サカサマのパテマ / 地下集落のお姫様パテマ。ある日決意した彼女は、外の世界を見に行ってしまうのだが・・・。「イヴの時間 劇場版」の吉浦康裕が手がけたSFファンタジーアニメ。

サカサマのパテマ


吉浦康裕が原作、脚本、監督を担当したアニメーション作品。タイトルのサカサマは、主人公パテマと、もう一人の主役エイジとの重力が反対、つまり両者にとっての普通は「逆立ち」している状態になっているということをさします。そういう境遇の二人が出会ったことで起こる騒動、二人の冒険を描く。
声の出演は藤井ゆきよ、岡本信彦、土師孝也ほか。
あらすじ
果てしなく坑道が続く地下世界に暮らす、地下集落のお姫様・パテマ。天真らんまんで好奇心旺盛なパテマのお気に入りは、立ち入り禁止となっている「危険区域」を探険することだった。世話役のジィの心配をよそに、いつものように危険区域へ飛び出したパテマだったが、予想だにしなかった出来事に遭遇してしまい……。(シネマトゥデイより)


重力を絡めたラブストーリーで「アップ・サイド・ダウン 重力の恋人」という作品がありますが、この作品とは世界の構造が少し違っていて、あれはまるで空に大きな鏡があって、お互いに上空方面に進むと出会える、という形。一方でパテマたちはエイジの世界の地下に住んでいるので、「アップサイドダウン」は「一つの部屋の床と天井」で、「パテマ」は「2階の床と1階の天井」って感じ。

それがある上で、お互いの世界はほとんど交流がなく、パテマ側なんかは隠れて暮らしているという状況。設定こそSFですが、異文化間、異国間の二人が出会って、というある種の王道ロマンなんですよね。で、主人公たち二人はその状況に納得いってなくて、違う世界を知りたいと願う。

面白いのがエイジの父エイイチが、空を目指していた点。反対の重力の人と交流したかったら、地下に行けばいいのに、なぜ上を目指したのか?このあたりの伏線というか、物語が進むにつれて見えてくる違和感、そして一番ラストの衝撃的な事実が明らかになった時の「そういうことか!感は凄まじかったです。いやぁよく思いつくなぁって感心しちゃいましたよ。

こんな風に書いてますが、最後のシーンの解釈あってるのかちょっと自信なくて「パテマ ラスト 意味」で検索しちゃいました。見終わってから読むと、他のシーンの真意がわかって面白いと思います。そのくらい作り込まれてる作品なので。

エイジの世界は国家に厳しく管理されているって感じで、ちょっと外のことに興味を持っただけでも罰せられるようなレベル。ネチネチ嫌味をいってくるキャラクタを土師さん(スネイプ先生とかの人)がやっててピッタリだと思いましたし、想像以上に非道な男でびっくりしました。

若者二人が大人たちに邪魔されながらも世界の真実を解き明かそうと冒険し、実際すごいことがわかる、っていうワクワク感もよかったですし、ザ恋愛とまではいかないでも二人の信頼とか絆とかを丁寧に描いてて、すごく感情移入しました。頑張れ!って応援したくなる。

エイジが地下にいき、それまでのパテマと同じ「自分だけがさかさまになってる」立場になって初めてわかった彼女の心細さや、勇気。設定こそSFですけど、人生を頑張ること、他のことにも言えるのかなって、そういう風に感じました。

優しい絵柄ですし、万人にお勧めできる映画。

2014年にWOWOWで録画してあるんですが、Amazonプライムの無料対象だったのでそちらで視聴。

サカサマのパテマ
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