スタートアップ! / 韓国WEB漫画を原作にしたハートフルコメディ。母親と衝突し、家出した少年テギル。飲食店の住み込みバイトとして働きだすが、料理人は強烈。少しずつ大人になっていくが、友人や母がトラブルを抱えていて……。長髪のマ・ドンソクは必見。

チョ・グムサンによるWEB漫画「始動」(原題?)を原作にした韓国産ハートフルコメディ。主演は「それだけが僕の世界」のパク・ジョンミン。彼の働く飲食店の風変わりな料理人役にマ・ドンソクが怪演。
予備校も行かず働きもしないテギルはいつも母に怒られてばかりだったが、働き出した友人サンピルに触発されて家出をし、住み込みバイトとして新しい生活を始める。配達を担当するが、そこの料理人は髪の長い巨漢でかなりの変わり者だった。初任給をもらったり、癖の強い仲間と共に少しずつ大人になっていくテギルだったが、実はヤミ金で働いているサンピルや、母がやっとの思いで手にいれた店が立ちのきを強いられるなどトラブルが重なり……。
チョン・ヘイン、ヨム・ジョンア、チェ・ソンウン、キム・ジョンス、コ・ドゥシムら共演。
あらすじ
学校も家も嫌いで、勉強する気など全くないと反抗し、母親から毎日張り倒されるのが当たり前になっているテギル(パク・ジョンミン)。早く稼ぎたいと親友サンピル(チョン・ヘイン)が社会に出たことを知り、いてもたってもいられなくなって家を飛び出した彼は、ふと入ったチャンプン飯店でコソク(マ・ドンソク)という厨房長に出会う。彼や店に集まる強烈な人々と交わっていく中で、テギルは自分と向き合い、社会というものを学んでいく。(シネマ・トゥデイより)


このブログでもマ・ドンソク出演作を紹介するのは6度目なんですが、予告動画でも分かるとおり一番インパクトありましたね。かつらを被って髪が長いこともそうですが、ピンクだったり、スウェットだったり格好がすごいし同僚として不気味すぎる。目を開けたまま寝るし。でもこの人を出オチで使うわけないので、予想通りアクションも少しあります。

主人公テギルのことを小馬鹿にしては掴みかからせ、平手打ち一発で気絶させてしまうというくだりがお約束になっていくんですが、中でも一番ウけたのが踊りながら倒すところ。ギャップとしての笑いでしょうが、【TWICEが好き】という設定がありましてね。、食事中についてたテレビで彼女たちの曲ノックノックが流れる中で喧嘩となり、それに合わせてノリノリで完コピした後に平手ばちーん。しばらくツボに入ってました。

後半になってシリアス度が増すものの基本的にはそういうユーモアがふんだんに入れられてて、たとえば言葉を間違えちゃう同僚。ナビとビデとか、消防車とパトカーとか。でもこの人一生懸命料理の練習してて偉いんだ。ちょっとどことなく杉村太蔵さんに似てました。
母親とうまく行かなくて家出してきて、素直になれなくて……というテギルのメインストーリーだけじゃなくて、全てのキャラにサイドストーリーがあるのがすごく引き込まれます。ボクシングをやってるから男に対して強気に出るも、悪者にやられてしまいそうになるヒロインもたとえば両親のことを知れば「強くならなきゃここまで来れなかったのだな」と感じさせますし、途中でなんとなく察してしまう「オーナーがなぜ母親に会うことを強くすすめるのか」とかね。ほんといい人すぎて、あの飲食店がそれぞれにとってやっと見つけた居場所だったんだろうなって思うし、ずっと続いてほしいと願ってました。

もうひとつのメインとしてはサンピルで、やばいヤミ金で働いてて、ちょっとずつ染まっていくところ、でも最後の一歩で悪人になりきれない部分が泣けました。特に認知症が進みつつある祖母のためにってのがおばあちゃん子の僕にはきつかった。どんなにお金を稼いでも、内職を辞めず、「そんな仕事に行かないで一緒にご飯食べよう」とか。先にこれだけは言ってしまうと亡くなったりしないからご安心を。最終盤の「俺の名前わかる?」に対する答えもまた泣かされました。

もちろんドンソク扮するアニキにも秘密があって、それがわかるとなぜ助けてくれなかったのか少し納得。でもある事件が起きた時だけ、ついにその無双っぷりを発揮します。ここめちゃくちゃ強すぎて笑っちゃうし、ああいうのが嫌になる気持ちもわかります。この人もあの飲食店が人生の転機だったんだなぁと。「俺の職業は」ってセリフがとても印象的でした。

立ち退き問題とヤミ金関連が重なっていき、母親の店がかなりのピンチに。これ普通の作品だとアニキが助けてくれる流れだと思うんですけどね。違って面白かった。「自分の尻拭いは自分でしろ」そういうのも含めて、テギルが大人になる物語だった。でも最後の決め手はね……。あの設定がここに繋がるのかーって。

後日談もすごく心温まるもので、それぞれ本当に大事なものを見つけ【一歩踏み出す】=スタートアップなのが良かった。あれだけ歪みあってた母子がバイクに乗って出かけて「行き先は走り出せば見つかる」っていう、これ以上ないほどの明るい未来を象徴して締めるのも大好き。幸せな気持ちにさせてもらいました。

キャスト陣の演技もはまっていて、特にテギルは「それだけが僕の世界」の自閉症のメガネくんと同じとは思えないし、おばあちゃん役でよく見るコ・ドゥシムさんもすごく良かった。サンピル役のチョンヘインは「スノードロップ」主演など動画サービスのCMでもよく見ますね。


字幕版オンリーですが、笑って泣けて、が好きな人におすすめ。

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