恋のしずく / 日本酒だけが苦手な大学生が実習で老舗の酒蔵にくることに。蔵元の息子とも剃りが合わず、作業は最初こそ辛かったものの、酒造りの奥深さ、そして日本酒の美味しさを知っていく。川栄李奈映画初主演。: 映画感想.net ～映画ファン「きよ」のオススメ作品紹介～

2020年04月13日 19:00

恋のしずく / 日本酒だけが苦手な大学生が実習で老舗の酒蔵にくることに。蔵元の息子とも剃りが合わず、作業は最初こそ辛かったものの、酒造りの奥深さ、そして日本酒の美味しさを知っていく。川栄李奈映画初主演。

川栄李奈の映画初主演となる、酒蔵を舞台にしたヒューマンコメディ。監督は瀬木直貴。
ソムリエを目指して農大に通うリケジョの詩織は、他のお酒は強いものの、日本酒だけはすぐに酔ってしまい、苦手としていた。抽選の結果、卒業に必要な実習先が運悪く酒蔵になってしまい不満を持ちながら現地に行ってみると手違いで「今年は募集してないはずだが」と断られてしまう。彼女の熱意と地元の人の手助けによりなんとか実習がスタートするも、想像以上にハード。また、蔵元の息子とも衝突して……。
映画公開作品としてはこれが遺作となった大杉漣の他、小野塚勇人、宮地真緒、中村優一ら共演。

あらすじ
ワインソムリエを目指す農大の学生、詩織だが、実習先に決まったのは大の苦手とする日本酒の、その酒蔵。実習単位を取らなくてはフランス留学が夢で終わるため、渋々、東広島・西条にある乃神酒造に出向くが、今年は実習生の受け入れ予定はないと断られる。詩織は食い下がり、農家の娘・美咲の助けでなんとか実習ができることに。だがそこで始まった実習はまるで修業だった。そんな中、彼女は蔵元の息子・莞爾と最悪の出会い……。(WOWOW番組ページより)

酒造りと、そこに関わる人の想いにスポットを当てたヒューマンドラマ。それまで日本酒に対して苦手意識を持っていた主人公だからこそその魅力を改めて知り、ガラッと変わっていく経過を丁寧に描いた作品。タイトルの通り蔵元の息子との恋愛要素もあるものの、どちらかといえば「日本酒に恋をした」という方があっているかも。ラブロマンスというよりは、一生懸命になっていく姿にお互い惹かれていく感じ。

その息子・莞爾(かんじ)の物語としても感情移入しやすく、持病を抱えた父に変わり、彼なりに酒蔵を守ろうとして空回りしてしまう前半部分と、本当に大切しなきゃいけない価値観を思い出して正攻法で頑張ろうとしていく後半とで別人のように成長が見てとれてグッときます。終盤に出来上がるお酒の名前にもなる、彼の母が大事にしていたとある「和歌」の件も含めて代々続いてきた人の想い、願いのようなものを実感させられます。

知識の少ない詩織に説明する形で、見ている僕らにとっても「こうやってお酒は造られる」という解説的な側面もありますし、引き込まれます。特にこういう作品で王道ですが、掃除が不十分で怒られふてくされるも、重大さに気がついて洗い直すというエピソードもあったりして。不本意なままやっててもダメだよなぁって自戒させられました。劇中でも酒造りは命をうむのと同じ問言うようなセリフが登場しますが、それだけの熱意をかけてるんですよね。あとは飲み方講座というか、詩織が美味しく感じるように工夫してくれたのも良かった。変に先入観持ってしまってなかなか価値観って変えにくいと思うんですけど、ああやって段階を踏んで試させてくれるのは嬉しいですよね。こっちも飲んでみたくなりました。

後半にある「橋づくし」という願掛けは、舞台である広島の景色をいろいろ見られて好きでした。そういえば詩織を除くとみんな広島弁なのでそういう「地方の魅力」という要素もある作品でしたね。ただ主人公ともう一人参加するんですが、身重で歩いちゃって大丈夫なのかって気がきじゃなかったです。この人物の恋愛要素も結構「どういう答えを出すんだろ」って主人公の色恋以上に引っ張られちゃって面白かった。お相手もすごいいい人だったからね。その橋づくしの時もなかなかカッコいいのでご期待ください。

全体的なストーリー展開としてはおおよそ予想通りで、主人公も日本酒を好きになり、また蔵元の息子も本気で酒と向き合う。奇を衒わずストレートに胸にくる、素敵なドラマでした。最後のやりとりが余韻を残します。オススメ。

WOWOWで2月に録画、視聴しましたが、2020年4月現在Amazonプライムでも会員無料です。

※間違えてURLを「恋"する"しずく」にしてしまいました……。ご了承ください。