トランス・フューチャー / IQ170の天才物理学者が、殺された恋人を救うためにタイムマシンを制作。過去へ戻るうち、連続殺人鬼の真相や自身の経験の別の側面が見えてきて……。SFサスペンス。

マンチェスター国際映画祭 グランプリ&作品賞&女優賞&編集賞受賞やロサンゼルス ブラジリアン映画祭 男優賞ノミネートもされた、ブラジルのタイムトラベルSFサスペンス。何者かに恋人を殺された物理学者が念願のタイムマシンを完成させ、彼女を救おうと過去に戻って奮闘する様を描く。
主演はブルーノ・ガリアッソ。これが長編デビューとなるブルーノ・ビニが監督、脚本。製作にも名を連ねる。
物理学者のダニエルはパーティで出会ったマリアに一目惚れして付き合うようになるが、何者かに殺されてしまいしかもそれが連続殺人鬼であることを知る。一度は絶望した彼だが、姉たちの支えもあってタイムマシンを完成させ過去に戻れるように。そこで彼女や被害者たちを救おうとするのだが……。時間移動が与える影響。卵が先か鶏が先か。その先にある結末とは。
ブランカ・メッシーナ、ビア・アランテス、ロベルト・ビリンデッリ、ニコラス・アントゥネスら共演。


あらすじ
物理学者のダニエルはビルの屋上で突如、何者かに襲われる。意識が朦朧として倒れたすぐ横には変わり果てた恋人の姿が。
ダニエルを襲った男は「今度は もっと急げ」と謎の言葉を告げるとビルから飛び降りる。恋人を失い自暴自棄となったダニエルは自ら命を絶とうとするが、警察の聴取から、犯人が告げたあの言葉が過去の複数の未解決殺人事件に関連していることを知る。そして、その被害者のひとりが父であることも。ダニエルは犯人捜しと彼女を救う為、研究していたタイムトラベルで過去に戻るが、予測できない事態に巻き込まれ、何度もタイムトラベルを繰り返すうちに驚愕の真実を目の当たりにする・・・(Amazon商品ページより)


上記あらすじにある通り冒頭の「今度はもっといそげ」のセリフ、そしてタイムトラベルがテーマと言われたらまず間違いなくこの謎の男=犯人は主人公側(味方)じゃないかっ予想しながら見ると思うんですが、原題が"LOOP"っていうことでなんとなく察してしまうという。
ただわけわかんないまま始まることでこれから何が起こるんだろう、いや「起きたんだろう」ってワクワクさせられたのは確かですし、つかみとしては面白い。映画スタート時点ではダニエルの夢としてはあってもまだタイムマシンはできてないので、完成までの経緯も気になるところだし。

最序盤からすれば回想という位置づけですが、恋人マリアと出会ったところから時系列そのままストーリーは展開していき、喧嘩もしつつ順調に交際が続いてたのがわかります。それなのに殺されてしまった。さすがにダニエル自身も怪我してるので殺害の疑いはかけられませんが、そこで知り合った警察署長から連続殺人鬼【郵便屋】のことを聞かされます。

過去に戻ってこいつを止められるかどうかがメインの話だな?って思いますよね。しかもよりによってその被害者の中にダニエルの父親もいた。これはどう考えても因縁がある。途中絶望の中自殺未遂までしてしまうダニエルですが、タイムマシンへの夢は諦めません。まあ天才と言っても直ぐにできるわけじゃないんですけどね。

重要キャラとしては彼の姉のシモーネがいて、ほんと献身的に支えてくれました。結構ガサツというかズケズケものを言うタイプですけど、研究者タイプで奥手なダニエルの背中を押したり、看病してくれたりといい人。過去に輸血が必要になった時のエピソードも子供らしさありつつ素直に泣ける話でよかったです。最終的にタイムマシン完成の最後のピースを埋めるのにも関わってきますし。

しかし完成したお祝いの帰りに事故に遭って、26ヶ月も入院生活に。ここで顔面の手術をすることになってしまいます。この設定が非常に面白かった。これによって、たとえ過去に戻っても、当時の人間にはダニエルだと気がつかれないってことなんですよね。何気なく描写されたシーンでも、実はここにもいた、とか影響与えてたってわかっていくシーンはなるほどって感じでうまいと思いました。例えばマリアとの喧嘩のシーンで「店員に色目使ってただろ!」って怒ったけど、その店員こそ未来から来たダニエル本人だった、と。さらに思わせぶりに白髪頭の人物もチラチラ出てきて、「この人もダニエルだとすると、3人同時に存在してるのか?」となっていく。

その初老が連続殺人鬼なのか?そして過去に戻ってるダニエルは無事に犯罪を阻止できるのか。過去にしか戻れないタイムマシンっていう製薬だからこそちょっとずつ明らかになっていって、郵便屋の犯行動機も見えてくる。冒頭の「今度はもっと急げ」の意味が確定した時に、一気に線が繋がる。

そっちの映画のネタバレになってしまいますが、「プリディステネーション」を彷彿とさせる映画でしたね。「過去に戻って恋人を救う」っていう単純なお話じゃない。よくよく考えていくとどこが始まりで、何がゴールなのか分からなくて、非常に後味が悪いって意味ではインパクトは負けて
ないと思います。

まあ大事な日にデモ更新に参加するなとか(でもあそこに居合わせるためには必然なのか?)とか、前述の「同時に存在」や「タイムマシンの仕組み」なのど科学的なツッコミどころも多少あるものの、ネタバラシというかちょっとずつ全貌が見えてくるワクワク感で最後まで楽しめました。
ハッピーエンドではないのでそこはあらかじめご注意を。


U-NEXTにて吹き替え版で視聴。

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