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【Netflix】シニアイヤー / チアのパフォーマンス中に事故が起きて昏睡状態になったのち、20年後の37歳で目覚めた女性。再び高校に通い出すも、世の中はあまりに変わっていて……。レベル・ウィルソン主演で送るラブコメディ。
Netflixオリジナル。オーストラリア出身の名コメディエンヌ、レベルウィルソン主演で送るラブコメディ。20年もの間昏睡状態で過ごし、目覚めた時には37歳となっていた女性が再び高校に通い出すも価値観のアップデートに翻弄されたり、かつてのライバルの娘と同級生なったり。しかし今度こそプロムクイーンになることを夢見て彼女は動き出す。その中で本当に大事なことを知り……。
チア部のキャプテンであり、イケメンの彼氏もいて順風満帆な高校生活を送っていたステファニーだったが、着地失敗によって昏睡状態に。そこから20年後ようやく覚醒した彼女は37歳となっており、自分の体や、様変わりしてしまった世の中に戸惑う。今や友人が校長を務めている母校に再び通い、高校生として再スタートするのだが、そこには宿敵の娘が学校1の人気者になていて……。
あらすじ
チアリーディング中の事故で昏睡状態に陥った女子高生が、20年後に覚醒。37歳にして再び高校生となった彼女は、今度こそプロムクイーンになれるのか!? (作品紹介文より)
最初に断っておくとレベルウィルソン主演なんで(?)割と下ネタが出てくるのでそこだけはご注意なんですが、ストーリーだけ聞くと結構重たい話なのにそこに抜けに明るい主人公の頑張りや優しさに触れられ、予想通りかなり元気が作品でした。こういうのがいいんだよ。
特に今回は主人公が目の当たりにするという形でここ20年の価値観の変遷を取り扱ってるのでそこも魅力。劇中だとステファニーは真っ向から否定してて「はあ??」って反応してますが、逆に世の中がアップデートされてることの証明でもあって。
例えば「今は本当の同性愛者にしかゲイって言っちゃいけないんだ」なんてセリフ出てきます。ちょっとニュアンス違いますけど、日本語でいう『おかま野郎』みたいなことですよね。しかもとあるキャラは虐められたくなくてカミングアウトすることができず、大人になってやっと打ち明けられたって設定だし。
他にもチアのリーダーはいなくてみんなキャプテン、パフォーマンスは扇状的でセクシーなものは御法度などステファニーにとっては衝撃的な変化が起きてる。まあ我慢できなくて大改革しちゃうんですけどね。今の高校生が悪い影響受けちゃうのはコメディだからこそ笑える。エンディングシーンでもダンスがありますが、相変わらずレベルウィソンあの体型なのにかなり動けててかっこいいです。ピッチ・パーフェクトシリーズほんと好き。
彼女と共に行動する同級生が大統領を目指す秀才女子、ゲイの男の子、ぽっちゃり君というのも王道すぎて笑えましたけど、よりスポットが当たるのは今は大人になった、17歳時代の友人たち。例えばずっとそばにいて好きだったのに踏み出せなかったセスや、前述の校長先生など当時は人気者になることに精一杯で気づけなかった大事な仲間のことを思えるようになっていくがいいんですよ。お見舞いに来てくれるのが、本当の友達。
既婚者である元カレに夢中で、嫉妬させるために利用したりしますからね。プロムの投票欲しさに勝手に別荘使うし。精神が17歳だから仕方ないけど、ステファニーもなかなか結構ひどい。それが変わっていく。
意識高い系(笑)とこれまたある意味、馬鹿にするような扱いされている学校で一番人気のブリー。SNSでバズることが人気の秘訣っていうのは若干誇張されている気もしますが、スマホすら知らなかったステファニーとして苦戦する相手としては良かった。とんでもない化粧してたのは引いたけど(いや高校時代も化粧してたでしょうに笑)
そんなブリーの母ティファニーとはステファニーの因縁の相手でもあり、夫がなびきそうなのもあってなんとしても彼女に勝とうとする。一度は無くなったはずの「プロムキング、クイーン制度」まで復活させて、ブリーを勝利させようと画策。ほんと海外ってプロムの呪いというかこの価値観は消えないですよね。格差が如実に現れちゃうから、いわゆる陰キャとか絶対辛いだろうなぁっていつも思う。そのものズバリをテーマにした作品がネトフリオリジナルにもありましたしね。ただこの映画では校長先生が頑張って「一人でいる人はいない?」「ダンスフロアはどんな人が踊ってもいいのよ」って頑張ってたのが泣けました。まあフォローされる方が逆に辛いっときもあるんだけどね……。
元プロムクイーンが、というのを描くことによって「その後必ずしも幸せになるとは限らない」ってのもやるし、「人を悲しい気持ちにさせてまでなるものじゃない」って気がついていくのも良かった。ただプロムはステファニーにとって重要なイベントだったから、なんとしても勝ちたいって気持ちもあるんだけど、今回一緒に行く相手が、ということで冒頭の伏線を回収してくるのは泣けた。ラブコメにおいて最後に恋が成就するのってこういうタイプだからほぼ全員が予想できてたと思うけど、20年ぶりのリベンジってのは泣けるよ。離婚してて良かったね。
最後はみんな優しい世界で終わりに向かっていくのも見てて気持ちいし、前述の通り最後がダンスで締めるってのも爽やかな気持ちで終われて良かった。ステファニー役二人で踊るところとかナイス。17歳の方を演じてるのは「ナイスガイズ!」やトムホ版スパイダーマンでネッドの彼女やってたアンガリーライスさん。自然すぎて指摘するまでもなかったけど、「レベルウィルソンの若い頃だな」って納得しちゃうだけの顔芸、誇張された調子こき具合がすごくハマってて、役者だなぁと思いました。
お下品なのを含めてユーモアをふんだんに盛り込みつつも、ここ20年の物事のアップデートを垣間見れますし(同年代は懐かしむということもできる) 人の優しさに触れて元気が出る映画。何も考えずゲラゲラ笑いたい人におすすめです。
Netflixで吹き替え版で視聴。
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