がんが進行していく中、終の住処としてシニアタウンを選んでひっそりと暮らそうと思っていたマーサだったが、隣にすむシェリルはタウンの活動に誘ったり人の家でルール違反のギャンブルに興じたりと正直うんざり。ただマーサが昔チアに憧れたものの実現しなかったことを知ると、サークルとしてやらないかと提案。背中を押されて設立するが、集まったのは同じように未経験のお婆さんばかり。基礎の基礎から少しずつ練習していき、彼らなりに楽しんでいたのだが、実力も伴わないまま高校のイベントに出ることになり……。
ジャッキー・ウィーヴァー、パム・グリアら共演。
あらすじ
シニアタウンに引っ越してきたマーサ(ダイアン・キートン)は、以前チアリーダーになりたかったと隣に住むシェリルに明かしたところ、今からでも遅くないとおだてられ、チアリーディングクラブを結成する。集まったのはチア未経験どころか、身体機能の衰えた平均年齢72歳の8人だった。彼女たちは周囲に嘲笑されながらも、励まし合いながら特訓に励む。(シネマ・トゥデイより)
「高齢者が若い時にできなかった夢に向かって挑戦する」というジャンルも結構ありますが、例に漏れずかなり感動しました。冒頭で触れた通り平均年齢が72歳なんで技術的な面で素晴らしい出来栄えってことでもないし、何かすごい賞を取ったとかではないんですが、一緒に活動する仲間とその時間自体がかけがえなくて。彼らの絆を見ているだけでグッとくるんですよね。
上記あらすじには載ってないものの、主人公マーサはガンを患ってて正直余命も長くありそうにない。冒頭いきなり身辺整理していらないものを売るところから始まるのでちょっとびっくりしましたし、「最後には……」と覚悟しながら見ることになりました。マーサ自身が初めからもう人とは距離を置いて、静かにその時を待つって感じでそっけない態度。でもシェリルはそんなのお構いないでどんどんくるし、嫌味言われても気にしもしない。このタイプの違う二人の掛け合いが見ていて面白かったですし、演じてる方々も名演技でほんと良かった。
その二人が最後あんなに仲良くなって、かけがえのない親友という存在になっていくからいいんですよね。マーサ一人ではチアをやろうと思わなかったし、他のメンバーともあそこまで親しくなっていないはず。お節介に思えるけど、それが彼女には必要だった。特に病気のことを打ち明けて、(死が)怖いって吐露するところが特に泣けます。そこまでの関係になったことや、自分を出せたこと。入居当初じゃ考えられない。もちろんその病気そのもののこともつらくて。せっかく仲間と目標を得て頑張ってるのに、どうして邪魔するのよって彼女の気持ちが痛いほどわかるんですよね。一度は諦めたけど、また前を向けた。そこでシェリルが欠けることがまたいいんだ。「がんに、地獄へ堕ちろって言えばいい」って。
チームのチアを阻む障害はそれ以外にもありまして。特にあれこれ口を出す息子さんにはイライラします。その実心配してるような口ぶりで、実際のところはなるべく自分らに迷惑かけずに静かに暮らしてくれっていうのが見え見え。本人がやりたいって言ってるのに、1万そこらのユニフォーム代出すのさえ渋ってる。家族に反対されてる仲間を助け出すっていう流れも王道の一つですが、70代のおばあちゃんでそれやっちゃうから面白いし、気持ちい。一方夫に反対されていたところの「早死にしてくれて気兼ねなくチアできるのはいいけど、本当に事故なのか?」っていう少しブラックユーモア入れてくるのもニヤニヤしちゃった。全体的におばあちゃんパワー炸裂!って感じの映画なのでコメディ部分はほんと笑えるんですよね。
それと予告動画にもある、高校での失態。これはまだ序盤の方で全然基本もなってないころなんですが、若いチア部に散々馬鹿にされて、さらにはネットで晒し者にされてしまう。偶然撮影してた子の動画がネットでバズってしまうんですが、当の本人は悔やんでいて。結果、チアのコーチとして仲間入りすることに。それが黒人の若い子です。シェリルの孫がいかにもな陰キャとして登場し、音楽編集などで何だかんだナイスアシストするわけですが、この若い二人がいい感じになる要素もちょっとだけあります。マーサが元教師ってこともあるけど、彼女と孫とのやりとりもなかなか沁みるものがあります。人生の大先輩からの言葉。
前述した通りコーチがついてからも劇的に上手くなるとか、おばあちゃんにしてはすごい!っていう技術的な部分はあんまり注目するポイントではなくて。とにかくみんなが一つのゴールに向かって一生懸命練習してること。そして本人たちが楽しそうに披露してることがとてもあったかい気持ちになります。高校の意地悪女子が最初なんかケチつけてきてたけど、始まったら会場は誰もそんな風に見ないし、笑いものにもしない。だって真剣だし、気持ちは一緒だから。そういう優しい世界だったのもいいし、普段敵対する間柄だったシニアハウスのセキュリティさんもナイスな働きしてくれた。
予想した通りマーサは旅立っていくんだけど、その場面は見せず。1年後にまた大会に出る様子で締めてくれたのは爽やかだった。1回目はそれぞれのイニシャルのユニフォームだったのが、その時はMになってて。「彼女にささぐ」的な意味合いだろうな、ってまた泣けた。エンディングシーンは楽しそうに踊るキャスト陣と、ネットで募集したのかマーサ考案?ダンスをやってる世界各地の人の映像。スポーツでも、資格でも、勉強でも、何歳からでも挑戦したり仲間と一緒にやることは素晴らしいってのをあらためて感じさせてくれて、素晴らしい映画でした。
WOWOWにて字幕版を録画、視聴。
1月15日くらいからアマプラ見放題にくるらしいので、ぜひそちらでどうぞ。

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