高い評価を受けた「気狂いピエロの決闘」のアレックス・デ・ラ・イグレシア監督による、これまたブラックなコメディ。タイトルの通り、高所から転落し、地面から突き出た鉄柱が脳に突き刺さってしまった不運な男が、これを一世一代のチャンスと捉えて驚くべき行動に出るという物語。
主人公の妻役を「エヴァリー」のサルマ・ハエックが演じ、「気狂いピエロの決闘」出演のカロリーナ・バングも登場。
あらすじ
失業中の元広告マン、ロベルト・ゴメス(ホセ・モタ)は新たな就職先が見つからず失意の日々を送っていた。そんなある日、郷愁に駆られ新婚旅行の思い出の地を訪ねた際に迷い込んだ古代ローマ遺跡の発掘現場で事故に遭った彼は、後頭部に鉄筋が刺さって身動きが取れなくなってしまう。その模様がニュースで放送され、一躍有名人になるロベルトだったが……。(シネマトゥデイより)
3年前に書いた「気狂いピエロの決闘」の紹介はこちら↓
気狂いピエロの決闘 / サーカスのマドンナを暴力男から守るため、ピエロは怪物へと変貌する……
http://xn--qfusdo8o71s.seesaa.net/article/371835054.html
インパクトありすぎるタイトルに惹かれ、内容もよく調べぬまま見始めたわけですが、結構早い段階からこの監督らしい皮肉っぽい展開でかなり衝撃を受けました。わざわざ言うまでもなく人を選ぶ作品です、はい。
あらすじを補足すると、カメラが回っていると言うことは、それを大勢の人が見る。広告業界にいた彼だからこそ思いついたのでしょうが、そこで某社の商品を持ち続けることでいわゆるステマを試みたり、専属のエージェントを雇い、自分や家族のインタビューに対し、一番金を出してくれるところに単独で撮影を許すという契約をとらせてみたり。終盤にかけて主人公ロベルトはずーっと地面に倒れたままで、妻や子供達が心配し続けているにも関わらず「これはチャンスだぞ、へへへ」っていう態度。シュールというか不謹慎というか。この上なくブラックです。
映像のグロさを回避するという意味でも、どのように刺さっているか、というのはほとんど見えないのでそこは平気なんですが、忘れた頃に「振動が伝わっていたがるシーン」などが挿入されるのでなんとも言えない気持ちになります。
そういう要素だけ見ちゃうとすごい映画だなぁって感じなんですけど、根底にあるのは、人生に絶望しかけた男が自分の命が危険になるような事故でさえチャンスと捉え、主に子供達ですが、家族に何をしてやられるのかを一生懸命に考えるっていう、父親の物語なんですよね。だから妻も反対しつつも、夫の気持ちを尊重しようとする。
インタビューされるシーンは涙なしには見れません。
最後にどのような結末が待っているのかはここでは伏せますが、ロベルト以上に「金になるか、ならないか」をかんがえている悪徳広告マンのラスト付近はかなりスカっとして、そこも救いだったなぁと。
ショッキングな内容ですが映像自体はそこまでじゃないので、自分は耐性があるよ。平気だ。という方は是非とも父親の勇姿をみていただきたいと思います。
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