白い沈黙 / ライアン・レイノルズ主演。突如として姿を消した9歳の娘。しかし8年後、生存を示唆するような証拠が次々と出てきて……。鬼才アトム・エゴヤンによるサスペンスドラマ。: 映画感想.net ～映画ファン「きよ」のオススメ作品紹介～

2019年12月17日 19:00

白い沈黙 / ライアン・レイノルズ主演。突如として姿を消した9歳の娘。しかし8年後、生存を示唆するような証拠が次々と出てきて……。鬼才アトム・エゴヤンによるサスペンスドラマ。

ライアン・レイノルズ主演で、娘を奪われた父親の奔走を描くサスペス作品。メガホンをとるのは「手紙は憶えている」などのアトム・ゴエヤン。買い物に立ち寄った先で車に乗っていたはずの9歳の少女がいきなり姿を消してしまい、父親はパニック。警察が操作するも一切の手がかりがなく、金目当ての父の犯行まで疑う始末。苛立ちは募るばかりのまま8年がたった頃、娘が生きていると伝えるようなものが次々と現れて……。
時系列をずらして描く手法が取り入れられ、雪の街で淡々と進むストーリーに目が離せない。
共演はロザリオ・ドーソン、スコットスピードマン、ケヴィン・デュランド他。
あらすじ
マシュー（ライアン・レイノルズ）の9歳になる娘キャスが、雪の降る日に行方がわからなくなる。誘拐されたと取り乱すマシューだったが、それを裏付ける目撃情報や物的証拠が出てこない。それが原因で警察は彼が自分で娘に危害を加えたのではないかと疑うが、捜査は進展することなく8年が経過してしまう。ある日、突如としてキャスの生存をほのめかすような証拠が次々と浮かび上がる。混乱しながらも娘との再会の希望を見いだすマシューだったが、衝撃的な事実を突き付けられることに。(シネマトゥデイより)

原題はTHE CAPTIVEとストレートに監禁をあわらしてるのですが、雪の街だったり、8年間音沙汰なしでいきなり、っていう部分をイメージしてこの「白い沈黙」という邦題なのでしょう。結構あってると思います。ただ前述の通り時間軸がかなりの頻度であっちこっち移動するので、あらすじも何も知らないまま見始めたため全体を把握するのに最初ちょっとてま取りました。見慣れてきて、髭や髪型でだんだん時期が違いが判別できるようになれば問題ないんですけどね。

逆にいうととりあえず「現在」の時点で娘は殺されるわけでもなく無事に成長してるのが視聴者には分かってるのは面白いと思いましたね。大抵、親御さん目線、どんな状態かすら見えないまま希望を信じて進むという彼らとシンクロしつつ映画が流れていくパターンが多いと思うのですが、この作品だとそこはちょっと安心。ただ彼女を監禁してる白髪のおっさんもものすごい不気味ですし、そういうのを隠し通せる「組織」の存在がほのめかされるんで、「急がないとやばいかも」という雰囲気はずっと継続してるんですけど。だからあっちこっち行きつつも「父親の執念が変態どもを打ち負かせるか」という基本的な柱はかなり王道なので感情移入はしやすいと思います。

だからこそ事件発生当時の、男の警察が「父親が犯人だろ」って決めつけてかかって来るところはほんと腹が立ちましたし、自分の姪を囮捜査に使おうとしたところも含めて全然好きになれなかった。一方の女性警官も割とまともに接してくれてたものの、目立ちすぎて犯人グループに邪魔にされて……みたいな流れになりますからね。主人公が活躍するために他の人々はあまり有能じゃない、これもまあツボを抑えてますね。

ハラハラさせられるだけでなく決定的な証拠や、犯人への手がかりが出てこないために、あともうちょっとで辿り着けるのに追いつけない苛立ちのような感覚がずっと続いてて、そこはある種マシューとシンクロしてると思います。離れていてった妻には「闇雲に街を探し回ってるだけ」なんて言われてますが、ラストに向けての彼のカッコよさったらないですよ。ほんと命をかけて娘を奪還しようとしてる。

警察に応援を呼んだ上での、直接面と向かって話をするシーン。お互い口に出さないものの、マシューの「分かってるからな」っていうオーラがすごくて、あの独特の不気味さがある犯人がたじろいでる感じとかめちゃくちゃスリルありました。そしてそこからの怒涛のアクション要素。そこまでがものすごい淡々んと進むんで一気にまとまってた印象。そしてついに決着するんだなーと盛り上がれました。

ラストに関してはここでは触れないとして、時系列を動かしつつも先に見せちゃいけない部分は隠しつつ、犯人グループ同様の「全体が掴めない不気味さ、苛立ち」が映画全体の雰囲気ともマッチしてたと思います。劇中そういうシーンこそなかったですが、雪ってホワイトアウトといって自分のいちさえ分からなくなる(五里霧中)ことありますし、そういう世界観でもあったかなぁと。ショッキングな映像とかもないですし、考えながら映画見るの好きな人には特にオススメな作品。

BS-TBSにて放送された吹き替え版を録画(19年10月)、視聴。