真・三国無双 / 日本の人気ゲームを中国で実写映画化。三国志を下敷きにしつつ、武器から雷や炎が出るダイナミックな映像はゲームさながら。やったことある人はさらに楽しめる歴史アクションエンターテイメント。

コーエーテクモの人気ゲームシリーズ「真・三國無双」。中国が40億をかけ公式に実写化。群雄割拠の時代。武器の一振りで人びとが空に吹っ飛び、雷や炎が生じる。ゲームさながらのダイナミックな映像、音楽で魅せる歴史アクション。
後漢末期。朝廷の力が弱まり、張角率いる黄巾党が乱を起こす。漢王朝のために、民のために立ち上がった劉備とその義兄弟関羽張飛をはじめ、英傑によって乱は収まるが、次は董卓が朝廷を支配しやりたい放題。各地から軍を率いた有名将軍たちが同盟を組み、董卓を倒そうと団結するが……。
イス・クー、カリーナ・ラウ、ワン・カイ、トニー・ヤンら出演。日本語吹き替えにはゲームでお馴染みのキャストが集結。
あらすじ
後漢末期の三国時代。中央では朝廷が腐敗し、地方では張角率いる黄巾党が乱を起こす。曹操や義勇軍に志願した劉備、関羽、張飛、孫堅、袁紹らが乱を鎮圧。しかし、朝廷の権力争いでは董卓が専横的な振る舞いを見せ、群雄たちは反董卓連合を結成する。(シネマ・トゥデイより)


先に断っておくと、三国志のかなり序盤も序盤を扱っているので「赤壁の戦い」のような誰でも知ってる!的なエピソードとは少し違います。それこそゲームで言うと毎回ステージ1と2とかその辺り。だから出てくる武将たちもかなり少ない(当然諸葛亮とかもいません) ここでも紹介し、今度地上波放送される「新解釈・三国志」の方が多くの題材を扱っているかも。
だからこそ劉備関羽張飛、そして曹操というメインキャラの掘り下げに結構な時間を咲く事ができて、個人的にはより感情移入しやすかったかなと思います。いずれ強大な力を誇っていく関係で、割と曹操は悪役側に置かれることも多いのですが、人並みならぬ野心を抱えつつも、彼がどのようにして歩んでいったかのわかりますし、同時にああなれたのかという部分で説得力がありました。疑心によって悲劇が起きて、「天下統一のためならもう友はいらない」と闇堕ちとも取れる方向にいくのとか、それはそれである意味魅力あるかも。劉備を特別視していて、自分と彼だけは他の有象無象とは違うって思ってるのとか影の主人公ぽくて良かった。のちの展開を知ってるだけに、この価値観の違いは好きです。

そんな映画なのでどうしたって続編を期待していまいますが、先に断っておくと興行収入的には全然ダメだったようで、かなり望みは薄いです。40億以上かけて、たしか9億とか。ゲームの実写化ということでかなりファンタジー、ありえない要素がバンバン出てくるし、一度でも遊んだことある人にとって「あの世界観を実写で見れる」というセールスポイントはあるものの、他にも三国志映画たくさん存在してるのでそれらを超えるほどじゃなかったという感じでしょうか。そもそも本国での無双シリーズはどの程度の感じなんだろうか。荒唐無稽すぎてアレなのかな。

でも例えばのちの蜀が緑っぽい、曹操が青っぽいのとか、あるいはそれぞれの専用武器などゲームやってる身としてはめちゃくちゃ馴染みがあるし、おまけにBGMも聴いたようなものでほんと素直に実写化してて楽しめました。一つ「武器は持ち主を待っていた」みたいな若干スピリチュアルなオリジナル要素出てましたけど(あの女性は誰?)、関羽が戦うと武器から炎が出たりするのも一緒。さらに冒頭で触れましたが日本語吹き替えの面々がゲームと同じなのでそこもすごく嬉しいですね。呂布が稲田さんだったり、張角が川津泰彦さんの甲高い声とか。そして何といっっても董卓ですよね。あのふんぞり返ってやりたい放題やってるのがイメージそのままでした。

前述の通り映画で描かれるのは黄巾の乱、さらに董卓と呂布の登場する虎牢関の戦いなので、ある意味董卓がメインの悪役で、その最強の部下呂布との戦いが1番の山場。出てくるたびにその強さがいかに規格外なのかが描写されて、小気味いいです。一振りで山の半分が土砂崩れ起こしたり、人々が竜巻のように吹き飛んだり。関羽が炎ならこちらは雷で、いなずまが人を伝って次々にやられてくのとか笑っちゃいます。関羽とのバトルもかなり長い時間使ってくれるので見応えあります。大量の敵を薙ぎ払うイメージもある無双シリーズでも武将との戦いは一味違って燃えますよね。あとは誰も華雄に勝てなくて、結構スポット当たってましたね。

呂布と董卓で当然思うのが貂蟬を使った三角関係。彼女も出てきて、呂布といい感じになる一方、「董卓に嫁がなければ」って事がわかる程度でいわゆる連環の計を匂わせる程度。あくまでアクションに重きを置いた作品って事でしょうか。ちなみに董卓のシーンはほんとが美女を侍らせてました。

武将一人一人だけでなく、一応大量の兵士同士のバトルとしての見応えもあって、統率の取れた人々が盾をうまく使って敵軍を倒していくのとか良かった。そこはゲームと違って、一兵士の頑張りっぷりもやってくれて良かった。義勇軍として彼らも集ってるわけですからね。志は高いはず。決戦前の演説シーンも良かったです。

ゲームの世界観をかなり忠実に出しつつも、歴史アクションとしてのツボは押さえていて、とにかく迫力ある映像をこれでもかと楽しめました。ナレーションで状況の説明はあって補足されていくものの、メインキャラ以外はそこまでガッツリ扱われない関係でちょっと物足りない、知らない人は入り込みにくいかなという気もします。最初に触れてる通り無双シリーズを遊んだことあったり、三国志のストーリーをある程度知ってる方がシンプルに「どう描くのかな」って目線で観れると思います。

ずっと気になっていた作品ですが、12月にソフトが発売したばかりでもうNetflixに来てくれて嬉しいサプライズ。一騎当千という言葉に偽りはないので、アクション好きは特におすすめの一本。

ネトフリにて吹き替え版で視聴。

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映画 真・三國無双 [Blu-ray]

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