町田くんの世界 / 特別な才能があるわけではないが、困っている人をほっとけない性格で誰からも好かれる高校生と、そんな彼に恋してしまったばかりにヤキモキするクラスメイトの恋を描くファンタジーラブコメディ。

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塚治虫文化賞新生賞を受賞した安藤ゆきの同名漫画を実写化。監督は「舟を編む」などの石井裕也。主役を務める細田佳央太、関水渚は1000人を超えるオーディションから選ばれ、これが共に映画初主演となる。
運動も勉強も得意ではないが、困っている人を見ると助けずにはいられない極度の優しい人間の町田くん。クラスメイトの猪原奈々もそんな彼の優しさに影響され、気になる存在、そして惹かれていくのだが、当の本人は無自覚に色々な人に優しくし、好かれていく。そんな状況に苛立つものの、町田くんもまた自分の感情をはっきり認識できずにいた。ちょっとファンタジー要素も入った、爽やかな気持ちになる映画。ラブコメであり、青春映画でもある作品。
岩田剛典、高畑充希、前田敦子、太賀、池松壮亮ら共演。
あらすじ
町田くん(細田佳央太)は運動や勉強が不得意で見た目も目立たないが、困っている人を見過ごすことのできない優しい性格で、接する人たちの世界を変える不思議な力の持ち主だった。ある日、町田くんの世界が一変してしまう出来事が起こる。(シネマ・トゥデイより)


最初に少し触れたとおりかなりのファンタジーな主人公で笑ってしまいます。現実にこんな人間なかなかいないだろうし、一応「変だ」ってはっきり小馬鹿にする態度のキャラは登場するものの最終的に影響されていい人になっていくくらいのでなんかこう「理想の優しい世界」を見ているようで、とっても癒されます。いいんだよ、映画なんだから。あ、ただ一番最後にあるのは流石に予想の斜め上できますので覚悟しておいてください、「メリーポピンズかよ」ってツッコミ入れてしまいました。(個人的には、こういう演出大好き)

大きな流れとしては「無自覚系・人たらし」に恋してしまったヒロインに共感して、一緒になって「何やってんだよ町田」「はっきりしろよ町田」ってイライラするのを楽しむ、ある種のラブコメの王道の一つではあるんですが、いわゆるモテモテ系のタイプではなく、本気で力になろうと誰に対しても一生懸命なタイプなんで町田くんに対して嫌な気持ちになりにくいんですよね。しかもご丁寧に前田敦子扮するクラスメイトがちょい毒あるコメントをバシっと言ってくれるからイライラよりも笑ってしまう。やきもち焼いてる自分が嫌だ、けどしょうがないじゃないかっていうヒロイン猪原さんが超可愛かったですし、貧乏ゆすりのシーンもニヤニヤして見てました。

中盤あたりの3人でのデートにて絡まれた時の対応とかも、「まあ彼ならこうするよな」って予想できててもなお見てるこっちまでなんかグッと来るものがありましたし、ほんと同性として惚れます。自分の友達がああいってくれたら嬉しいなとか、自分はあそこまで出来るだろうかって考えちゃいますし、ちょっと普通の人の枠組みから出てる反面、突き抜けっぷりがカッコよく映るんですよ。みんなから慕われるのよくわかる。

ただそれがネックとなって、ヒロインを傷つけてしまった。あの時点では町田くんは「ヒロインを好き」だと自分の感情とちゃんと向き合えてなかったからかも知れませんが、向こうからしたら「あなたが誰に好意を向けられてても僕は気にしません」と受け取ってもおかしくないことをやってしまって、ここは流石に引きます。なんで今日は質問してくるんだろ♪っていう天国から一気に地獄へという展開。よくある「ラブレターもらったかと思ったら別の人に渡せという意味だった」の非じゃないですよ。ここからラブコメの王道、二人の距離ができちゃう。

そうやってメインは町田くんと猪原さんなんですが、池松壮亮演じるライターの今の仕事とやりたいことの板挟み状態だとか(町田くんに話しかけた時に一緒になって混乱してるところ劇中屈指の笑いポイントです)、上部だけの付き合いで色んなことに一生懸命になれてなかった同級生(岩田剛典)そんな彼にかまってもらえずに町田くんの優しさに甘えようとする後輩(高畑充希)など、周りの人間の成長、町田くんんが与えた影響なんかも見れて面白かったです。他にも何かしらで助けてもらった人たちが終盤で町田くんのために力を貸してくれたりする流れもベタですが感動しますし。

劇中では「悪意/善意」とかの単語が出てきますけど、そんな畏ったものじゃなくてもいいから、もっとフワッとした「困ってる人がいたら助けたい」という感覚を明日からも大事にしていきいなと思わされる映画でした。大したことできなくてもいい、まずはその気持ちからスタートするんですし。この映画の主人公はそんなストレートな気持ちを一生懸命でやってのけちゃうから清々しくて、その不器用とも言えるバカまじめさに憧れるんです。「恋ってなんだろう」と悩む作品は多々あれど、「好きな相手のことを考えてたらバスの中で妊婦さんが立ってるのに気がつかなった(席譲れなかった)」って自分の感情に気がつくのなんて町田くんくらいだよ。

いつも主役はるような面々が脇に徹して、ほとんど演技経験のなかった二人が主役はってるからこそ、その一生懸命に生きてる感じだったり、みずみずしさみたいなものがより伝わってくる感じがしました。結果的にすごいいいキャスティングだと思います。もちろん、けして下手、という意味ではないです。ほんとにヒロイン可愛かったし、視聴者の共感する相手として素晴らしかった。

幸せな気持ちになる作品なので、ラブコメファン以外にもオススメ。

WOWOWにて録画、視聴。




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