のぼる小寺さん / ボルダリングに夢中な女子高生・小寺さんと、惹かれていく近藤。ひたむきに頑張る彼女から影響を受けて変わっていく同級生たちを描く青春群像劇。人気コミックを伊藤健太郎&工藤遥主演で実写化。

『good!アフタヌーン』にて掲載されていた、珈琲による同名コミックを伊藤健太郎、工藤遥らで実施映画化。監督は「武士道シックスティーン」などの古厩智之、脚本をけいおん!シリーズや「聲の形」ほかの吉田玲子。ボルダリングに熱中する一人の女子高生と、彼女に惹かれていく卓球部の同級生らそれぞれの青春を描く。
卓球部に所属してはいるものの、学校生活全般にあまりやる気を見出せなかった近藤だったが、すぐ近くでクラスメイトの小寺さんがボルダリングをやっている姿を見て以来、彼女に惹かれていく。なんとか彼女との距離を縮めたい彼は偶然を装って度々近くを通るのだが……。ボルダリング部の男子、写真が趣味なのに言い出せない子、あまり学校に来てないギャル。真っ直ぐな小寺さんに影響を受け始めていく。
鈴木仁、吉川愛、小野花梨らが共演。
あらすじ
クライミング部の小寺さん(工藤遥)は、壁を見るだけでウズウズしてしまうほどボルダリングが大好きだった。クライミング部の隣で練習する卓球部の近藤(伊藤健太郎)は、小寺さんと話すとうれしくなり、次第に惹(ひ)かれていく。しかし、小寺さんに思いを寄せているのは近藤だけではなかった。(シネマ・トゥデイより)


非常に爽やかな青春群像劇で、思ってた以上に心地よかった。元々スポ根ものやスポーツ青春ものも大好きなジャンルなんですが(同じ監督の「武士道シックスティーン」もおすすめです) ほんと最初から最後まで小寺さんが真っ直ぐに、それこそ競技と同様に目標に向かって「登り続ける」から見ててこっちまで頑張ろうって思わされるんですよね。非常に魅力的で、みんなに好かれるのわかる。

映画の主役として一番はやはり近藤なのですが、一人ずつスポットが当たって、それぞれの青春っぽい要素が同時進行してく感じも良かった。まさしくお互いに影響しあっていくし、組み合わせのやりとり、空気感が好きなんですよね。近藤の「四条くんなら、小寺さんと付き合っても許せちゃうな」みたいなセリフとか恋のライバルに対しての言葉とは思えなくて笑っちゃう。『お前はどの立場から言ってるんだ』ってツッコミはあるけど。写真家を目指す田崎さんと近藤が同じ中学だったから他の面々よりも割と気さくに喋れてるのとか、小寺さん繋がりでなぜかその田崎さんとリノが好みのタイプの話をするとか、化学反応がいい。

そもそもこういうジャンルだと「ヒロインに惹かれて同じ部活に入る」が大多数を占めると思うんですが、この作品の場合はちゃんと「自分にできることを頑張る」って方向に行くんですよね。序盤にて「教室で誰とも話さずに過ごす」タイプであることや過去のエピソードでどんな性格だったかが分かってるからこそ、あの近藤が急にどうしたの?ってくらい変化してる。それをバカにする輩もいるけど、間違いなく【成長】してるし、見てて応援したくなる。

もう一人共感しやすいのは写真が好きなのに友達にすら隠そうとしてる田崎さんで、盗撮(笑)してたのがきっかけで部活の専属カメラマンになったり、最終的には文化祭にて人前で普通にカメラ構えてるのが良かった。コンテストにも応募してたり、近藤同様に「夢に向かってまずはやってみる」姿がグッとくるんですよね。個人的に小野花梨さんも好きなので、キャラクターといい、おさげまるメガネといいかなり印象に残るキャラでした。

恋愛模様としては、前述の通り近藤のライバルでもあった四条。この人はかなり最初にフラグっぽいのがあってある意味予想はしてたんですけどね。最初こそ小寺さんがいるからってのもあっただろうけど痩せてて非力でも一生懸命競技に向き合った。まあだからこそそれを見てくれてた人がいて、ああいう結果に繋がってると思う。この人もある意味「陰キャ」に属されるタイプだと思うけど、人とか関係なくやってるのはカッコ良かったし、茶化す面々に立ち向かってっていったのもグッド。先輩の面倒見がいいのも救われるよね。
そして何も進展せずと思われた小寺さんと近藤の仲も……あのラストシーンは見てるこっちも予想外で驚かされるし、でも同時に爽やかで。中盤あたりに出てくる「夏の静かな時間」ぽさあってめっちゃエモかった。

群像劇をやりつつも卓球の大会、文化祭、そして何より小寺さんの大会のシーンとストーリー全体の流れとして盛り上がるところも多々あって、
特に最後の競技シーンはボルダリングの面白さをきちんと出しつつ「ガンバ!」って全ての登場人物が声かけていくのがとてもグッときた。小寺さんが登っている姿こそが、彼らを鼓舞し、変えていったわけで。今度はその恩返しって感じでエールを送ってる。ほんと青春そのものでしたよ。

最初に列記した通り、若手注目キャストが多数共演してて、それが「こういう同級生いたよな」っていう絶妙なリアル感だったのでなんだかこっちもタイムスリップしたようで、でも同時に眩しすぎて切なかったりして。とっても爽やかな気持ちで見終われること間違いなしでどんな方にもおすすめ。主演の工藤遥さんも「ボルダリング以外眼中になし」って感じのどこか飄々とした演技、そして競技シーンなどかなり似合っていました。最初誰かわかんなかったくらい自然だった。
人の目を気にしなすぎてチラッとする素肌にドギマギする近藤が面白かったです。

huluにて視聴。

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