孤狼の血 (R-15+指定)/ 昭和63年の広島を舞台に、敵対する二つの暴力団組織と地元刑事との抗争に巻き込まれていく新米巡査を描く任侠アクション。松坂桃李が主演したほか、先輩刑事役の役所広司の怪演が光る。

柚月裕子の小説を、白石監督が映画化した任侠アクション。暴力団同士がにらみあう中、過去の殺人に関わっっている疑いの刑事を調べるため、高学歴の新米巡査がバディを組むことに。想像以上にやりたい放題、暴力が蔓延る世界に翻弄されながらも彼はだんだんと染まっていき……。
県警の指示によってベテラン刑事と組まされることになった新米巡査の日岡。管轄内では因縁のある組同士が一触即発状態だったが、ここにきて組関連の一般人が行方不明となる。その事件を捜査しつつ、「過去の殺人の真相」を探る内偵という任務も任されている日岡。想像を超える世界に狼狽えっぱなしで……。
調査対象の刑事を役所広司が怪演。彼に憤りを感じつつも次第に影響を受けていく主人公を松坂桃李が演じた他、真木よう子、滝藤賢一、田口トモロヲ、石橋蓮司、江口洋介らが共演
あらすじ
昭和63年、広島の呉原では暴力団組織が街を牛耳り、新勢力である広島の巨大組織五十子会系「加古村組」と地元の「尾谷組」がにらみ合っていた。ある日、加古村組の関連企業の社員が行方不明になる。ベテラン刑事の刑事二課主任・大上章吾(役所広司)巡査部長は、そこに殺人事件の匂いをかぎ取り、新米の日岡秀一(松坂桃李)巡査と共に捜査に乗り出す。

予告動画の時点で結構アレなんで注意。

僕がこの映画をちゃんと認識したのは鈴木亮平さんが出てくる続編の「LEVEL2」の方なんですが、この度そちらがアマプラに見放題でくるってことで1作目を視聴。なので2018年と少し前の作品です。しかもエントリタイトルで触れている通りR15+指定なのでほんと暴力やらアダルトな要素やらがてんこ盛りで、正直このブログで紹介するのに若干躊躇するんですが、映画自体がめちゃくちゃ面白くて引き込まれたのて「耐性がある方限定」になりますが、おすすめしておこうかと。

作品紹介サイトでは「役所広司主演」ってなってるほど、明らかに彼の演じる大上が一番の主役です。語り部というのか、目線は松坂くん演じる新米巡査なんだけど、かなり終盤になるまではただ後をついて行ってるだけ。内偵として彼を追ってるからそもそもが訝しんで見ているんだけど、そういう前情報無しにしてもかなりぶっ飛んでいてこっちまで引いちゃいます。女性との事情聴取のついでにいかがわしいことをしたり、必要なものを盗むために放火をしたり。やりたい放題。

ヤクザと渡り歩くには自分もそれに近くなければいけないのか。どっちが悪人かわからなくなってきます。実際のところ二つの組のうち、尾谷組とガッツリ関わっている大上。自然と殺人事件に絡んでいる可能性も濃厚になっていきます。それを勘ぐっている県警だけじゃなく、田口トモロヲさん演じる同僚などからも「ガミさん」のやり方を快く思わないものもいたりして、時代が時代とはいえやっぱりあそこまで警察とヤクザが懇意にしてるのはマズイんだろうなって。

全員がよく集まってしまうバーのママを真木よう子が演じてますが、かなりのセクハラ被害にあってましたし、それ見て恋人が暴走し、ってことで組同士の争いが激化してしまう。下ネタの応酬もすごいけど、その復讐がね。同じ男としていたそうで見てられなかった……(これだけでなんとなく察してください)

ヤクザ連中は名だたる俳優陣が出てますが、個人的に意外性というかすごかったのは中村倫也さん。以前からこの人の演じ分けについては触れてますが、鉄砲玉としての演技ほんとすごかった。相手の耳を噛みちぎったり、ヤクをやった状態で敵の幹部を拳銃で襲撃したり。他の人はいわゆるコワモテというかヤクザ役やりそうな面々なんで、わざわざ言うまでもないクオリティなんですけどね。それと同じくらいすごかった。あとは怖さは少ないけど飄々として裏で全部を操ってそうな石橋蓮司さんも流石でした。

発端となった眼鏡くんの事件がどう解決するか、抗争がどうなっていくのか、そして14年前の殺人は、と色んな要素がストーリー進む中で明らかになっていくんですがその中で日岡も、そして見てる僕らもガミさんの不思議な魅力にとりつかれていくんですよね。犯罪おかしまくりで、やばい人物なんのに彼なりの正義、彼なりの平和のための「一本の線=芯」があるのがわかるからこそ、これはこれでありって思うっちゃう。実際過去のことも結構泣かされるし。

ネタバレになってしまうのですが、内偵してるのも全部バレてて、その上で先輩として教えてくれてた。「勝てねぇなぁ」ってあの感覚こっちまでシンクロしてきてジーンときちゃうし、ガミさん2世とでもいうのかイズムを受け継いじゃうのも理解できる。特にキレてボコボコにするシーンの焦点のあってなさそうな顔と、最終的な決着シーンについては日岡の変貌、成長が垣間見えて松坂くんの存在感が一気にアップしてました。主役交代って感じがしました。

80年代後半っていう時代設定だし、広島弁だしで非常に古き良き任侠映画って感じでしたが、やばい警察官の「彼なりの闘い方」生き様をこれでもかと見せつけられてめちゃくちゃ面白かったです。開幕、いきなり豚の排泄シーンとそれを口に突っ込まれる拷問シーンでドン引きしましたが(笑)、結果的には見て良かったなぁと思えました。この経験を経て日岡がどうなったのか。そして鈴木亮平さん演じるあのキャラとどう渡り歩くのか。今から2作目見るのワクワクです。

繰り返しになりますがショッキングな映像が多々ありますので平気な人だけ、という前置きで、ぜひ役所さんの怪演をその目で見てほしいと思います。

Netflixにて視聴。

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