リズと青い鳥 / 吹奏楽部に所属する親友みぞれとのぞみ。高校最後のコンクールの自由曲では二人の掛け合いのソロパートがあるのだが、曲の元となった物語に自分たちと重なる部分があると感じていて……。「響け!ユーフォニアム 」と同じ部活を舞台に描かれる劇場版アニメ。

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京都アニメーションの代表作の一つ「響け!ユーフォニアム 」の北宇治高等学校吹奏楽部を舞台に、 TVアニメなどでスポットの当たったユーフォ担当の黄前久美子らではなく、彼女たちの先輩である鎧塚みぞれ、傘木希美を主役にして劇場アニメ化。
吹奏楽部でオーボエ、フルートを担当するみぞれとのぞみは親友同士だったが、いつも交友関係も広く活発なのぞみに対して、みぞれは口数も少なく彼女がそうするなら、と積極的に自分を出せないタイプだった。コンクールでの自由曲が「リズと青い鳥」に決まりそれは彼女たち二人が掛け合いをするソロパートがあるのだが、モチーフとなった物語が自分たちに似ているように感じ、さらには進路のことなどで二人の関係性がぎこちなくなってしまう……。
主演の声をに種﨑敦美、東山奈央が担当するほか、 藤村鼓乃美、山岡ゆり、黒川ともよなど響け!ユーフォニアム のキャスト陣が再集結。絵本の世界を映像化したシーンでは本田望結が一人二役で好演。
あらすじ
北宇治高等学校吹奏楽部所属の鎧塚みぞれと傘木希美は、それぞれオーボエとフルートを担当する親友同士。高校3年生の二人にとって最後の出場となるコンクールで選ばれた自由曲「リズと青い鳥」には、オーボエとフルート掛け合いのソロパートがあった。希美はその曲が自分たちのようだと無邪気に話していたが……。(シネマ・トゥデイより)


予告動画から分かる通り、テレビアニメシリーズの「響け!ユーフォニアム 」とはタッチが異なっていて、より繊細な世界観だってのが一眼で分かります。そもそも主人公であるみぞれは口数が少ないので、彼女の微妙な動き、仕草での心理描写も多々ありまして。なんというかアニメというよりも水彩画のようなそんな絵柄がとても合っていました。

同じ部活動に所属しててもみんなタイプが違うし思ってることも考え方も別っていうのは当たり前の話なんですが、今回のお話は特に共感できました。みぞれののぞみに対する思いは単純に好きとか憧れとも違ってて、自分にはないものを持ってるからこそすごくカッコよく見えて。彼女を追いかけることで、自分もいろんな世界を見ることができた。だからこそこのままの関係がずっと続いて欲しいと思ってる。その一方で、向こうは自分以外にもたくさん友達がいて、同じように「特別」な存在ではないのかもしれないってことにどこか悔しさがあったり。

逆にのぞみもそんなみぞれとの関係が当たり前になっているし嫌な感じもしていない。ただあまりに理想像をおしつけられてないかとか、自分の言葉や行動が彼女の人生の選択に影響を及ぼすことに対する重みに対しての表面化してない不満とかも確かにあって。みぞれを何かに誘う時は他の友達に声をかけるのに、彼女が別の人間も呼ぼうとすることに対して驚くシーンがすごく好きですね。自分だけが友達じゃなかったのか、とか、それが当然だと思ってた自分自身だとか。

いわゆる百合、という風に茶化す(?)のが憚られるような関係性が非常にリアリティあって面白かったです。しかもそれがタイトルにもなった「リズと青い鳥」の曲と、そのモデルになった物語と密接に絡んでくる。ざっくりいうと、青い鳥が人間の姿になって少女リズの元にやってきて楽しく過ごしますが、空へ飛ぶ喜びを忘れられなくて、リズは彼女にまた鳥に戻るようにする。この解釈自体も「自由になった」なのか「突き放した」のかなど二人で違っていて面白いですし、どっちがリズでどっちが少女なのかという部分は映画が盛りがっていくとともにかなり重要なポイントで。見てるこっちまで重ねているからこそ、「なるほど」と思わされる展開でいい意味で予想外でしたね。どこかで感情をぶつけるシーンがくるのは予想できましたが、言われてみると二人の関係性に置いて、その要素もあったか、と。これが「吹奏楽部」の物語であることが意味をなしてる。

二人が主役でしたが他の部員たちもスポットがあたり、特にあすか先輩(劇中で一番好き)から引き継いだ新部長の優子が彼女なりに頑張ってる姿とか、二人を一歩引いて見てる夏紀先輩とか。さらには黄前&高坂今日もいい意味で絡み合ってしまった関係性に変化を起こす起爆剤としていい影響を与えてましたね。特に高坂さんの遠慮ない言葉、刺さるんだよなー。タッチが違っても知っているキャラたちが画面上にいて頑張ったり演奏してる姿を見ると確かにこれ「響け!ユーフォニアム 」だなってしみじみ感じました。

現実のストーリーに挿入する形で、「リズと青い鳥」の物語がどんなお話なのか映像化されています。キャストに触れた通り本田望結さんがリズ/青い鳥の声を当てるんですが、どこかジブリ的な映像で、面白かったです。最後にリズがする決断が分かっているのでちょっと見るの辛いかなと思ったんですが、絵柄も相まっていい結果的にはいいお話に感じられました。

映画の最終的な終わり方も非常に良くて、前述の通りリズの物語が「主役二人の関係性」を暗示してるからこそ色々と身構えていたんですけども、ものすごく爽やかにしめてくれます。あんまりいうとネタバレになりますが、最高の笑顔で終わります。冒頭に出てくる英単語や、「片方が早歩き、もう片方がそれを追いかける」という描写という伏線を見事に回収しての終わり。明言はされなくても、この先は明るいって分かる。余韻も含めてとても好きです。

そうそう、この次の映画「劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~」(2019年公開)でもこの続きが描かれて、当然コンクールも出てきて「リズと青い鳥」も演奏されようですので、出来栄えや、二人の関係性の変化も含めてそちらを見るのも楽しみです。

WOWOWにて録画、視聴。



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