妻役にセルマ・ブレア、娘カーリーは「13の理由」でクロエを演じたアン・ウィンターズ。
あらすじ
ブレント(ニコラス・ケイジ)は、結婚して10年以上の妻と2人の子供との暮らしに、これでいいと自分に言い聞かせながら生活していた。ある日、至るところで親が自分の子供を殺し始め、国中がパニックになってしまう。子供たちを心配して会社から急いで帰宅したブレントだったが、子供の顔を見た瞬間、殺意が湧き上がり……。(シネマ・トゥデイより)
上記あらすじではあくまでニコラスケイジ目線になってなってますし、劇中でも彼の心情にもスポットは当たりますけど一応主人公としては彼らの娘カーリーです。学校で異様な雰囲気を感じ取り、親VS子というよりも親からの一方的な攻撃で散々な状態にパニクりながらも恋人と共に家を目指すと……という感じですし、映画の後半でも基本的にはいかに命を守れるかっていう視点がメインです。
とはいえ彼女の母ケンダルもそれに次いで心情が描写され、上記あらすじにあるように「実際に我が子を視認するまで」は至って普通の精神状態なので娘同様に「何が起きているのか!?」と困惑する流れになってますし、それぞれ別の場所にいるので同時多発的な出来事だというのが強調されていました。
出産に立ち会う、ということでまさかな、と思ってましたけど、想像通りの展開になったのはほんとビックリ。流石に生まれたての赤子がどうにかなったとは考えにくいので、最終的に安全になったのだと思いますけどね。あくまで映画全体を通じてあくまで「自分の子供だけに殺意」=他人の子供には無関心というルールっぽいと判明するだけなので、不安は消えません。そうそう、これ予告動画でネタバレしちゃってるの少しもったいないのですが、カーリーの祖父母、つまり父ブレントの両親が物語終盤に登場し、この親子間でも戦いに発展してますますカオスな状況になります。この時も孫には優しい笑顔を向けてたので、前述のルールが当てはまってるんだと思いますけどね。
ブレントもケンドラもそのママ友も、一貫して「結婚し親になり、自分の人生が変わった」という悩みを抱えていて、「パパ」「ママ」という役割になったことで、一人の人間としての自分が犠牲になったと感じてたわけです。その苛立ちから夫婦間でも衝突して、今回の謎の洗脳?がなくても結構ブチ切れてた。回想シーンとして挿入されるんですが、地下室にこっそり作ったビリヤード台を自分でぶっ壊すときのニコラスケイジの演技とか凄まじい狂気でしたね。映画冒頭、末っ子からボールぶつけられて一瞬怒りを堪えて何事もなかったかのようにくすぐり仕出したり、元々爆発寸前だったと思います。
だからもう自宅にメインキャラが全員揃ってからの攻防は想像を絶するハイテンションで、同じ監督の「アドレナリン」を彷彿とさせる映像でしたね。ドタドタ追いかけていって、床に転がったおもちゃで盛大にこける。恐怖と笑いの融合。これも予告に出てますが、母があえて冷静なふりして「もう出てきて〜」って優しく言ってるのに父が怒鳴りまくってるのとか最高でしたね。普通に会話してるけど、どうやっておびき出して子供たちを殺るかっていうめちゃくちゃ物騒な内容。彼らがとる作戦もえぐいですけど、娘の対抗手段もなかなかです。あの爆発はすごかった。
どっちが勝っても後味はよくならないよな、と思ってたらすでに触れた通り3世代のカオスな戦場になって、ますます予測不能に。最終的な決着としてはちょっと不完全燃焼感がありますけど、最後のセリフが多かれ少なかれ誰もが思っちゃう本音っぽくて、ゾクっとできたので総合的には面白かったです。序盤にも娘の若い体に嫉妬しちゃうっていうママ友のセリフがありましたけど、我が子といえどもいろんな感情持つのが当たり前なんですよね。それでも愛するのが普通で、これはあくまでフィクションですけども……。
そうそう、劇中で未曾有の事態をTVで放送するっていうシーンがあるのですが、昔Dlifeでやってた「ドクターオズショー」の司会者マホメットオズさんが本人役でチラッと映ってましたね。邦画でも本職のアナウンサーが出てくるあの感じです。
ここ最近ずっと役を選ばないイメージあるニコラスケイジですが、今回もまたぶっ飛んだ役柄で、あの怪演を見るだけでも価値ある一本だと思います。
WOWOWにて字幕版を録画、視聴。
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