まぼろしの邪馬台国 / 昭和40年代、邪馬台国ブームのきっかけになった文学者・宮崎康平と、彼を献身的に支えた妻の絆を描く感動ドラマ。鉄道会社を経営していたワンマン社長。邪馬台国の場所を探す夢に第2の人生をかけることに。竹中直人&吉永小百合主演。

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堤幸彦監督による、実話を元にした感動ストーリー。原作は第一回吉川英治文化賞を受賞した同名作品であり、それまで学者たちの間でしか交わされていなかった「邪馬台国はどこにあったのか」という論争を世間にまで浸透させるきっかけとなった。目の見えない夫と、それを支える妻二人。あらゆる文献にあたり、実際に九州をめぐることで邪馬台国の場所を見つけることに生涯をかけた夫婦の物語。
主演はワンマンだが情に厚い変わり者の鉄道会社社長を竹中直人、彼に惚れ込まれ、新たに始める観光バスガイドの講師として招かれたラジオパーソナリティー(そして、のちの妻)を吉永小百合が演じる他、風間トオル、由紀さおり、平田満、窪塚洋介、柳原可奈子ら共演。
あらすじ
昭和32年、災害の際に土器の破片を見つけたのを機に、邪馬台国の探求を始めた目の不自由な康平(竹中直人)。そんな夫に妻の和子(吉永小百合)は魏志倭人伝、日本書紀、古事記などを繰り返し読み聞かせ、九州各地を二人で旅しながら、康平の口述を和子が書き留める共同作業で「まぼろしの邪馬台国」を著す。(シネマ・トゥデイより)


目の見えない竹中直人が吉永小百合に支えられながら旅してる予告映像が印象的で、めちゃくちゃ感動するんだろうなと思ってたんですが、想像以上にコミカル要素もあり、竹中さんを起用したのも納得。もちろんそういう要素があるからこそ主人公康平の素の部分だったり、夫婦の絆によりグッとくるようにできてるんですけどね。有吉弘行とかも出てて、ちょいちょい笑えます。

そもそも邪馬台国探しに本格的にスタートするのは後半部分で、前半としてはいかに康平がぶっ飛んだキャラクターなのかの掘り下げだったり、観光バスの運行開始というメインのお話があるので違う魅力があります。映画「フラガール」にも似た面白さがあって。ラジオやってた和子が方言(イントネーション)に染まった地元の女性たちに指導しながら少しずつプロのガイドさんぽくなっていって、最終的にじわじわ人気になって盛り上がっていくのはとても面白かった。こういうエピソード一つとっても、経営手腕としてはかなりの物があったんですよね、康平は。劇中でも「変わり者でもアグレッシブに動いてくれるから価値がある」って市長?さんあたりにも評価されてましたし。ただ旅館に大量のツケがあったりとお金には無頓着だし、気に入らないとものすごい勢いでけなすしで短所もあまりあるんですが、和子的に「憎めない人だなぁ」って感じでずっとついていくことに。まあ本気で変な人だと思ったら仕事の誘いに乗らないと思うんですけどね。

夫というよりも子供?に近い感覚というか、ほっとけなかったんだと思います。妻は逃げてしまって、小さい子供たちを育てなきゃならない。ふいに見せる本人やその子供たちの寂しそうな部分に自分が支えなければって感じていったし、甘えすぎるわけではないけど、大事にされて、頼ってくれるから気持ちが通じ合っていった。序盤から和子を「先生」って呼んでるのがちょっと面白いです。特に良かったのは社長をクビになってボロボロになってる時のプロポーズのシーンと、長男が何かしてると思ったら母を見つけて離婚届を書いてもらってたシーン。後者の「余計なことするな!」って泣きながら叱る流れは、戸籍上とか関係なく、この人たちは家族になってるんだなぁと実感できてもらい泣きしちゃいました。この時点まで康平と和子は事実婚だったわけです。

目の見えない康平に変わって、和子が本を声に出して読む、途中からはそれをテープに録音して何度も聴くという描写があるので、邪馬台国がどこにあったのか、当時の人の動きについて見てる僕らも一緒になって追うことができます。和子 力作の立体地図なんかも出てきますから、想像しやすかったし、もうここまでわかったらあとは絶対見つかるのでは?というワクワクがこっちまで伝わってきます。まあ実際に歩いていうのは次元の違う大変さですし、映画内ではふわっと飛ぶけど相当の年月をかけてできてるのがわかってほんと二人の障害をかけた結晶だなぁってしみじみ感じます。

バスガイド研修で出てきた女性や鉄道職員(窪塚洋介や柳原可奈子)にもスポットがあたり、観光バス大盛況→土砂災害でひどいことに、っていう切ない展開だとか、時代の変化なども伝わってくる描写もあってそこも良かった。あるいはかつての部下が銀行に転職していて、家計が逼迫してもなお旅を続ける康平に対して融資してくれたりとかジーンとくる流れなど、脇役たちがいい味出してましたね。前述の有吉さんとか、おばさん役(?)の綾小路きみまろとか。もちろん二人の物語であるのは間違いないけど、その周りにいる人たちをいい意味で巻き込んでいったという印象を受けましたし、その縁によって完成させられたんだなって。

wikipedia調べてたら宮崎康平はさだまさしの父と交流があり、なんと「関白宣言」のモデルらしいです。びっくり。確かに厳しい中に愛情を感じるタイプの人ですからね。ただそこまで奥さんに対してキツイすぎるとは思わなかったな。全員に対して癇癪おこしがちなだけで(笑)
そうそう、康平が見た白昼夢・邪馬台国の場所を確信したーシーンにて、吉永小百合が卑弥呼も演じてますのでそこもご注目ください。

題材だけだと生涯をかけた夢を実現できた、支えた献身的な妻っていう純粋な感動ストーリーに思えますが、いい意味で人間臭い主人公をコミカルに描き、彼に振り回されつつも協力してくれた人々の優しさを痛感できるちょうど良いバランスの作品だったと思います。

2014年に録画したもののなかなか見れず、huluで発見したのでそちらで。




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