シャン・チー/テン・リングスの伝説 / 特別な力を持つリングを持ち犯罪組織を率いる父。一度は家族から離れてホテルマンとして働いて彼が、妹や母の故郷、世界のために立ち上がる。MCU最新作カンフー(?)アクション。

MCU、マーベル・シネマティック・ユニバース(アベンジャーズとかのあれ)にアジアのヒーローが参戦。太古から残る不思議なパワーを持つ「テンリングス」や、奥地の村に封印された邪悪な存在との戦いを描く。主演はシム・リウ。
いつからか特殊な10個の腕輪を持ち、その強大な力を持って1000年以上も生きて犯罪組織を従えていたウェンウー。妻との出会いによって一度は戦いから離れるも、彼女が殺されたことで再び復讐の鬼となって息子シャンチーたちも鍛えるようになる。しかし彼は脱走し、成長した彼はサンフランシスコのホテルマンとして普通に暮らしていた。そんな時に母からもらったペンダントを求めて謎の刺客が登場。妹にも危険が迫ってると知った彼は旧友とともにマカオへと向かうが……。
トニー・レオン、ミシュエル・ヨー、オークワフィナ(オーシャンズ8)ら豪華共演のほか、MCUからあの人やこの人もゲスト出演。
あらすじ
犯罪組織を率いる父親(トニー・レオン)に幼いころから鍛え上げられ、最強の力を持ったシャン・チー(シム・リウ)は、組織の後継者とみなされていた。だが、彼は自らの力を封印し、過去の自分と決別してサンフランシスコでホテルマンとして平凡に暮らそうとする。だが、伝説の腕輪"テン・リングス"を操る父親が世界を恐怖に陥れようとしたため、シャン・チーはついに封印していた力を解き放つ。
(シネマ・トゥデイより)


映画スタートの時点では父親ウェンウーが持っているテン・リングスですが、普通に考えて最終的には主人公が譲り受けるはず。そしてそのためには戦うシーンがあって、和解的な流れになる。素直に考えたらそうだよな〜なんて考えながら見ていたんですが蓋を開けてみればその他の要素がてんこ盛りで。よくここまで隠していたなぁと。予告動画でも水中でチラッとその姿が見えていますが、やっぱり普通のカンフーアクションではない、アメコミ原作であるMCU作品に連なることを実感する流れになります。「腕輪」以外にも超常的なものがいっぱい。「ラーヤと龍の伝説」もそうでしたがアジアって水と龍、そして神(崇める存在)って密接に関わってるんだなぁとしみじみ思います。ヒントになっちゃってますかね。

MCU要素といえば前々から言われていた通り「ドクター・ストレンジ」からウォンが登場。ヤバめな格闘場で戦ってたり、全てが終わった後にシャンチーたちを地球のために戦うヒーローの仲間に招き入れるという役どころでしたね。『サーカスへようこそ』ってセリフにニヤリ。映画ラストのおまけシーンでは別のアベンジャーズも二人ほど出てますので誰なのかお楽しみに。そしてさらにサプライズだったのは、かなり前の作品のヴィランが準主役級で登場。会話の中で「あーそういえばテンリングスって単語は既に出てたよね」ってただのファンサービスかと思ったら、ガッツリ本人が出てくるんだもの。「ソー/ダークワールド」から何年経ってるんだよ。
シリアス目のお話の中でのコミックリリーフ、おちゃらけ担当でしたね。彼の相棒、謎の生物も不思議な可愛らしさがありました。

他の作品でもそういう傾向が強いですが、オークワフィナ演じるケイティももちろん賑やかし要員でしたが、かなりピンチにもなってるし、昔からシャンチー(ショーン)の友人ということでゆくゆくはラブロマンス候補?ってことなのかも。少なくとも今後セットで登場するの確定してますね。一応戦闘面では素人なんですが、隠れ里についてから短い期間修行し、ラストバトルではけっこう美味しいところ持っていきました。いわゆる逆鱗、って表現されるところなのか、弱点を狙い撃ち。アメリカに帰ってきて武勇伝を語っても信じてもらえないのは笑いましたし、英語でも「シャンチーがカメハメ波撃って」って表現してて日本人としては嬉しいかぎり。

もう一人のヒロインである妹シャーリンも境遇を考えるとなかなか切なくて、それでも強くあろうとした姿がカッコ良かった。暗器使い、という言い方でいいのか、己の肉体だけでいく兄とは違う戦い方なので別の魅力がありますし、映画が進むにつれてわだかまりがとけていいコンビになっていく過程もよかった。「今度は見捨てない」ってセリフがなかせる。あの時はシャンチーもまた子供だから、妹のことまで考えられなかったんですよね。仕方ない。母の死は全員にとって傷になっていた。

最初に触れた通り父と息子の因縁というのがメインテーマなので劇中で何度もぶつかりますが、長きにわたって生きてるだけあって父のテンリングスの応用も見ててめちゃくちゃすごかったですし、「剛」というのか、力で叩きつけるような戦闘スタイルが絶対的な王者の風格。トニーレオンが渋かった。一方でシャンチーは「柔」母親から受け継いだようなスタイルで、その力を受け流して利用するみたいな、強いのと同時に優しいというオーラがよかった。わかりやすくリングも青系とオレンジ系になってますしね。半分ずつにして戦い合うの頂上決戦感があった。父子対決の後、それよりもっと規模が大きくなるんですけど。最後の最後にあれした、とか、妻を思うあまり、みたいな父ウェンウーにも共感できるところいっぱいあるんですけど、決着のつき方が予想してなかったあっさり感だったのでそこはびっくりでしたね。拳で十分語り合った、ということなのか。あの時に息子たちと悲しみを分かち合っていたらこんな結果にはならなかった。いずれにせよ切なかったです。

バラしてしまうともったいない最終対決は規模もすごかったですし、ターローの人々、父の部下たちとの共闘で危機に立ち向かう姿が良かった。ほんとダイナミックな映像のオンパレード。中盤の地図などもそうでしたが、水の表現が今回すごい頑張っていた印象があります。そしてわかってたことですが、腕輪をはめたシャンチーが最後はバシッと決めてくれる。失礼ですが最初はどこにでもいるアジア人って感じだったのが、かっこよく見えるんですよね。母が残してくれた服もすごい好き。


もちろんそこへいくまでの間は鍛えてるごく普通の青年のカンフーアクションを観れるのでそこも魅力でしたね。暴走するバスの中での、「片手が剣の男」とのバトルとか、マカオのビルの外壁足場とか、一歩間違えば即死亡っていう緊迫感の中でのスリル。ケイティと同じように『駐車係がなんでこんなに強いの?』って驚きを体験できる。普通の人がヒーローになるって作品の醍醐味ですよね。そうだ、ケイティのドライビングテクニックも何回か披露するシーンありました。

これまでのMCU作品と違って何かの続きとかではなく、新しいキャラの登場だったので期待もありつつって感じの視聴でしたが、アジアのヒーローとして、さらには己の肉体で戦うかっこ良さが炸裂してて楽しかったです。今後他のメンバーとの絡みも楽しみ。例によって「帰ってくる」ってメッセージ出ましたからね。妹も何やら動きがあるし。ドラマ「ロキ」で示唆されたあれとの戦いに今からワクワクです。


9月劇場公開が、早くもディズニープラスで見放題になったのはかなり驚きました。スパイダーマンは延期になってしまいましたが、エターナルズなど今後のMCUの盛り上がりにも期待。

吹き替え版で視聴。




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