロールして、潰れてしまうケースさえある。本人が後ろめたさを感じているかどうかさえ関係なく、シェフにとって罪を犯してると考えられる面々が集っている。「男の罪」というのもありました。
そういうのを含めてブラックジョークのオンパレードで、シェフ本人のトラウマをモチーフにした肉料理とか最悪だったし、パンが有名な店なのにジャム系統を味わってもらうためにパンなしとか。皮肉をいろいろ入れてました。スープのおかわりのくだりも笑った。
シェフの計画の枠を外れた存在だからなのかマーゴに特別なものを感じ、中盤あたりは直接彼と話をしたり、役割を与えられたりします。ここでちょっとアクション要素が出てきたり、脱出の糸口が見えかけたりするのも緩急があって良かったのですが、ぬか喜びさられた後の絶望はよりきつかったです。
最後はどうなるのかっていうのはここで触れちゃうの勿体無いのですが、マーゴの行動がちょっと「ジョジョ」っぽくて、そこに少しだけスカッとさせられました。が、後味が悪い映画なのは間違い無いですし、しばらくあのスイーツ食べるの控えたくなりました。あまりにもひどくて、逆に笑っていないと精神やられそう
間違いなく人を選ぶと思いますが、不穏なムード、ヒヤッとした体験をするという意味では極上のアトラクション的な映画なので耐性がある方はお試しを。
Disney+で字幕版で視聴。
Blu-rayにも吹き替えは未収録らしいのであらかじめご了承ください。
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