石原立也、小川太一、山田尚子らシリーズスタッフの他、声優陣も黒沢ともよ、寿美菜子らTVと同じく担当。
あらすじ
北宇治高校吹奏楽部のユーフォニアム担当として、吹奏楽コンクール全国大会出場に向けて練習を重ねる黄前久美子。ある日、彼女は副部長で同じユーフォニアムを担当する先輩の田中あすかが退部を考えているのではないかと感じる。部員から慕われ、容姿端麗でカリスマ性あふれる彼女が、ふとした瞬間に見せる冷たい表情や他人を突き放すかのような瞳。あすかをどこか苦手だと感じていた久美子だったが……。(シネマ・トゥデイより)
先に説明している通りこの映画はTVシリーズ2期の再構築版なので1期の続編であり(そちらも再構築版が劇場版として存在してます)、また新作カットがある反面、連続アニメ13話を映画に凝縮してるので必然的に泣く泣く割愛されているシーンもあるため、本来は2期を見る方がより楽しめると思います。上記あらすじを探した際に目に入った感想でも「あのシーンがなかった」という意見がありましたのでそこはあらかじめご了承を。
僕はというと本放送の時はスルーしてしまい、昨年NHKBSで再放送された1期のみ視聴っていう状態。配信サービスなどで改めて2期を見たいなと思っております。
とはいえ1本の映画としてものすごく纏まっていますし、主人公久美子と同じパートの先輩で副部長という二人の人間の関係性を丁寧に描いてるのですごく面白かったです。1期を見ていた方が、例えばあすか先輩がムードメーカーだけど、つかみどころがない人って印象とか下地があって一層入り込めるとは思いますけどね。
冒頭、いきなりそのあすか先輩が幼少期の事が描かれるのですが、この映画によって、彼女がユーフォニアムを吹く事になったきっかけ、むしろ楽器に対する思いというのが判明します。これは劇中でも久美子が指摘してますけど、みんなを引っ張ってくれていつも冗談めかした事言ってるし、実力もあって頼り甲斐がある。だけど本音がなかなか見えないっていう人間のこと、ようやく知る事ができたなぁって感じですごくグッとくるんですよね。人に見せて来なかった本当の姿。1期は新たに入学して吹奏楽部に入った久美子を含めた4人をより中心に描いてるので、部活モノの王道っぽい事が多いんですよね。あすか先輩はその中で特にキャラも濃いし、副部長なのに部長的な役割もになってるからすごく印象に残りやすいけど(実際僕がこのアニメの中で一番好きなキャラクターです) あくまで一先輩として、彼女自身の物語は多くは語られなかった。それが今回はガッツリスポットが当たるのです。
久美子の姉のエピソードとも重なってくるのですが、3年のあすかに重くのしかかる「受験」という問題。彼女の母親が登場し、これ以上部活を続けることを認めようとしないんですね。かなり文武両道タイプで、学業の方もかなりいい成績を収めているのですが、やはり残り時間が少なくなれば、そりゃ勉強一本に集中して欲しいという気持ちも分かります。例えばいつまでユーフォを続けるのだろうかとかね。どんなスポーツ、あるいは文化部でもそうですが、それを収入にしないのであればどこかで折り合いをつけるしかない。趣味としてやるのはいいけど、やはり受験の時はそっちに切り替えて欲しい。スタート地点が「子供がより確実に幸せになって欲しい」という親御さんの立場も理解できますけど、念願の全国出場って場合は流石にわかって欲しいんですけどね。
何故そこまで反対するか、「当てつけでしょ」って言葉の意味とかも中盤になって判明するのですが(まあ冒頭のユーフォニアムの送り主はだいたい予想できると思いますけど) 思ってた以上にあすかが頑張ってきた、戦ってきた事がわかって、より好きになりました。久美子が彼女の家にお邪魔するシーンがあるのですが、本棚の参考書とかね。自分の想いを通すために必死にやってきた。「自分が演奏したいだけ」っていうセリフの重みを改めて感じます。そして彼女が全国にかけている、もう1つの理由も。これは終盤にちゃーんと涙腺崩壊する流れがありますので、ぜひお楽しみに。あれがあって初めて、悔いなく引退できるよなぁって。
そうそう、大きなストーリーとしては全国大会出場と、三年の引退って感じなので、言い方は悪いですがあすか先輩に振り回されてしまいつつも着実にその日が近くっていう展開をしていきます。尺の都合で主要二人以外の様子は控えめですけど、例えば2年の夏紀先輩の想いとか部活メンバーそれぞれの物語がもっとあったんだろうなーって思います。その辺も含めて、すでに書いた通り改めて2期見る予定です。
自分も旅行で訪れたことあがある駅ビルでの披露シーンとか、すごいリアルで想像しやすかったですし、例によってクオリティの高さは流石の一言なのでそこも見応えあります。演奏シーンの素晴らしさは本職の方ですので当然ですが圧巻です。これ実際に映画館で聞けたらもっとすごかったでしょうね。基本的に主人公所属の高校のみですけど、音楽自体はかなり長めに時間とってますので、しっかり浸る事ができます。ご安心を。それと劇中でもっともインパクトがあったのは、合宿の早朝にあすかが人知れず吹いていた曲。これも最後の最後に曲名がわかるのですが、なるほど!と声出ちゃいました。ユーフォと一緒に送られたあのノート。こういう風に再構築される以前にやはりあすか先輩もかなりキーパーソンであり、部活モノでそれぞれの楽器にスポットをあてると同時にやはり「ユーフォ担当」が一番のメインだったんだな、と改めて感じました。
久美子の姉のエピソードを含め、誰のどの選択が正解で不正解かなんて誰にもわからないものかも知れません。が、久美子があすかに言った通り、変に「物分かりのいいこ」を演じ、「大人」のふりをしてしまうのは、ある意味自己満足なのだから、自分の気持ちをちゃんと見つめてじっくり答えを出していく必要があるなぁと思いました。先輩や姉という立場とか、周囲の期待とか重圧とか、一切無視した時に本当は何がしたいか。この映画もまたいろんな人物に感情移入できて、面白かったです。
前述の通りTV1期の物語を経て、の作品なので通しで見るか、振り返り劇場版「 ユーフォニアム ~北宇治高校吹奏楽部へようこそ~」などで知った方がより楽しめるとは思います。ですので初めて見るよって方はどうせならそちらと合わせての視聴をおすすめします。ソフトも発売、レンタル中です。
dアニメストアはアニメ1期2期、U-nextではそれに加えて劇場版「北宇治吹奏楽部へようこそ」(1期振り返り)が配信されているようなので、会員だったり検討されてる方はそちらでもどうぞ。
WOWOWにて録画、視聴。スピンオフ映画「リズと青い鳥」も録画してあるので、そちらも近日中に視聴予定です。
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アニメ1期振り返りはこちら
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