スローターハウス・ルールズ / 名門寄宿学校に転校してきた主人公は厳格なスクールカーストなど予想してない世界に翻弄されっぱなし。しかも敷地内では採掘が行われており、凶悪なモンスターが目覚めてしまう。学園ホラーコメディ。

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数々のコメディで共演、ヒットさせてきたサイモン・ペグとニック・フロストが立ち上げた制作会社「ストールン・ピクチャー」の映画第1段の学園ホラーコメディ。彼ら自身も出演するものの、あくまで脇役、主演はエイサ・バターフィールド(『エンダーのゲーム』)やフィン・コール(ドラマ『アニマル・キングダム』)。
名だたるメンバーを輩出してきた、名門寄宿学校「スローターハウス」に転校してきたドンは監督生からのキツイしごきや、スクールカースト制度、闇の深そうなルームメイト、そして憧れの女子先輩など予想してた以上の環境に翻弄されていた。同時期に学校の敷地内では企業がガスを求めて採掘作業をしており、その影響について問題視する意見も起きていた。案の定、異形のモンスターが解き放たれてしまい、パニックになるのだが……。ちょいグロなホラーコメディ。
主人公が一目惚れするヒロインにハーマイオニー・コフィールドの他、マイケルシーン、出番少ないけどマーゴットロビーら共演。
あらすじ
スクールカーストによって厳しく支配される名門寄宿学校に転校したドンは、最底辺のカーストに所属することに。鬱々とした学園生活を送っていたが、ある日突然、森の中の採掘所から凶悪なモンスターが出現する。ドンたち落ちこぼれ集団は、学園の平和を取り戻すことができるのか!?(ソニー・ピクチャーズソフト紹介ページより)


一度Netflixで配信開始されて途中まで見たタイミングでいつの間に配信停止になってすぐに見なかったことを悔やんだのですが(2020年4月)


しかし9月の時点で復活してくれたのを発見。U-NEXTや、有料を含めると各種動画サービスで配信されているようです。良かった。

冒頭で触れた通りサイモンペグとニックフロストのコンビの会社ってことで期待値は高めでしたが、割とスタンダードなホラーコメディで面白かったです。ただ随所に「イギリスだなぁ」っていう要素が散りばめられてますし、(そもそもガス採掘とか社会風刺入ってる気がする)、『酔っ払いが世界を救う』と同じように前半と後半で雰囲気がガラッと変わっていく楽しさもあって"らしさ"を感じました。

前半は転校生目線で描く「とんでもない学校にきちゃった」という学園ドラマが展開していくので、非常に共感しやすいですし、僕らもここがどういう場所なのか一緒になって理解してくことができます。同時に採掘現場のことも描写されるので後半への伏線というか、「これは何かが起こるな」というゾクゾク感が高まっていって良かった。メタ的なことを言うと作業員の声をザボーイズのホームランダー役の近藤浩徳さんがやっててそれだけでヤベェ奴オーラになってましたね。劇中ではそこまでキーパーソンじゃなかったけど。

目の輝きが特徴的なエイサ・バターフィールドくんが演じるウィルも過去の事件のトラウマを含め心に闇を抱えたルームメイトとして存在感を放っていて、厳格すぎる学校だからこそ起きる悲劇を感じさせますし、ドンに対して先輩風吹かせて大人ぶっていてもやはりまだ大人になりきれてない人間らしさという魅力がありました。大体スローターハウス=屠殺場、食肉処理場なんて名前の時点ですごい学校ですよね。アカデミー賞とってる『サイダーハウス・ルール』にあやかってるんでしょうけど(笑)

ヒロイン役のクレムジーが謎の生物に飛びつかれて勢い余って殺す、あたりから一気にホラーコメディとして加速して行きまして、多少のグロさを笑ったりできるかで面白さが変わってきます。最初こそ大きなネズミのようなものですが、オオカミ?のようなモンスターが登場しだすと次々に犠牲者が増えていきます。秘密裏に行われていたいかがわしい乱痴気騒ぎが一転してパニックになるのも王道っぽくていいです。ホラーではカップルは残念なことになる法則……。股間に噛みつかれるなんてシーンも。

思わせぶりに描かれていたサイモンペグとニックフロストにもきちんとスポットがあたり、学園の伝説という伏線回収を含めてなかなか面白かった。特にニックフロストに関してはグロ的な意味でもかなりインパクトあったので苦手な方はご注意を。モンスターVS学生たちになってからはスピード感も上がるし、そうやってバンバン犠牲者でるしで本当テンポがいいんですよね。残り時間わずかになってもまだまだ緊迫状態が続くし。流石にモンスターの造形はチープさが感じられますが、彼ら目線で人間の熱を感知してる描写とか、追いかけっこで揺れるカメラなので臨場感はあるので見応えはあります。そんな状況でもやりとりに間抜けっぷりが炸裂するので適度なコミカルさもありますしね。

ストーリーのオチの付け方としてはこれまたひねりなく予想通りに着地してくれるのでそこも良かった。ダンにとってはこんな大冒険を繰り広げたあとなら大抵のこと平気になっちゃいそうですし、過去をひきづってたウィルとか、寮の先生とか、他のキャラにとっても変化のきっかけになってましたしね。命の危険があると思ったら必死になっちゃうよ。
他にもいろんな作品のパロディ、オマージュを感じたり、見所としてももっとある気がしますが、基本的にはあまり深く考えず、ドタバタっぷりを楽しめる作品。前述の通りグロがあるのでそこだけご注意ですが、面白くてオススメです。

Netflixにて吹き替え版で視聴。



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