海洋天堂 / 男手一つで 自閉症の息子を育ててきた主人公。末期のガンが判明し、彼が一人で生きていけるよう出来る限りを尽くすのだが……。ジェット・リー主演のヒューマン・ドラマ。

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アクション・スター、ジェット・リー主演で送るヒューマンドラマ。水族館で働き自閉症の息子を育ててきたシンチョンにガンが見つかり、考えぬいた結果、心中という手段に出るが失敗。自分がいなくても生きていけるよう、息子に色々なことを懸命に教え、また彼を受け入れてくれる施設を探すことにするのだが……。希望を捨てない父の物語。
監督は『北京ヴァイオリン』ほかの脚本家シュエ・シャオルー。自閉症の息子を若手俳優ウェン・ジャンを好演したほか、グイ・ルンメイ、ジュー・ユアンユアンら共演。
あらすじ
水族館勤務のシンチョン(ジェット・リー)は、21歳になる自閉症の息子ターフー(ウェン・ジャン)を男手ひとつで大切に育ててきた。ある日シンチョンはガンで余命わずかと診断され、息子の将来を案じて心中を図る。だが、泳ぎの得意なターフーが海面に顔を出したため、シンチョンは息子に一人でも生きていけるよう教育することを決意する。(シネマ・トゥデイより)


失敗するとはいえ、いきなり心中するところからスタートするのでびっくりしましたが、映画を見ていくうちにこの父親がどれだけ大福(ターフ-)のことを考え、その上で覚悟を決めたのがわかるので責めようという気持ちは起こりません。誰のせいでもないし、誰に当たることもできないけど、心が折れてしまいそうになる瞬間がある。彼の辛さがよくわかりました。

物語全体としては、日々痛みに耐えながらも息子のために出来ること、残してやれることを精一杯やっている父親の姿にスポットを当てた作品なので何度も目頭が熱くなり、焦りとか不安といったものがこっちまで伝わってきて、アクションのイメージが強いジェット・リーの演技もかなり上手かったです。自分がそういう状況に置かれたらどうするだろうか、ここまで強くなれるだろうかと思いながら見ていましたが、シンチョンは本当にすごい。希望を捨てないんです。

周りの人も優しくて、小売店を営み、何かと協力してくれるご近所のおばさん。『自分は父親だから責任はあるけど、再婚したら残されたあと息子の面倒を見なきゃいけなくなる』という理由で、お互い好きだったのに何の進展もしなかったというのも泣けますし、遺影に使う写真を託すところなんか涙で画面見れませんでした。

ターフーに好意的に接してくれた、大道芸人の女性。はっきりとは描写されていないものの、今後水族館で働き続ける中で彼の支えになるだろうなって気配があって、すべてに悲観せずにいれたのも良かったです。

死期が近づいていく中で、ターフ-のために作った、亀のきぐるみ。息子は感情を表に出せず、自分がいなくなることをどう受け止めるのかわからない中で残してやれる思い出。あそこで語られる『妻の死』に関しての彼の考えを含め、ずっと一人で子を育てきた父親の強さ、カッコよさを感じました。

なんでこういう運命なんだろうな、悔しいな、っていう状況にあっても、最後には明るい未来を感じさせ、爽やかな気持ちで見終わることができました。父親にばかり感情移入してしまいましたが、ウェン・ジャンさんの演技も光っており、特に施設でひとり過ごすことになった初日の混乱とかは見てて辛いものがありましたし、泳いでる時の気持ちよさそうな顔はこちらも自然とにこやかになっていました。

静かでやさしい物語でした。

DVDレンタルで字幕版視聴。吹き替え未収録。

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