19:00
ムーラン 実写版 / 父の代わりに男のふりをして戦地に赴く一人の女性。秘密を抱えながら仲間と共に訓練の日々を過ごし、国を救うために強敵と対決することに。大ヒットアニメ映画を実写化。
ディズニーが大ヒットしたアニメ映画を実写化。主演はリー・イーフェイ。
国に脅威が迫り徴兵が課されるが、ファ家は姉妹が二人のみ。かつて戦い負傷し杖なしでは歩くのもままならない父は自分が出かけようとするが、見てれなかった長女ムーランは男のふりをして参加。男だらけの中、バレないように厳しい訓練が続くが「本当の自分を出せない」ことに苦しんでいく。敵には不思議な力を使う魔女もいて、皇帝や仲間はピンチに。ムーランは隠すことをやめる決意をして……。
ドニー・イェン, コン・リー, ジェット・リー, ジェイソン・スコット・リーら共演。
あらすじ
国家の存亡がかかった戦を前に、各家庭の男子を兵士として差し出せとの命令が下り、息子のいないファ家の一人娘ムーラン(リウ・イーフェイ)は、病気がちな父親を守るため男に成り済まして戦地に行く。彼女はファ家の守り神である不死鳥に見守られ、驚異的な戦闘能力を開花させる。(シネマ・トゥデイより)
定期的にディズニー映画の実写版が製作されていますが、今回は原作通りに素直に映像化した作品。とは言ってもストーリーの展開はアレンジを加えていますし、何よりマスコットキャラのムーシュが登場しないのは個人的にはちょっと寂しかったなと思います。上記あらすじにある「不死鳥」は、原作だとエディーマーフィ(吹き替え:山寺宏一)という、おしゃべりキャラで作中でもかなりのコミカル担当だったのでね、あの軽妙なやりとりが聞けないって分かった時は……。ジーニィという成功例があるものの、やっぱり今回の作風には合わないって判断なのかもしれません。近くで伝説の生き物が見守ってくれてるというのは神々しさを感じましたし、先祖が導く、という雰囲気が良かった。「ゴーストオブツシマ」というゲームでは風や鳥が進行方向を教えてくれましたが、それに通じるものがある(ゲーム内の設定では亡き父や母の導きという設定)
笑いが一切ないという意味ではありませんが、全体的にシリアス。中国アクションで魅せてくれる作品ですし、オリジナル版と同様に「女性ということを隠さずに、ありのまま戦う」っていう部分はちゃんと表現されていたのでご安心を。胸にサラシを巻き、バレないように風呂にも入らないで必死になっていたムーランが、国や仲間を救うために全てをさらけ出して戦う。それがあの髪を解いた姿に象徴されていて、「裏切っている」というモヤモヤをなくして全力で戦えるようになった彼女はとてもカッコ良かったです。
ディズニーだからそこまでえぐい描写こそされないものの、大量の兵隊vs柔然族という戦闘シーンは迫力がありますし、何よりムーランの軽やかな戦闘スタイルが映えるんですよね。劇中では「気」を使える、という説明でしたが、単純な怪力ではなく的確な力の使い方で相手を翻弄し、舞うように戦う。馬に乗りながらってのもあって、思わず声が出ました。さらには魔女というオリジナルキャラがいるおかげで適度な絶望感があって引き込まれます。
その魔女もいいキャラしてて、ある意味「闇堕ちしたムーラン」ぽいなぁと。力が強いばかりにこういう悪者の仲間になるしか居場所が見つけられなかった。ムーランも気のことを隠すように言われてましたし『女性が男性と同じくらい強かったからおかしい』的な間違った考え方が当たり前だっていう世界の中での被害者だった。そうやって感情移入してたところに持ってきてあの展開はね、ずるいよ。
クライマックス的なバトルシーンはムーランが全てを解き放った直後なので、終盤に決着シーンがあるものの若干あっさり目。まあ族長は特段強いわけじゃないからね。大事な剣がアレして沈んでたタイミングでの皇帝の言葉→不死鳥の流れはグッときました。直接手を下さなかったのも変に後味悪くなくていいかも。戦争だから命と命の取り合いで甘いこと言っちゃいけないんですけど、悪人でも殺したらやっぱり何かが残っちゃう。
見てて気持ちいのはその後の展開で、宮殿でのシーン、それから故郷でのシーンどちらもすごく良かった。すでに触れましたが、「女性兵士」としてきちんと認められてることに意味があるんですよ。さらに父親が守りたかった「家」も、これ以上ないほどの誉をもたらした。自慢の娘。
ムーランと恋愛フラグが立っているホンフイですが、そこまでのラブロマンス要素もなく、「男なのに好きになっちゃった」とかのギャグでもなかったし「女性だろうと仲間には代わりない」っていう姿勢が一貫しててなかなか良かったです。顔はいずれにしても(?)吹き替えの声が良いし、かっこよく見えた。
吹き替えというと主演のムーランを宝塚出身の明日海りおさん(朝ドラ「おちょやん」とかコントが始まるに出てますね)が担当。よく考えたら男装シーンで低い声出す必要あるからか。見ていてすごく自然だったので、芸能人起用だなんて全く思わなくて調べてびっくりしたほどでした。魔女役の小池栄子さんも気がつかなったなぁ。どちらもうまい。
主演のリウ・イーフェイさんは日本だと「ドラゴン・キングダム」などが有名な女優さん。そう考えると皇帝役のジェットリーとは再共演なのか。真の強い、けど「本当の自分を出せずに揺れる」という役柄がとても似合ってました。
アニメ版とは別の魅力があるものの、一つの物語として完成してますし、アナ雪同様にありのままの姿で活躍して良いんだって良いんだって肯定してくれる作品でした。
ディズニー+にて吹き替え版で視聴。配信当時は追加料金が必要でしたが、今は見放題の対象です。
アニメの「ムーラン」「ムーラン2」もおすすめ。
この記事へのコメント