ザ・サークル / エマ・ワトソン主演。世界一のSNS企業、一人の新入社員が抜擢され生活すべてをインターネットで公開することになるが……。行き過ぎた「シェア」の末に待つ悲劇とは。

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トムハンクス、エマワトソン主演で描く「SNS」を題材にしたサスペンス。世界一のシェア数を誇るソーシャルメディアネットワーク企業「サークル」そこで新たに務めることになったメイはすべてをオープンにしたがるその社風に戸惑うものの日々の業務をこなしていき、あるサービスのモデルケースとして抜擢される。それは彼らが開発した超小型カメラを利用し、24時間(トイレなど以外)そのすべてをインターネットで公開するというものだった。両親の医療費問題が解決したり、朝起きるとすぐに何万という人から送られてくるメッセージなど、参加した意義を実感しつつあったのだが、そのサービスはどんどん暴走していき……。
もしかしてありえるかも、と思わせる、社会風刺を含んだ衝撃作。
共演はジョン・ボイエガ、カレン・ギラン、エラー・コルトレーン、ビル・パクストンほか。
あらすじ
世界一のシェアを誇るSNS企業「サークル」に勤めることになったメイ(エマ・ワトソン)。サークルの経営者ベイリー(トム・ハンクス)は、オープンでシェアし合う社会を理想としていた。ある日、新サービスが発表され、メイは自らの24時間をネットワークで全世界に公開するモデルケースに選ばれる。すぐさまメイは1,000万以上のフォロワーに注目されるようになるが……。(シネマ・トゥデイより)


ホラー作品を含めSNSを題材にした作品も結構増えてきましたが、こちらは完全に風刺に重きを置いた映画で、ジャンル的にSFでもよくある監視社会系にかなり近いと思われます。その技術がすごいのは置いといても、もしかしたらこれに近いことは起きうるんじゃないかって思わせるストーリーは面白かったですし、懐疑的だったはずの主人公がだんだん麻痺していって実際に自分の大事な人に悲劇が起きるまでは結構ノリノリになっちゃうところはとても怖かったです。

映画のような設定が成り立つ一番のポイントである、サークル社が開発した「超小型カメラ」これのあるおかげであらゆるものを見ること=関すする事が出来ちゃうわけですが、経営者が劇中でこんな説明をします。病床にあって思い通りの生活が出来ない人も、例えば登山家が身につけたカメラの映像だったりを活用する事で「あたかも自分もそこで体験した気分になれる」という事。美しい景色だったり、素晴らしい体験こそ「シェアする義務がある」とまで言ってのけるのです。自分自身だけでは勿体無いって。

たしかに現実世界でも、今のVR技術の応用で、本来ならいけないような場所にいったように感じられたりといった事が可能になってきてそれは素晴らしい事ですし、納得してしまいそうになりますけど、幾ら何でもそこから「全ての生活を公開する」は飛躍しすぎですよね。メイはとある事故を起こしかけるのですが、それがカメラのおかげで救われたんだ、という方向で丸め込まれ、また両親の医療費問題も解決するという旨味によって『透明化』することを選んでしまいます。序盤からずっと感じてたことですが、ものすごい「宗教じみてる」気がします。そういう会社に勤めてるからみんな染まってしまっているのか……ここからのお話は予想できていた反面、ほんとにゾッとしましたね。

そう、メイ自身も戸惑いながらどんどん引き返せないところまで来てしまうのです。今日この映画を紹介する事にした理由の1つでもあるのですが、彼女は「サークルのアカウントをあらゆるものと紐付ける(連携させる)」ことを提案。種々の支払いとか、選挙の投票まで。それだけ聞くとなんでもネット上で、それも1つのサービスだけで行えればものすごく便利ですし、投票率もかなり上がりますよね。でも、逆にいえば全てその企業に握られるという事になりますよね。どんなにデータは匿名性が保たれるだの、第三者に利用されないだの言われたって、恐ろしくてついていけないな……。「週末どこで何してたかネットにアップしてないじゃない!」とさも非常識のように言ってくる先輩たちに戸惑うばかりだったメイがそんなアイディアを出すなんて、ある意味で洗脳されちゃってて怖かった。一方で彼女をこの会社に引き入れてくれたアニーはその存在感がメイと逆転してしまい、どんどんギクシャクしていく事に。この辺もリアルでしたし、メイの変化をより際立たせていました。

なおもサークルの方針は暴走していき、小型カメラと、世界中のユーザーを活用して「特定の人物」を探し出す実験を刊行。これ文字通りの監視社会なんですけど、なんで観客そんなノリノリなのよ……と。メイのように望んで「透明化」した場合じゃなくても、誰からも見られている。超怖い。案の定、とある悲劇が起きていしまい、メイもようやく距離を置く事にするんですが……。

やっぱりこういう題材としては「警笛をならす」ものじゃないとダメだよなーって見ていたら、その後もう一捻りありましてね。そのシーンは結構スカッとしましたね。透明化も自分でやらず、言葉で煽って散々やりたい放題やってきた報いだよね、って。元々の開発者の「こんなことをしたかったわけではない」って流れがあったので、天罰を喰らうシーンがあるのは予想できましたけど、ああいう形だったとは。観客席のある行動がとても皮肉っぽくて好きです。

ただ、その後どうなったのかというのをかなり「想像の余地」として残してますし、はっきりと「こういうのはダメ」と描かれてなかった(むしろメイの行動ではもう止められないところまで来ていることを示唆?)という終わり方なのでそこはちょっとスッキリしない終わり方でしたね。そのせいなのか、この映画の評価はあまり良いとは言えず、日本でもあんまりプロモーションされなかった記憶があります。

ただSNSが溢れている社会が待ち受けている「1つの未来」としてゾクッとさせられ、考えさせられる社会風刺作品として面白かったので、ヘビーユーザーの方は特にオススメです。
アニー役のカレンギランさん、ごく普通の女性として出ていますが(アベンジャーズでは特殊メイクなので)脚も長いしかなり美人でした。個人的注目ポイントです笑

WOWOWにて字幕版録画したのち、Netflixで吹き替え版を視聴。

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