サウスポー / チャンピオンとしての華々しい生活から一転、妻を失い娘とも離れ離れとなったボクサーのビリー。とあるジムを訪れ、新しい一歩を踏み出そうとするが・・・。: 映画感想.net ～映画ファン「きよ」のオススメ作品紹介～

2017年10月24日 19:00

サウスポー / チャンピオンとしての華々しい生活から一転、妻を失い娘とも離れ離れとなったボクサーのビリー。とあるジムを訪れ、新しい一歩を踏み出そうとするが・・・。

ジェイクギレンホール主演。人生のどん底に陥ったボクシングの元世界チャンピオン、ビリーホープ。カッとなりやすく、その怒りが彼の武器でもあったのだが、若手ボクサーの挑発に乗ったことがきっかけで最愛の妻が撃たれてこの世を去り自暴自棄になった彼はどんどんまずい事態に。しかし一人のトレーナーとの出会いが、彼を再び光ある道へと導く。
レイチェルマクアダムス、フォレストウィテカーら共演。元々は主演予定だったというエミネムが主題歌などを担当。
あらすじ
怒りを力に変える過激な戦闘スタイルのボクサー、ビリー・ホープ（ジェイク・ギレンホール）は、試合にまつわるいざこざが原因で妻を亡くす。生きる気力をなくした彼は世界チャンピオンの座から転落し、まな娘とも離れ離れになってしまう。全てをなくしたビリーはアマチュアボクサーのトレーナーを務めるティック（フォレスト・ウィテカー）の協力を得て、栄光と娘の信頼を取り返すため再起を図る。(シネマ・トゥデイより)

コーチとの出会いがどん底ボクサーを変える、っていう触れ込みだったのですが、ストーリーの展開が思ってたのと違っててびっくり。ティック、前半が終わる映画開始50分過ぎた頃にようやく登場します。
その分、これでもかって描かれるのがビリーの「天国と地獄」最初めちゃくちゃ観客を集めて、ボコられつつも最後にすごいハードパンチをお見舞いしてKOガチするっていう姿とか、そんな彼を心配しつつも支えてくれる妻モーリーンや愛娘レイラとの幸せな日々などを描きつつ、上記あらすじの凶弾に倒れるシーンやら、自暴自棄になってレフリーに頭突きしちゃうところなど、一気に変わっていく様子がたっぷり流れるので、いやが応にもビリーに感情移入しちゃいますし、見ていて辛かった。
お金がなくなってきたから悲しみの中組まれた試合中、朦朧となりながら無意識に「いつも妻が応援してくれてた席」を見ちゃって、さらにそこにはいない、っていう演出がめっちゃ泣けました。最後にはちゃんと復活するってわかってても辛いからね。
劇中でもティックが言っていましたが「母の死を受け止めきれずに今はただ父を恨むしかない」状態のレイラもきつくて、娘のために一生懸命になってるのに会いたくないって言われちゃうのが切な過ぎた。たった一人の家族なのに。その分友達やティック、ジムの仲間がいいやつでしたけどね。主人公夫妻は養護施設育ちという設定で、友人たちもそこからの縁。「お金持ちのみなさんが怖がるぞ」なんて内輪ジョーク出てましたけど、ガラは悪いけどめっちゃ優しくて良かった。
ちなみに施設はヘルズキッチンにあるそうで、某アメコミヒーローが浮かびました。

後半戦はその辛い思い、鬱憤を全て解放するかのような流れで、安心して見れたのも良かった。スターチャンネルでの番組案内に「アンガーマネジメントもこの映画のテーマ」なんて書かれていましたが、ティックはこれまでのビリーの戦法を変えて、防御を基礎から教えてくれるんですよね。実際、映画終盤の１番のクライマックスのシーンでは流血の量が少なめで、ちゃんとガードしつつ戦えてる証拠だなって思います。劇中で何回も感情を爆発（主に物に当たる）→すぐに我に返って謝る、ってシーンがありましたが、トレーニングをやっていく中で怒りのエネルギーをうまくコントロールできてる印象ありましたし、晴れやかな顔をしてる気がしました。

先にちょろっと書きましたが、彼の再起をかけた因縁の試合がありまして、僕はその舞台に立てた時点でももうビリーは別人になってて、よく乗り越えたなぁって泣きそうだったんですけど、試合そのものもすごく見応えあって。どっちが勝つのかっていうギリギリの世界で戦う二人。普段格闘ゲームはやってもTV中継などはほとんど見ない僕でも熱中して見ちゃいました。そしてタイトルの「サウスポー」の意味がわかるっていうね。まあ誰もが「いつ出るのか」って思いながら見たでしょうけど。
カタルシスが半端なかったです。

と言うことでちゃんと再起する、ハッピーエンドが約束されている反面、前半悲しい出来事だったり、見るのが辛くなるような「落ちる描写」があるのが少し意外でしたけど、期待通りの面白さ、熱さでさやわかに泣ける作品でした。
スターチャンネルにて吹き替え版を録画、視聴。