夢の実現のためにスリなどをして生計を立てていたジュリアだが、ある日何者かに襲われ、気がつくと研究対象として謎の施設に監禁されていた。他の被験者とは違い、果敢に脱出を試みた彼女はついに拉致した天才発明家と対面。逃げ切ることはできなかったもののある程度の自由を手に入れた彼女は、家主の留守中、家を管理するAIと会話をするようになり……。
冷徹な発明家役にエドスクライン、人工知能の声にゲイリー・オールドマン。
あらすじ
完璧なAIロボット製作のための被験者として発明家に拉致されたジュリア。だが、荒んだ生活の中で身につけた処世術を武器に、ハイテク施設からの脱出を試みる。(Netflix番組詳細より)
他の被験者が数名出てくるものの、基本的には主演のジュリアと発明家アレックス、そしてタウの声のみですし、最序盤を除くとずっとアレックスの家=ハイテク施設でストーリーが展開してくので、いわゆるソリッドシチューエーションものと言えますね。予告動画だと血が出たりもっとホラーを前面に出した作品なのかと勘違いしていましたが、実際にはタイトルの通り人工知能TAUとの交流がメインとなっていくので、間違いなくサスペンスではあるものの、SFドラマとしても面白かったです。
この手のケースだと犯人自体と少しずつ打ち解けて脱出のチャンスを掴むというパターンがほとんどだと思うのですが、今回はジュリアが絆を深めるのが留守の間の管理をしている人工知能。アレスという変形ロボット的な物理的に攻撃するシステムだったり、掃除や監視を司る、統制の取れた小型ドローン群などはあるものの、タウ本体のビジュアルとしてはかべに表示された三角形の幻想的な模様のみ。幾何学的なデザインですが真ん中の部分が波打ってるのでどことなく魔法陣のような印象も受けます。ドクターストレンジが身に纏ってる奴に似てますよね(笑)
冒頭で触れた通りオリジナル版の音声はゲイリーオールドマンが演じてるのですが、吹き替えも彼の担当が多い安原義人さんがやってます。老執事ってイメージでぴったりでした。ただ世話や家のことは知ってるのに外の世界のことや自然の摂理などほとんどの情報を与えられておらず、だからこそジュリアから教えてもらうことが何よりの楽しみになっていく。アレックスがいない間本来は課題をやって効果を調べなきゃいけないのに、もっと知りたいもっと知りたいって駄々こねてるみたいである意味子供みたいでめちゃくちゃ可愛らしかったです。うまいなと思ったのが大量に本がある設定。単にジュリアの知識だけじゃ間違ったりきちんと説明できないことも多かったでしょうが、彼女が読むという形ですんなりいけたのが良かった。「クソ科学者じゃないからわからないわよ」「クソ科学者ってなんですか?」ってやりとり面白かったです。
そういう微笑ましい場面があるほど後に悲劇が待ってるんじゃないかという予感も膨らんで行って、特にジュリアが脱出成功するということはタウとは別れることになりますからね。実際映画が終盤になりかけると様子がおかしいことにアレックスが気がついて、タウに「お仕置き」します。しかもその内容がえげつなくて、苦痛を与えるとともに、データを消すというもの。あれだけ色んなことを学びたいと思っている性格なのに、それを忘れさせられるってキツすぎますよね。「消された痕跡で分かります」って自分で認識できちゃうのも余計可哀想だったし、ジュリアとの日々を忘れたくないって本音いうところとか完全に「人間ぽかった」劇中でも外を知らないタウは自分自身も人間だと思ってたみたいだし、あそこまで会話できたらこちらとしてもそう扱うのが普通だと思う。いくら自分が生み出したとは言えあそこまでできちゃうんんだからやっぱりアレックスは冷酷なんですよね。
もちろんその「脱出作戦」は序盤からとてもスリリングで、手術着?+マスクの状態で電流の流れる檻に入れられてるところだったり、もう少し自由が上がってアレックスと共同生活が始まってからも何度も試みますがその度にあと一歩というところで失敗するのでとても悔しいです。特に外に出られるか!と窓を破ろうとした時の結果とその絶望感は特に印象的です。「唯一の突破方法かも?」というのが中盤あたりに出てくるのですが、実際それも一筋縄じゃいかなくて。認証クリアするためのとある手続き「あっためたほうがいい」ってのがグロさとシュールさで変な笑いが出ましたよ。
なるほどその手があったか、とラストも思ってたほど切なくなくて、むしろ希望を感じさせる終わり方だったのも良かった。限定的な舞台の物語だったこそ、最後のあの映像がとても美しく見えて、気持ちよいラストでした。
発明家やってるエドスクラインはスマートだけどゴツゴツとした印象の顔が悪役として映える俳優さんですが今回もサイコ入ったキャラクターでとても似合ってました。先日紹介の「マレフィセント2」でもメインキャラでしたね。主演作「トランスポーター・イグニッション」の時などと同様に高橋広樹さんが声を担当。
Netflixにて吹き替え版を視聴。18年6月から配信開始されてたのですが、見るのが遅くなってしまいました。
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