すったもんだありつつも義理の息子たちを受け入れ、それぞれの実家をめぐるたびに出向くヴェルヌイユ夫婦。しかし帰国すると4組それぞれが外国への移住を考えていることを知らされ、妻は特に孫に会えなくなることにショックを受ける。なんとか考え直してもらえないかと策を講じる二人。一方で末娘の夫シャルルの妹も結婚を決意。ただ問題はパートナー女性ということで……。
クリスチャン・クラヴィエとシャンタル・ロビー、メディ・サドゥン、フレデリック・チョー、フレデリック・ベル、エロディ・フォンタンら前作キャストが集結。
あらすじ
4人の娘が外国人と結婚したヴェルヌイユ夫妻(クリスチャン・クラヴィエ、シャンタル・ロビー)は、義理の息子たちの実家を訪ねるため世界をめぐる旅に出る。だが旅から帰ってくると、婿たちはパリでの生活や仕事に不安を募らせ海外への移住を考えていた。家族が離れ離れになることを受け入れられないヴェルヌイユ夫妻は、何とかして婿たちを引き留めようと奔走する。(シネマ・トゥデイより)
予告動画でも十分伝わってると思いますが、今回もまーブラックユーモアの連発ですごかった。ここまでやっちゃうのがさすがフランスだよなぁってしみじみ。人種差別やジェンダー観、しかもステレオタイプで固まってる主人公夫婦を協調することでフランス自体を自虐するという構図になってて、全方位に喧嘩を喧嘩を打っています。
本筋じゃない部分を先に書くと、神父様からのお願いでタリバンから逃げてきたアフガン人を住まわせることになるという新要素が追加。本人は教師なのに庭の手入れをさせるという時点でもナチュラルな人種差別は当たり前。疲れて腰痛ベルトしてる姿を見て「自爆テロだ!」って勘違いして大騒ぎする流れは普通にアウトだと思う笑 ほんと災難でした。
そしてシャルルの妹ヴィヴィアンの結婚関連。「予想外のパートナー登場で両親ドタバタ」は1作目を踏襲した繰り返しのギャグなのですが、レストランの待ち合わせシーンまで丁寧になぞってて笑えます。相手もなかなかキャラの濃そうな女性でしたが、映画全体からみればそこまでフューチャーされません。一番フューチャーされるのはやはり父親アンドレの慌てっぷりと、それを見て面白がるクロード。前作のメインカップルであるロールとシャルルの両家、特に花嫁花婿の父親同士のいがみあいは今作も健在。「卒倒するところを見たかった」なんていう趣味の悪いこと言ってましたが、バチがあったのか病人アンドレの世話をやらされることになる流れはちょっと小気味良かったです。
上手いなぁと思ったのは世界をめぐるシーンは飛行機以外ほぼ映像としては出てこずに、土産話というスタイル。そこでも中国は人が多すぎる&汚い、アラブは人気ない。「緊張状態」なんてワードまで笑いしちゃってます。それを聞いてたそれぞれの婿がムスッとしつつ、でも自分以外のところがディスられるのはニヤニヤしながら聞いてるって構図が懐かしかった。誇張しすぎはあるものの、誰でもそう思ってる、感じちゃうってラインを責めるから見てて面白いんですよね。さらに「やっぱり我が家が一番」という、元々自国贔屓だったのが拍車が掛かってるクロードたちも笑えます。帰宅後にチーズ食べまくるのとか、僕らもお米とか醤油やだしが恋しくなるからわかる。
前半はそれぞれ花婿目線で「やっぱり色々不満がたまるよなー」っていう描写がつづきます。同じアジアとしては中国人シャオが一番身近に感じますが、レモネード注文して「イエロー」とか、あるいは金持ちだと思って狙われやすいなど、見た目が明確に違うとこうだよな、って考えさせられます。一方でシャルルの方は黒人俳優は『最強のふたり』の人しか売れてない、オセロですら白人が演じるなどなど、アグレッシブな差別というより認めてもらえない難しさが出ていました。そういう虐げられた立場の弁護をラシッドが頑張るのかと思いきや「そんなんばっかりは嫌だ」っていう。
で、結果として外国に行くことにするんですが、てっきりそれぞれ自分の国だと思ってたのでそこが意外でしたね。例えばシャルルはボリウッドを目指してインドへ、とか。「今までいないから俺がさきがけになる」「需要がないからでは」ってやりとりがシビア。国を跨いだら今までみたいに家族とホイホイ会えなくなるから慎重になるのもわかるし、現状ストレスを抱えててそれが夫のためなら、と最終的に決断してくれるのが偉いですよね。
最初に触れた通り親は黙っていないので、役者まで雇ってなんとか引き止めようと必死になってる姿は面白った。特に「何を言えば心変わりする
か」を熟知してるという部分が、国民性のアメリカンジョークみたいでウケます。そしてちゃんと義理の息子のことわかってるんだなぁって。唯一折れなかったシャオを引き止める手段がこれまたギリギリのラインだったので苦笑。FBにインスタ、ワッツアップなどおばあちゃんだけどITに通じてるって要素はこれの伏線だったのか〜と感心しました。
わかってたことですが色々揉めたけどやっぱり最後にはハッピーエンドで、ちゃんと結婚パーティができたのは良かった。教会でできないと告げた時、神父さんが笑いを堪えながらの「すごい家族ですね」がこの映画2作をシンプルだけど表してて好き。シャルルの方を含めてほんとすごかった。アンドレの生ハムへの執着はみものです。
後日談的なエピソードも挿入されてて、この後も幸せに続くんだろうなって思わせてくれるのも良かった。ブラックジョークがたっぷりなんで人は選ぶかもしれませんが、1作目も含めて家族愛に溢れた名作ですのでおすすめの1本。
僕がhuluやめた直後に配信開始され残念がってたら、11月から再加入したWOWOWで録画できて、さらにアマプラでも11月見放題対象ってことなんで、会員の方はぜひぜひ。
字幕版を録画、視聴。
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