空海―KU-KAI― 美しき王妃の謎 / 夢枕獏の小説を日本中国キャストで実写化した 歴史ドラマ。主演は染谷将太。遣唐使として中国を訪れた若き日の空海は、詩人の白楽天と共に連続不審死事件の謎に迫る。そこには怪しい黒猫の影があり……。

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夢枕獏の「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」を元に、空海が楊貴妃の死の真相を探るべく、少しずつ謎を解き明かしていく歴史ミステリドラマ。主演は染谷将太。7世紀、遣唐使として唐に渡った空海はそこで権力者の連続不審死事件と遭遇。詩人である白楽天と親しくなり事件のことを調べていくうち、楊貴妃の最期に秘められた悲しき物語が関わっていることを知るが……。
日本人キャストとして阿部寛、松坂慶子、火野正平、白楽天役にホアン・シュアンのほかチャン・ロンロン、キティ・チャンら共演。吹き替えキャストに高橋一生、東出昌大など。
あらすじ
7世紀、唐の時代の中国。若き日の空海(染谷将太)は、遣唐使として日本から唐へ向かう。密教の全てを会得しようという決意に燃える中、ひょんなことから詩人の白楽天(ホアン・シュアン)と出会う。交流を重ねていく一方、権力者が連続して命を落とす不可解な事件が唐の都で起きていた。その真相に迫ろうとする空海と白楽天だが、二人の前に歴史が生み出した巨大な謎が立ちはだかる。(シネマ・トゥデイより)


まず最初に邦題こそ空海にスポットを当てたようなタイトルですが、オリジナル版は「妖猫伝」だし、英題も"LEGEND OF THE DEMON CAT"。これ、猫がかなり鍵を握る物語なのです。そもそも冒頭からいきなり喋る黒猫が出てきましてね。歴史を扱ってますが、かなりファンタジー要素もある映画です。
オリジナル版は中国語で製作されていて、主演の染谷くんら日本人も中国語を喋っているのですが、Amazonに吹き替え版がきたのでそちらで視聴。基本的には空海と白楽天が共に行動して彼ら目線で映画が進んでいくので、染谷将太&高橋一生コンビの声がずーっと続きます。ちなみに猫は六平直政さんが担当してます。

かなり固有名詞がバンバン出てきて馴染みがないと把握するのにちょっと難がある気がしますが、現代で起きている不審死事件を調べていくとどうやら黒猫が襲っていることがわかり、「何かの復讐」「伝えたいことがある」ってことが分かっていきます。そして彼が見せた幻覚の中で出てくる李白の詩。それは楊貴妃の時代に開かれた『極楽の宴』にて彼女について書いたものだったわけですが、皇帝と楊貴妃の愛について詩を書こうとしている白楽天は、歴史として言い伝えられてきたこととは別の真実があると考えます。

この回想シーンとして出てくる「極楽の宴」は結構すごくて、ほかのシーンでも当時の唐を再現してるんだろんなっていう建物や衣装やらで十分お金かけてるのは伝わってくるんですが、このイベントは別格。稀代の幻術使いとその弟子が仕掛けてるという術の数々もそうですし、きてるお客さんもかなりのレベルだけあって服装とかきらびやかで圧倒されました。映画全編においてCGの技術もなかなかで、黒猫は若干違和感こそありますが、豪華絢爛な場所っていう設定に説得力がありました。

映画が後半に差し掛かると、今度は阿部寛さん扮する阿倍仲麻呂の回想にシフト。空海よりも先に渡っていた遣唐使なんですが、彼の残した日記を読むことでその「極楽の宴」やメインテーマである「楊貴妃の死」の真相が明らかになるわけです。皇帝に気に入られてかなり近いところから見れていたのですが、一方で楊貴妃に淡い思いを抱いてたりして、彼の物語としても面白かったですし、若い術師の二人によりスポットが当たることで、全てのピースがカチッとハマっていくのが良かった。思わせぶりに登場してたあのおっさん……!的な。

人の死が絡んでるので当然なんですが予想通り「切ない」お話になっていき、現代での惨劇は悪いことだけどいつしか猫チャンに感情移入していくという。実際楊貴妃の死については謎があるらしいんですけど、こういうことがあったのかもしれないって思わされるくらいにはお話の中に入り込めましたし、詩を書こうとしていた白楽天という、わかる人だけにちゃんと真実を伝えたかったという想いに泣かされました。
空海が入門を断られ続けていたお寺についても最後にちゃんと伏線が回収されたのも良かった。

空海が主役と言われると確かに微妙なところではありますが、歴史に埋もれかけていた真実に辿り着き、起きてしまった悲劇は変えられない一方で後世に生きる人に伝わり少しは報われたかな、という意味で主役コンビもかなりの働きぶりしてたと思います。特にラストの絵のシーンはグッときました。

アマプラにて吹き替え版視聴。5月現在プライム会員無料対象です。



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