フランス版シティハンターでお馴染みフィリップラショーが今回も監督・脚本・主演を務めたおバカコメディ。記憶喪失により自分自身をスーパーヒーローだと勘違いした男が起こす騒動をアメコミパロディやお下品、ブラックユーモアたっぷりで描く。
警察官である父親の反対を押し切り売れない役者を続けているセドリックは、棚ぼた的に新作ヒーロー映画「バッドマン」の主役に抜擢される。誰がどうみてもバットマンのパクリ作品だがコスチュームも車も本格的で、宿敵ピエロには大御所俳優も。しかし撮影の合間に父のお見舞いに向かって交通事故に遭ったセドリックは全ての記憶を無くしてしまう。自分の服装や小道具を見た結果本当のヒーローだと勘違いして……。
ュリアン・アルッティ、タレク・ブダリ、エロディ・フォンタンといったいつものメンバーが集結したほか、ジャン=ユーグ・アングラードら共演。
あらすじ
父の反対を押し切って夢を追い続ける売れない役者のセドリック(フィリップ・ラショー)は、晴れて新作映画『バッドマン』の主役に抜てきされる。憧れのヒーロー映画主演のチャンスを逃すまいと、彼は体を鍛え、武術をマスターして撮影に臨む。しかし、初日の撮影終了間際に父が倒れたという連絡が入り、動揺したセドリックは衣装の「バッドスーツ」を着たまま「バッドモービル」に乗り、病院へ向かう途中で事故に遭ってしまう。やがて意識を取り戻したとき、彼は自分の名前や過去の記憶を失っていた。(シネマ・トゥデイより)
「ヒャッハー」シリーズってだけで個人的にツボなのに、今回さらに「最終絶叫計画」シリーズみたいな『パロディで笑わせます』って先に教えてくれてる潔さがたまらない。しかもアメコミが題材ですからね。僕の好きなものの組み合わせで期待しかできない。しかもアルバトロスフィルムから発売だし。
※ブログ内検索で「フィリップ・ラショー」で検索するとどういう映画を作ってる方かわかります。
フランスの実写版シティハンターが大ヒットしてくれたおかげか、今回も吹き替えキャストが山寺宏一、多田野曜平、浪川大輔、沢城みゆき といた豪華声優陣がまた担当してくれてます。コメディ映画ですが決める時は決めるシーンもあるので、山寺さんのガチヒーローボイスとか似合いすぎてて笑います。実際ニンジャバットマンやレゴバットマンやとかやってますし。
上記予告映像でもアッセンブル(?)するシーンが写ってる通り、バットマンonlyではなくアメコミ作品全般のパロディがめっちゃ出てきて、ツッコミが追いつかないほどでしたね。撮影現場だからいろんな粉があって、セドリックの妹が緑色に染まっちゃう(だからシーハルク感がある)のとかよく考えるなぁって感心します。あとは顔面に青いケーキがついてミスティーク(X-menの変身能力がある青いキャラ)になるとかも唸った。その予告ラストもスパイダーマンの逆さにキスするシーンを最低のパロディしてるし。
映画の宿敵ピエロはまんまジョーカーなのに、加えて主役が決まったセドリックが階段で踊ってるシーンまで出るし(JOKER)、その時のBGMが"Come and Get Your Love"というガーディアンズオブギャラクシーでも象徴的な歌。マーベルもDCもおちょくっていくスタイル。こういう作品で毎回書いてますが、元ネタに気がつけるかどうかで笑いが変わってくるので、アメコミ映画を見てれば見てるほどニヤリとできるはず。
勘違いによるドタバタストーリー自体もなかなかに酷くて(褒めてます)、今回も痛そうだったり、動物が可哀想だったりブラックだったりなんでもあり。ピタゴラスイッチのようにとんとん拍子でいろんなものがぶつかってくるのはもう慣れちゃったよ。ヒロインも容赦なくやられてる(消火栓からの水とか)
「コロナじゃない、コウモリなんか食べてない!」と叫ぶ老人とか、せっかく直ったノートルダムとか結構ヒヤヒヤするネタも使ってるし。移民問題とか、「最強のふたり2」なんてのも。
サイドストーリーとしては友人のうち1人がもう1人の母親と付き合ってるというのがありますが個人的にはあんまり。それ以上に間抜けキャラで花壇のトイレを勘違いしてるとかの方が馬鹿馬鹿しかった。でも精神的ショックや薬のせいの幻覚って考えると笑っていいのか?とか。反応に困るw
お馴染みのメンバーが出てくること自体は楽しかったけど。
あと意外にアクションが本格的で、「撮影現場」という舞台で悪人と戦うからか発泡スチロールの壁が壊れる、など納得できるのに映像的にはなかなかカッコいい絵になってるのが良かった。単純にセドリックの身体能力が高くて、撮影シーンとかも見応えありました。バッドマンパロディなので武器もありますが、舞うように戦う姿は性別こそ違うけどブラックウィドウみたいだった。
さらに泣かせるのが父親と子の関係。警察官であるからただでさえ役者っていう仕事をあまりよく思ってないのに(セドリックは小さいサイズ用の避妊具のCMでタレントとして有名人になってる) 、勘違いの連鎖で銀行強盗や俳優の息子の誘拐という容疑を重ねちゃっててもうどうしていいかわからない状態に。それでも正体を知った時にわざと逃してしまうのが親心ですよね。だから悪人との戦いの結末を経てああいう風に一件落着して本当に良かった。胸を張って自慢の息子と言っていいと思います。ちなみにそのお父さんも「交通事故防止車両」のプロトタイプで現場に向かったことで散々な目にあっています。
あとヒロインとの関係性にも一捻りあって、シンプルにハッピーエンドにしてるのも好印象。ヒャッハーシリーズはふざけまくるけど最後はなんだかんだで綺麗にまとめてくれるから爽やかに終われていいんですよね。基本が頭空っぽにして楽しめる題材だし。
最終盤で実際のバッドマン本編が流れますが、「どうにかしてケルヒャーの掃除機を映して」っていう無理難題に対する脚本家の出した答えが面白くてそこも見どころです。
予告編を見た時の期待を裏切らない一流のおバカコメディでものすごく満足感がありました。実写版シティハンター同様、割と人にも勧めやすい部類だと思います(笑)
名前だけとはいえトムクルーズは怒らないかな……。
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