グッド・ライアー 偽りのゲーム / ベテラン詐欺師がターゲットに選んだのは、資産家の未亡人。マッチングサイトで出会い、少しずつ相手の心を開かせていく。しかしそう簡単にことは進まず……。ヘレン・ミレン&イアン・マッケラン主演。

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年老いてなお仲間とともにいくつもの詐欺を働くロイが次のカモにしようと計画したのは、郊外に住む資産家の老婦人。マッチングサイトで出会い、あくまで老後の寂しさを埋め合う良き友人として少しずつ信頼を得ようと画策するが、用心深い孫に警戒されたり、彼らを脅かすような輩が出てきたりと難航。しかしその先に莫大な儲けがあることを考え、あたかも善人のように振る舞い続けるのだが……。
ヘレン・ミレンとイアン・マッケランが意外にも初共演。二人の演技合戦がみもの。
あらすじ
ベテラン詐欺師のロイ(イアン・マッケラン)は、出会い系サイトで夫が他界して間もない資産家のベティ(ヘレン・ミレン)をターゲットに定める。ロイが全ての財産をだまし取ろうとひそかに準備を進める一方で、世間知らずのベティは彼に心を許していく。(シネマ・トゥデイより)


上記予告動画とかも全く見ずに、Netflix新着のお知らせで気がついて視聴しまして。タイトルからの印象と言いますが、こういう「詐欺師が主役の物語」の王道としては「だんだん恋愛などの本気になっちゃって詐欺どころではなくなる」か「実は相手も騙している」パターンのどちらかだなと予想してました。予告を見たらどちらかといえば後者だなってすぐわかっちゃいますよね。

基本的にはロイの視点で描かれ、メインとなるベティと少しずつ親密になっていく作戦が進行してくのと合わせて、仲間を使った投資詐欺の様子も描かれます。これも結果的にいうと終盤まで絡んでくるんですが、見せ方が上手くて普通に騙され、「すごい詐欺師」という説得力が出ています。ただ主人公として魅力的かというと別で、ベティのいないところで悪態つくとろとかだんだん嫌なキャラに見えてきます。相手はあくまでターゲットで、情に絆されないために自分自身に言い聞かせるようにわざと言ってる風でもないですし。さらにかなり攻撃的。分け前を増やせと頼んできた輩に対する対応や、予告でも使われている駅での一コマ。もう一線を超えてるので、(ロイにとっての)ハッピーエンドがないことを悟りました。

そうやって悪く書けば書くほど最後にベティに騙され返す瞬間がスカッとする構造になってると思うんですが、最後になるまでどうなるか読めないのが面白かったですね。おそらく彼女も「騙されたふり作戦」をしてるんだろうなと分かっても、明確に伏線ぽく登場するシーンがほとんどない。あえて言えば旅行の、彼が見てない時の行動でしょうか。ある秘密が明らかになるんですが、ロイ同様に全く予想してなかったことでかなりインパクトがありましたね。

逆に伏線というか匂わせていたのはロイの過去。まあ全部が語られたわけではありませんが、彼の本名というか正体についてはそれなりに散りばめられていて、比較的予想しやすかったです。会話を聞いた時の反応、目線、相槌……。詐欺師になる経緯とも受け止められるお話ですが、悲しい過去があるからって犯罪行為が許されるわけではない。最後の最後ですごいのがありますし。

ロイ視点で語らえれるので「あと少しの辛抱だ」「バレちゃうかな」「孫がいつも邪魔するな」って彼の立場になって『詐欺ゲームの勝敗』を追う面白さもありますし、前述の通りどう考えてもヘレンミレンも只者じゃなさそうなんで、いつぶっちゃけて一方的に見えてた状況が変わるのかのワクワクもあって、サスペンスとして心地よい緊迫感がありました。なんと言っても二人とも名優中の名優なのでね。しかも劇の中で騙す=演技をしてるわけですから。それが堪能できることもすごかったです。

オチとしてはかなりインパクトがあり、スカッとというよりは後味が悪い部類に入るかもしれません。ただこのゲームの勝者にとってみればとても晴れやかな気持ちでしょうし、ある意味でハッピーエンドと読んでもいいのかも。いやーすごい映画だったなぁって声が漏れちゃうタイプのラストでした。

名優たちの騙し合い、演技合戦が見たい方、サスペンス好きに特におすすめ。
Netflixにて吹き替え版で視聴。


わかりにくい例えですみませんが、エンディングテーマ(冒頭にも流れる)がどこか東野圭吾実写化作品のそれに似てて、考えたらジャンル的にもちょっと近いかなと思ったりしました。事実が分かっても切なさが残る系。



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