ネクストロボ / Netflixオリジナル CGアニメ。お手伝いロボがそこかしこにいる近未来。いつも一人で怒りっぽい少女メイは、博士が極秘に開発したロボ7223と出会う。二人の絆が深まっていく中、制作会社の恐るべき正体が明らかになって……。: 映画感想.net ～映画ファン「きよ」のオススメ作品紹介～

2018年10月29日 19:00

ネクストロボ / Netflixオリジナル CGアニメ。お手伝いロボがそこかしこにいる近未来。いつも一人で怒りっぽい少女メイは、博士が極秘に開発したロボ7223と出会う。二人の絆が深まっていく中、制作会社の恐るべき正体が明らかになって……。

NetflixオリジナルのCGアニメ映画。街にはロボットが溢れ、人間の代わりいやそれ以上に役割を果たして人々の生活に欠かせないものになっているのだが、主人公メイはかなりのロボ嫌い。しかも皆一様に大企業が製作したお手伝いロボを利用しており、メイも母親もその開発者である博士に夢中。新作発表など興味ない彼女は会場をさまよい、偶然別の博士が秘密裏に作っていたロボット7223に出会うのだが……。
ベイマックスの要素に本格的でど迫力なロボットバトル要素を組みわせた傑作エンターテイメント。吹き替えキャストに劇団ひとりも参加。
あらすじ
ロボットだらけの未来。メイは生活のすべてをロボットに任せきりの母や友人たちと上手くいかず、孤独な毎日を過ごしていた。そんなある日、戦闘用ロボット7723と出会ったメイは、一緒に過ごすうちに友情のような絆で結ばれていく。メイのことを大好きになった7723は、限度のある記憶容量に彼女との思い出を残すため、ある決断をする。やがて、7723を開発したロボット会社が人類滅亡をもくろんでいることが判明し……。日本語版では、お笑いタレントの劇団ひとりがメイの愛犬モモの声を担当。(映画.comより)

まず断っておくと、劇団ひりが担当しているモモは普通のいぬで、メイとは会話するわけじゃありません。普通に吠えてるだけ。でも7223＝バカロボットが自身の能力で翻訳して「こういう内容を言っている」と分かるだけ。ただかなり口は悪いようで、結構な頻度でピー音が被さります。おそらく「クソ」って言ってます。本人に伝わらないのが難点ですが、メイのことちゃんと理解してるのがちょっとグッときます。

そう、見始める前はベイマックスみたいなものだろうっていう思いがあったのですが、メイがかなり痛々しいんですよ。父親を失った悲しみが怒りに変わって、その結果周りの全てに反発して、傷つけて、逆に傷ついて。幸か不幸か7223がトンデモない戦闘能力を有してた結果、自分が嫌いなロボットを片っ端から破壊し尽くしたり、ルール違反はお手の物、いじめられた仕返しに相手が泣き出すまでやり返すなどかなりのダークっぷりで、そこはちょっと「ネトフリならでは」だと思いました。ディズニーならここまではやらないでしょ笑

そのパワーと対照的に7223はとても優しくて、間違ってる気がするけどメイが喜ぶならとずっと付き合ってる。しかも自分のメモリーがだんだんなくなるという故障を抱えてるのに。この要素は時限爆弾のようにストーリーが進むにつれてだんだん大きな問題になって、最終的にはすごい決断をすることになります。このあたり上手いなぁって思いました。

怒りを抱えた時にどう行動するのか。自分も攻撃するのか、それとも仲間と笑うことを選ぶのか。ここまでのロボット社会じゃないし、日本なんか特に武器があるわけじゃないですが、規模こそ違えど我々視聴者にも人ごとじゃないですし、メイの立場ならどうするかって考えさせられました。ガリ勉タイプで小馬鹿にされてる女子がもう一人登場するのですが、彼女とはまた違う対応をしてますし。

そういうお話自体も感情移入して面白かったのですが、前述の通り7223の武器、装備がかなりのレベルで、戦闘シーンがめちゃくちゃ大迫力なんですよ。まずメイを追って研究所から脱走した時の、高速道路でも警察ロボットとのチェイス。高層ビルとミサイル、そして走りながらというスピード感が凄まじくて、見入っちゃいます。これで、「ああ、ベイマックスというのは間違ってた」って思います。(あの作品もアクションでかなりの見応えあります、一応)

そしてもう一つは終盤にあるラストバトル。ちょろっと触れてる通り、ロボット製作企業、および博士の真の目的が明らかになって敵対していくわけですが、その戦いがね。これはテーマ的に当然だと思うのでネタバレしちゃいますが、ロボVSロボになるのですが、この規模といい見せ方といい、本当すごいです。ジャンルが変わります。ガンダムとかそういう方面。さらにそこに赴く前に彼がする決断がまた泣けるので、余計に熱いんですよ。おまけに周囲の音を小さめにして、壮大なBGMを流しながらっていう僕の好きな演出をしてくるから本当にずるい。
「頑張れバカロボット！」ってなりますよ。

先ほどネトフリっぽいと書きましたけど、もちろん子供も見れる作品には違いないのでそこからの展開はハッピーエンドそのもので、爽やかに見終わることが出来ました。ただ、もしもディスニーだったら最後奇跡が起きてああなったのかな、とも思いますけどね。
メイが主人公で、彼女がこの物語をへてどう変わったか、がテーマなのだと考えると、あれでいいのでしょうけど。

せっかくなのでネトフリ限定の作品を、と選んでみましたが「子供向け」で片付けられない面白さでした。
吹き替え版で視聴。