レミニセンス / 人の記憶を【見る】ことができる主人公ニック。恋人が突然消えてしまい悲しみにくれるが、ある事件の捜査をする中で彼女の過去を知ることに。手がかりを辿っていくと、そこには大きな陰謀があり……。ヒュー・ジャックマン主演のSFサスペンス。

クリストファー・ノーラン監督の弟であり、その兄の多くの作品、そしてドラマなどの脚本を手がけてきたジョナサン・ノーランが製作に名を連ね、彼の妻であるリサ・ジョイが監督・脚本を担当して長編デビューしたSFサスペンススリラー。主演はヒュー・ジャックマン。人の記憶を見ることができる男が、かつての恋人を探す中で隠された陰謀に気づいていく物語。
元々は拷問用に作られた特殊なポッドを使うことで、意図的に人の記憶を呼び起こし見ることができる男ニック。メイという女性と出会って幸せな日々を過ごすが、ある日突然姿を消してしまう。検察からの依頼でとあるギャングの記憶を調査すると、なんとメイの姿が。知らなかった彼女の過去を知って動揺すると共に、今現在の手がかりとなると考えたニックは必死に調査をするが、そこでより大きな闇と陰謀に触れることに……。
ヒロインをレベッカ・ファーガソンが務めるほか、タンディ・ニュートン、 ダニエル・ウー、クリフ・カーティスら共演。
あらすじ
世界中が海に沈んでしまった近未来。他人の記憶に潜入する能力を持ったエージェントのニック(ヒュー・ジャックマン)のもとに、検察からある仕事が舞い込む。それは瀕死の状態で発見されたギャングの男性の記憶に潜入し、謎の多い新興ギャング組織の正体と目的を探るというものだった。男の記憶に登場する女性メイが、鍵になる人物だとにらむニック。彼女を追ってさまざまな人の記憶に潜入していくが、その裏では巨大な陰謀がうごめいていた。(シネマ・トゥデイより)


SF映画で「記憶」をテーマにしたものも結構ありますが、インセプションとカウンセラーの催眠療法の融合みたいなスタイルで「見る」演出は新鮮で面白かったです。あくまでニックは案内人で、主に依頼者が「見たい」と思った状況に導き、再生する。それが3Dで第三者にも見えちゃうっていうのがちょっと飛躍してて(現実に可能なのだろうか?)ファンタジーですが、問題はあるものの夢のある技術だなぁって感じます。元々は拷問/取り調べ目的だったみたいですけど。
記憶だから絶対に嘘がつけないってのも最強だし、あとは隠したいことが隠せないのがね。プライバシーの問題。一応着替えたりするところはニックは目を逸らしてましたが、タンスの下にいかがわしいものを置いてあるとかもわかってしまう。特別な人しかこういう仕事ができないだろうし、例えばお医者さんに体見せる訳だからそこは割り切るしかないのか。

楽しかった時の記憶だったり、今はもう会えない人との思い出だったりって人生において大事なことで、それを思い出すことで頑張れたり優しい気持ちになれたりしますよね。それが自分の意志で自由に、リアルな映像として体感できるなら繁盛するのも良くわかる。そしてまるで中毒のように何度も何度も見たくなってしまうということも、共感できます。劇中の世界では水位が上がって街が水没したり、戦争の爪痕があったりとかなり辛い世の中ということですから、なおさらそういうものにすがりたくなるはず。

上記あらすじだとなんかメイの説明不足ですが、冒頭で触れた通り突然いなくなった恋人が仕事で調べたギャングの記憶に出てきて「こっから辿ればまた会えるんじゃないの??」とニックが張り切って色々調べていくというのがメインストーリー。記憶が再生できるってことは今僕らが見てる映像が回想ってこともあるのか(騙しテクニック)ってことも予想しながら見てたんですが、割と早い段階で『というのがメイとの馴れ初め。今はどこにいるのかもわからない』って感じでサラッと使ってました。

ギャングと、その部下の汚職警官。彼らの企み。悪者との戦いなのでアクションも結構激しめで、タンディ・ニュートンを含めドンパチシーン、格闘シーンがちょいちょいありました。水没した設定を生かす場面もあったし、重いものが沈むっていう単純さが逆に怖い。戦争を体験してるっていう背景があるから説得力も増してましたが、カッコ良かったな。ニックだけじゃなくてワッカもキャラが掘り下げられてて、非常に魅力的でした。監督のウエストワールドの縁かな。そっちのイメージ強いです。

そう、過去と未来ってのがやっぱり重要で、思い出を糧にするのかあるいは「囚われるのか」という強いメッセージを感じました。最終盤の展開的もニックとワッカは意図的に真逆にしてて、そこが悲しい。
ニックはずっとメイを探して、色々な手がかりを得てちょっとずつ近づいてるんだけど、それは決して前には進んでない。「恋人メイとの楽しかった日々」を取り戻そうとしてるだけだから、本人が希望を信じて進むしかない。戦争での仲間、決まった映像を見にくる女性。鼻歌。それらが全部繋がって真相が見えていく過程はこっちとしてはとても見応えがあるんだど、そこに待ち受けている最後のピースがハマった時がなんとも言えない気持ちにさせられる。なんとなく察してしまうし。

劇中でどんな話も最後はハッピーで終わらないという話に対して「そこにいく前に終わりにしてしまうのが一番いい」って答えるくだりがある。どんな事実が判明しようと、「楽しく過ごした思い出」は、記憶として残り続ける。ああ、そういうことか。って切ない終わり方でしたし、この映画自体をハッピーエンドと呼ぶべきかどうかってほんと悩む。個人的には、ニックの選択に共感するし尊重したい。

若干時系列が変化したり、SF的な要素を扱ってるものの、「思い出」との向き合い方という誰しもが共感しやすい題材なのですんなり入ってくると思います。伏線がきっちりと回収されますし、結末を予想しながら見るという楽しみ方もできました。そして何より「自分ならどうだろうか」と考えさせられる、そんな映画。おすすめ。

Netflixにて吹き替え版で視聴。

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