ある日帰宅すると血を流している妻に遭遇。慌てふためくが、よく見るとそれは「死んだふり」であり、彼女はその反応をただただ笑って楽しむのみ。その日をさかいに、次々と色々な死んだふりをする妻だったが……。
あらすじ
家に帰ってきたサラリーマンのじゅん(安田顕)は、玄関で血を出して倒れている妻ちえ(榮倉奈々)の姿を目にして驚く。だが、血はケチャップで彼女は死んだふりをしているだけだった。驚く夫を見てほくそ笑むちえ。それを境に彼女は、ワニに食われたり、銃で撃たれたり、頭に矢が突き刺さったりと、さまざまなシチュエーションで死んだふりをするように。あきれるじゅんだったが、理由も言わずに奇怪な行動を続けるちえに対して不安を覚える。やがて、それらが彼女の発する何かのサインではないかと考えるが……。(シネマトゥデイより)
先にぶっちゃけてしまいますが、この映画、なんと「なぜ死んだふりをするのか」を明かさないまま終わります。これね、上記予告編でも使われてる通り「どうしてだかわかりますか?」まではいくんですよ。でもその後に夫・じゅんがなんて答えたのか観客には教えてくれない。超びっくりしましたよ。だからそこ期待しないで見ることをオススメします。
基本的にはユーモラスな要素を含みつつも、夫婦というか人と人との関係のお話でして、あくまで「死んだふり」は「出オチ」見たいなものです。想像以上のバリエーションで披露してくれる榮倉奈々さんもすごかったですし、コントぽくならずに、基本真面目人間のまま冷静にツッコミを入れるという安田顕さんもそれはそれで新鮮で、映像自体も面白いんですけどね。ずっとそればっかりやってるわけじゃないです。
大谷亮平さんらが演じる、同僚夫婦という存在も対照的とまではいかないまでも「別の夫婦」という感じで登場して、より「他人だからこそ相手の考えが完璧にわかるわけじゃない」っていう感覚を強調してたと思います。あまりに意図が読めなくて「離婚したいと考えているのでは」極論を言えば「嫌がらせなんじゃないか」という「夫が何か悪かったのでは?」という風にじゅんは考えるわけですけど、これがもうちょっと自分勝手だったら、「ついていけないよ、別れたい」になってもおかしくないわけで(笑)
妻同士の会話が結構印象的で、「優しい言葉は人を傷つけるか……」というセリフがグッときましたね。夫目線だとつかみどころがないっていうか考えが読めないタイプの奥さんだから、こうやって妻のエピソードが入ることでより感情移入できた気がします。クリーニング屋さんとかああいう時間も好き。そう言えばインコのお話が出てくるのですが、死んだふりの理由は何だろうって予想してた時の一つとちょっと関係してそうで一瞬ゾクッとしましたね。結果的にはそれじゃなかったんだけど。
とは言え、明言こそされていませんが、父親の、というかチエさんの母が亡くなった時のあれこれが判明することでなんとなくそういう事かな、とふわっと意味はわかるように感じました。同じようなベクトルというか、気持ち的にはすごく似てるんだろうなって。そう思うとなんかこう健気さとかがより一層愛おしく思えます。今日はどんな死に方にするかな、と考えてる姿を想像するだけでも十分可愛らしんんですけどね。だからこそ「心臓に悪いからやめて」って強く言えない感(笑)
一個気になったのは、「月が綺麗ですね」関連。これかなり有名な話じゃないのかって何で気がつかないのって思っちゃいました。ネットとかで度々話題になりますし。知らない人は知らないのかな?ちなみに二葉亭四迷が訳したとされるのも有名ですが、この映画的には……!?
変に劇的な事が起きたり、思いっきり泣くっていうタイプの作品ではありませんが、主人公夫婦の悩みながらもより良い関係になろうと模索するところ、それぞれの一生懸命な愛情みたいなものがひしひしと伝わってきて、温かい気持ちになれる映画でした。その一方で自分の奥さんが毎日死んだふりしてたとしたらそれはそれでキツイかもなって思ったり、あるいは毎日一緒になって笑えるような余裕があるべきなのかな、とも。予想とは違った展開でしたが楽しのかったです。
WOWOWにて録画、視聴。
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